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韓国、一方では建設、一方では閉鎖…悩ましい石炭火力発電

ⓒ韓国経済新聞/中央日報日本語版

江原三陟市の廃鉱山に建設中の三陟(サムチョク)火力発電所1・2号機 チェ・ヨンジェ記者

5日午後、江原道三陟市積老洞(カンウォンド・サムチョクシ・ジョクノドン)の廃鉱山では石炭火力発電所建設工事が最終段階に入っている。ポスコ系列会社の三陟ブルーパワーが2018年から建設している「三陟火力1・2号機」で、工程率は約90%だ。韓国で建設される最後の石炭火力発電所となる。1号機は今年10月に、2号機は来年4月に商業運転を控えている。ところが三陟ブルーパワーは年初から進行予定だった試運転もまだ開始できずにいる。試運転燃料の陸上運送計画に対して住民が都心環境破壊だとして反発し、自治体が承認の撤回を要請すると、政府は再検討を指示した。

石炭火力発電は炭素中立(炭素排出ゼロ)の最大の障害物の一つであり、主要国が発電比率を減らしている。韓国も同じだ。文在寅(ムン・ジェイン)政権は忠清南道保寧(ポリョン)火力1・2号機を閉鎖し、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は2036年までに石炭火力発電所28基を徐々に閉鎖する方針だ。

ところが三陟火力1・2号機をはじめ、2021年以降に新たに商業運転を開始または計画中の石炭火力発電所は▼忠南新舒川(シンソチョン)火力▼慶南高城(コソン)ハイ火力1・2号機(以上、2021年)▼江原江陵(カンヌン)安仁火力1・2号機(2022-23年)など7基。炭素の排出を減らすとして石炭火力発電所を閉鎖する一方で新しく建設している状況だ。新規7基の投資額は約17兆ウォン(約1兆8300億円)、総発電量は7278MW(メガワット)で、年間温室効果ガス排出量は政府の推算で5018万トンとなる。


三陟火力1・2号機が完工後に商業運転に入っても、炭素排出負担のため経済性を帯びるよう稼働率を高めるのが容易でないという指摘が出ている。三陟火力の予想温室効果ガス排出量は年間1282万トンと、大田(テジョン)・光州(クァンジュ)地域全体(2019年基準)よりも多い。匿名を求めた業界関係者は「石炭火力発電所に投資して収益を回収するには30年間の稼働率が80%台でなければいけない」とし「新規7基の場合、70%達成も容易ではないだろう」と話した。現在、全国の石炭火力発電所稼働率は約57%。

もう一つの障害は一部の住民と環境団体の反対だ。キム・ドクニョン三陟石炭火力反対闘争委員は「三陟火力発電所が稼働すれば環境汚染物質の大量放出で市民の健康権が深刻に脅かされる」とし「政府は今からでも事業を放棄すべきだ」と声を高めた。

政府は最大限に稼働するものの環境被害を減らすための設備改善など努力を続ける方針だ。産業通商資源部の関係者は「電力需給の安定と経済的な損失などを考慮すると、新規7基の早期閉鎖は選択肢にならない」と述べた。自治体も住民被害の最小化に集中している。

韓国工学大のカン・スンジン名誉教授は「新規の石炭火力発電所門を閉鎖すれば座礁費用(電気料金として回収が不可能な費用)だけで数兆ウォンにのぼる」とし「発電所の設備補強で環境汚染物質排出量の低減に注力するものの、エネルギー税制の改編を通して液化天然ガス・再生可能エネルギーの比率を拡大する必要がある」と話した。



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