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米ドルの地位揺れ「不安定なナッシュ均衡」になれば韓国に直撃弾(2)

ⓒ韓国経済新聞/中央日報日本語版
過去の歴史を振り返ると1929年の大恐慌を経ながら米国と英国が金本位制を放棄した。すなわち当時は金を基準として各国が貿易をしていたが、大恐慌に襲われ米国と英国の経済が沈滞しこれ以上金を使えなくなったのだ。その結果世界は貿易をする通貨が消え右往左往することになり、結局世界の貿易が60%減少したという。そしてその過程で英国は英国の植民地国と独占的な貿易をし、フランスはフランス植民地と独占的な貿易をしながら植民地がなかったドイツと日本の経済が真っ逆さまに落ち込んだだ。こうした経済的衝撃で第2次世界大戦が勃発したとみることもできる。

結論的に不安定なナッシュ均衡は一度壊れれば大きな混乱を避けることはできない。経済学の教科書は泰然としたナッシュ均衡が崩れれば経済は別のナッシュ均衡を求めていつかは収束すると話しているが、現実の経済ではこうした均衡の移動過程はあまりにも長く苦痛な過程でありうる。そこで1970年代から日本とドイツを含む先進国は米国の経済を助けドルの価値を維持できるよう努力し、その過程でおなじみのG7という経済先進国の首脳会談が作られることになったのだ。米ドルを中心にする不安定なナッシュ均衡を複数の国が力を集めて無理にでも維持しようという趣旨だ。

日本やドイツが自分の経済ではない米国の経済を助けるということが奇怪に聞こえるかもしれないが、米ドルの価値が下落し基軸通貨の地位が揺らげば世界の貿易が打撃を受けるため怒りを飲み込んで米国を助けた。特に1985年のプラザ合意では、日本とドイツの製品に価格と品質で遅れをとった米国の産業が大きく弱まっており、この問題を解決するために日本とドイツが自国通貨を破格に切り上げて自ら輸出を減らす行動をした。その結果驚くほど成長した日本経済は長期沈滞に入りいまだ回復できなくなっているが米国の経済はプラザ合意以降大幅に回復し依然として世界経済を牽引している。もちろん当時は米国を中心にした自由陣営とソ連を中心にした共産陣営の冷戦が深刻だった時代だったため米国の経済を生かすことは単純に経済的目的だけではなかったため現在とは違った側面もあった。


◇韓国、実利得る賢い解決策みつけなくては

こうした過程で韓国は経済規模が小さい国で米国の経済を生かす力がないため日本やドイツと同じ要求を受けることはなかった。だが韓国の経済的地位が高まった現在は米国の態度が変わっている。サムスン電子やヒョンデ(現代自動車)、そしてSKのような韓国をリードする企業に米国に多くの投資をするよう露骨に誘導するのがそのひとつだ。事実2008年の金融危機とコロナ禍を克服するために米国は莫大な量のドルを刷り、そのために米国経済は再び脆弱な状況に置かれることになったのだ。最近ロシアを制裁するためロシアがドルを利用した貿易決済をできないようにしたのも長期的には米ドルの基軸通貨の地位に弱点となるかもしれない。

もしかするとドルは米国ではなくあなた方の問題なのでこれを解決しろという図々しい要求を米国が再び始めるかもしれない。そしてもうそうした要求を韓国が受ける可能性がある。韓国経済は発展した。韓国がG8に入るという話も出ている。経済大国になったというのはそれに見合った犠牲と責任を負わなければならないという意味だ。米ドルを中心にする基軸通貨の均衡が崩れれば輸出に依存する韓国の経済は最も大きな打撃を受けるのが明らかなため他国である米国のドル価値を維持するために韓国が米国経済を助けるべき状況が発生する可能性がある。

米ドルに代わる他の基軸通貨の候補が全く見えない状況では韓国も現在の均衡を維持するのに一定部分寄与するほかない現実だが、その過程で韓国経済も世界経済を率いる経済大国の地位を確固にしながら別の側面で利益を得られる賢い解決策を見いださなければならない。

ハン・スング/延世大学経済学科教授


米ドルの地位揺れ「不安定なナッシュ均衡」になれば韓国に直撃弾(1)

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