パリ・サンジェルマンのファンが制作した、パリ・サンジェルマンのユニホームを着た李康仁の合成写真 [SNS キャプチャー]
先月15日、あるユーチューブチャンネルには「李康仁獲得はマーケティングか? 日本記者の質問にムバッペの反応」という動画が掲載された。記者会見場で日本の記者が英語で「李康仁という韓国の選手がパリ・サンジェルマン(PSG)に来ると聞いた。あなたはこれを単なるマーケティングのための獲得だと思うか。他の日本の選手についてはどう思うか」と質問する音声が出てくる。
パリ・サンジェルマンのFWムバッペは不快感を表すように首を横に振りながらフランス語で答える映像が続く。「才能があるからここに来ることができると思う。質問の意図が分からないが、ここに来るということは準備ができているということであり、チーム員として我々は彼を信頼する。彼がどういう選手かはすでに十分に知っていて、良い呼吸を見せることができると思う。そしてあなた国の選手については全く知らない」という字幕が表示された。
この映像は3週間で照会数1100万回を超えて話題になった。ムバッペが李康仁をかばうような姿にハングルで「ムバッペはこれから私たちの家族だ」「ムバッペの好感度が急上昇した」「いない日本の選手のことを尋ねている」などのコメントが書き込まれた。
李康仁がパリ・サンジェルマン移籍を目前に控えているだけに、多くの韓国人がうっかりだまされそうな動画だ。しかしムバッペが李康仁に言及したこのインタビューはフェイクだった。実際は2年前のユーロ2020の記者会見場面だ。実際の質問はある記者がフランス語で「もう一つの大きなニュースはパリ・サンジェルマンとの再契約だ。ユーロ後に決定が出るのか」と尋ねたものだった。これに対しムバッペは「私はいま再契約に関心はない。私は他の選手とチームの邪魔にならないようフランス代表についてのみ話す」と答えた。
実際にはテキストを音声に変換するTTS(Text-to-Speech)で日本の記者の音声を操作し、フェイク字幕を付けたのだ。元サッカー韓国代表の李天秀(イ・チョンス)はユーチューブチャンネル「リ・チュンス」で、フェイク動画にだまされながら「ムバッペ、お前が好きだ」と話し、日本の記者の質問に怒りを表した。しかしフェイク動画であることを知ると、李天秀は「多くの人がだまされているかもしれない。こんなことはしないでほしい。よくない。人々を敵に回すものだ」と指摘した。
一方、李康仁は実際、ムバッペのチームメートになる見込みだ。スペインのマルカは4日、PSGと李康仁の元所属チームのマヨルカが移籍に完全に合意したと報じた。PSGがマヨルカに支払った移籍料は2200万ユーロ(310億ウォン、約34億円)だが、うち62億ウォンは李康仁に入る。李康仁が2021年にバレンシア(スペイン)からマヨルカに移籍した当時、年俸5億7000万ウォンだけを受ける代わりに、今後、他のチームで移籍する場合は移籍料の20%を受けるという条件を入れたからだ。レアル・マドリード移籍説が出る中、ムバッペが残留する場合、李康仁のパスを受けてムバッペがゴールを決める場面をサッカーゲームでなく現実の世界で見ることも可能だ。
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