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イラク内のイラン凍結資金27億ドル解除…「米国の中国牽制措置」

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
米国の強力な制裁でイラク内に凍結されていたイランの資金のうち一部が解除された。米国の許可によって行われた一種の「小休止」的な措置で、バイデン政府が中東で勢力を拡大している中国を牽制(けんせい)するために、最近中東に急接近する中で出てきた。

10日(現地時間)、ロイター通信はイラクに凍結されているイランの資金約110億ドル(約1兆5323億円)のうち27億6000万ドルが米国側の許可を受けて凍結が解除されたと報じた。

イラクは世界的な天然ガス埋蔵国(埋蔵量10位)だが、関連インフラが不足しているため、近隣諸国であるイラン(埋蔵量2位)から天然ガスや電気などを輸入して使っている。しかしトランプ前政府時期の2018年、米国が「イラン核合意」(JCPOA・包括的共同行動計画)からの脱退を宣言して対イラン制裁を科したためにイランに代金を返すことができないでいた。滞納が長引くと、イランがガス供給を正常に行わないようになりイラクも困難を強いられていた。しかし今回の凍結解除で一部の代金返済が可能になった。


ロイターは消息筋を引用して「今月初めにサウジアラビアで開かれた米・湾岸協力会議(GCC)長官級会議を契機にイラクのフアード・フセイン外相がブリンケン米国務長官と会って(米国側の)許諾を得た」と伝えた。イラク外務省報道官は短い声明を発表し、「両国長官が議論する過程で実質的な合意があった」と明らかにした。ただし具体的な事項は伝えていない。凍結解除過程には中東国家のひとつ、オマーンの役割もあったことが分かった。イラン・イラク商工会議所会長は「最近米国高官がオマーンを訪問したことに続き、ハイサム・ビン・ターリク・アール・サイード国王(スルタン)がイランを訪問後に関連の合意が行われた」とイランの半官営メディアであるタスニム通信に話した。アール・サイード国王は経済・貿易協力のために5月にイランを訪問したが、このとき関連事項について議論した可能性が高いという説明だ。オマーンは2015年オバマ元政府がJCPOAを引き出す当時にも仲裁役を果たした。

これに関連して、バイデン大統領が来年の米大統領選挙前にイランとの関係を進展させておこうとするための布石ではないかという分析も出ている。バイデン大統領は前回の大統領選挙期間にJCPOAへの復帰を公約したが、今までこれといった成果はなく、イランの核開発能力は引き続き強化されているためだ。こうした中、3月に中国の習近平国家主席が敵同士だったサウジアラビアとイランを仲裁し、米国では中国の中東内の影響力強化に対する懸念が高まった。ブリンケン長官が最近サウジアラビアを訪れて安全保障強化を約束するなどサウジアラビアとの関係改善に乗り出した背景も中国牽制の一環だという見方もある。

一方、海外資金凍結解除のニュースが伝えられてイランのリアル貨の通貨価値も安定に転じた。イランのリアル市場為替レート告示サイト「ボンバスト」によると、この日リアル売買為替レートは1ドル=49万3000リアルを記録した。2週間前の為替レートは55万リアルだった。イラン為替レートは通常1ドル=31万~32万リアル水準だったが、昨年9月の反政府デモ以降は国際的孤立が深まり60万リアルまで高騰するなど貨幣価値が暴落した。

今回の米国の措置で、イラン内では凍結されていた韓国の石油販売代金も受け取ることができるのではないかとの期待も広がっている。イランの半官営ISNA通信は最近イラク内のイラン代金凍結解除の可能性を報じながら、この中で韓国にも触れていた。米国の制裁前にイラン産石油を大量に輸入していた韓国は現在約70億ドルをイランに支払わなければならない。しかし制裁によって資金が凍結されて韓国・イラン関係の大きな障害物になっている。



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