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【コラム】BTS10年、K-POP10年…世界をまとめたストーリーの力

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
BTS(防弾少年団)の10年は疑うところなくK-POPの10年だ。彼らが成し遂げたすべての個別的な成就はK-POPの歴史的成果と命名され、彼らが立てたすべての記録は目撃されたが、どのように可能だったのか疑問な金字塔になって永遠に賛えられるだろう。

だれかはこれを奇跡だと呼び、まただれかは情熱の足跡とも呼ぶ。だがひとつ確実なことは、それがまねすることはできるが複製することはできない何かだったということだ。もちろんそれゆえにもっと価値がある。

◇世界の大衆音楽変えた偉大な事件


大衆音楽の歴史を見れば説明することはできないあるエネルギーと時代精神が集まって作り出した「瞬間」がある。米国を侵攻しロックンロール革命を完成したビートルズの「ブリティッシュ・インベイジョン」がそうだったし、音楽放送MTVを背にR&B歌手で最初の「ポップアイコン」となったマイケル・ジャクソンの全地球的なポップ普遍主義がそうだ。この10年間にBTSが全世界を駆け回って成し遂げた「BTS現象」と「K-POP革命」も遠からず世界の大衆音楽界を変えた偉大な瞬間のひとつとして記録されるだろう。

韓国人の立場では、私たちはどうしても国家主義あるいは民族主義観点からK-POPの成就を眺めることになる傾向がある。そのためBTSが成し遂げた成果も韓国大衆音楽初のビルボード1位や米国主流音楽イベントでの受賞のようなものとして主に膾炙する。すべて信じられないほど胸が熱くなったわけだが、「BTS現象」の本質がそれがすべてならば少し虚しくないだろうか。

考えてみよう。BTSの前例のない国際的成功を作ったアーミーの相当数は私たちが感じる民族的自負心のようなものとは関係がない世界の人々だ。彼らの立場でBTSの成功は「韓流」や「K-POP」の成功、それ以上のことを意味するほかない。

BTSの軌跡を追いかけてきた人たちはわかるだろうが、それは才能と情熱がついにそれに相応する結果につながる証明の叙事であり、さらには「私たちが一緒なら砂漠も海になる」というアーミーのスローガンに込められたもののように不可能に見えたすべてのものがともにやることによってできる奇跡のような勝利の体験でもある。

米国という巨大産業が企画できなかった、制度圏の力と資本が強制しない、下から始まった有機的なプロセスによる世界的ポップアーティストの誕生というものに多くの人が熱狂し、その流れに加わることを望んだ。「有名だから有名な」そこそこのポップアーティストではなく、「成功しなければならない理由がある」アンダードックの叙事はそのような途轍もない力を持つことができた。

BTSの10年を迎えてこれからを心配している人が多い。過去にビートルズが英国の大衆音楽で持つ地位がそうだったように、BTSの地位とその業績は別のどんなアーティストでも簡単に代替するのは難しそうだ。だがBTSが育てたK-POPのパイをどのように拡張するのかに対する悩みも必要だ。

この20年間余りにK-POPはトレンドについて行かずトレンドの上に君臨できるシステムを確保しようと努力した。それがSMのイ・スマンが提示した「アイドル」産業であり、パン・シヒョクはK-POPが逃してきた真正性の叙事を加え「BTS現象」を引き出すことができた。最近のNewJeans(ニュージーンズ)ブームやFIFTYFIFTY(フィフティーフィフティー)の世界市場での活躍で見るように、K-POPが典型的なK-POPらしさを脱いでもう少し柔軟で普遍妥当な大衆音楽に進む代案的方法論も注目されている。いずれもひとつの有効な「オプション」だ。

◇ジャンルと技術が平準化した世の中

私は新たにK-POPが紐解いていく「ストーリー」に注目する。10年前だけでも世界の人にK-POPはわからない外国語で歌われるビジュアル的遊戯にすぎなかったがいまは違う。人々はほかのだれでもない韓国人のストーリーと考えを心配し、韓国のモダンさが世界の標準になることも珍しくない世の中だ。

ジャンルが無意味になり技術的な平準化が起きている音楽市場で大衆音楽の成功は結局ある魅力的な話と叙事を通じてそれに共感する人をいかに多く確保するかの戦いになるもので、そのためより一層今後K-POP産業は人文学的な洞察と想像力を持っているストーリーテラーの役割を要求することになるだろう。普遍的な叙事を通じてK-POPの新しいページを開いたBTSの成功が残した最も大きな教訓もまさにそれだ。

キム・ヨンデ/音楽評論家



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