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【時視各角】駐韓中国大使が逃した「相互尊重と配慮」

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

駐韓中国大使のケイ海明氏。

「議員さん、台湾には行かないでいただきたい。後で中国にも来なければならないのでは?」

2004年、在韓国中国大使館が前・現職与野党の国会議員に電話をかけて陳水扁台湾総統の再選就任式の出席を引き止めた。「後で中国には来ないのか」という言葉は今後協力を期待するなという隠れた脅迫だった。陳水扁は台湾独立を主張する民進党出身の初めての総統だった。「一つの中国」を強調する中国にとっては邪魔な人物だった。この事実をインターネットに公開した当時、張誠珉(チャン・ソンミン)前民主党議員は「大韓民国に対する主権侵害であり内政干渉行為」と批判した。

邢海明駐韓大使がまさにその時の中国大使館政務参事官だった。邢大使は北朝鮮沙里院(サリウォン)農大に留学し、駐韓大使をする前に北朝鮮大使館で2回、韓国大使館で3回勤務している。その毒舌ぶりですでに何度も俎上に載せられた人物だ。2010年参事官として3回目のソウル勤務の際、当時駐韓大使に「中国の責任ある姿勢」を求めた玄仁沢(ヒョン・インテク)統一部長官に対して韓国語で「これはひどすぎるのではないですか」と発言して物議を醸した。


先週、李在明(イ・ジェミョン)共に民主党代表との会合でも「中国の敗北にベッティングする者は後で必ず後悔する」「(韓中外交関係悪化の)責任は中国にない」などという邢大使の発言が波紋を広げた。外交官にふさわしくない彼の毒舌を民主党はYouTube(ユーチューブ)で生中継した。それでなくても2016年中国のTHAAD(高高度防衛ミサイル体系)報復と「限韓令」で最悪まで落ちた国民感情に火を付けた。外交官の基本責務は国益守護だが、大使には駐在国と良好な関係を維持する責任もある。同氏の言動を見ると、駐在国国民の心を開いて外交の地平を広げようとする公共外交努力はそもそも諦めているように映る。自国政府に対する過剰忠誠しか感じられない。

「日本が百年の敵なら中国は千年の敵だ」。

北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が普段側近に習慣のようにする言葉だと、昨年出版された『チャイナショック、韓国の選択』が紹介した。著者のハン・チョンフォン氏は「中国は千年の敵」という言葉が我々韓国人にとってはより説得力を持って感じられるほど「反中は時代精神」になったと書いた。特に自由民主主義を享受して育った韓国の若者世代は1人独裁と対中文化規制に象徴される中国共産党の権威主義的形態に敏感に反応する。

外交部は邢大使を招致し、大統領室も直接批判に乗り出した。中国外交部は駐中韓国大使を呼んで自国大使の招致に抗議した。邢大使の非外交的な言葉は我々が必ず経なければならない問題だった。堂々と言うべきことは言うものの、状況がさらに悪化しないように対中関係を冷徹に管理する必要がある。国民の反中感情に寄り添った「爽快外交」に流れることになれば少しの間は痛快かもしれないが、不必要な摩擦を呼びかねない。国益を最優先にする実利主義外交が原則だ。韓米同盟と韓日米協力強化という韓国政府の戦略をブレることなく堅持し、中国・ロシアとの関係も取りまとめなければならない。互いに必要な協力を実質的に継続して水面下の接触を続けて接点を作り出していけばよい。

秋慶鎬(チュ・ギョンホ)経済副首相は先月政府ソウル庁舎で邢大使と面談した。韓国は年内に韓中経済長官会議をソウルで開催するために実務協議を支援してほしいと要請し、中国は自国の核心価値を尊重して配慮してほしいという話をした。「荒い言葉」はなく、笑顔で互いに必要な話を十分にしてから別れた。韓中はさまざまなチャネルで協力することが多い。例えば韓国半導体中国工場にとって良いことは中国にとっても良いことだ。具体的な協力経験を一つずつ積んでいけばよい。邢大使が秋副首相に要請したという「尊重と配慮」は互恵的なものでなければならない。相手国に対する尊重と配慮の心を捨てる「オオカミ戦士」の姿はもうそろそろ目にすることがなくなってほしい。

ソ・ギョンホ/論説委員



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