在庫犬の運命は繁殖業者の良心と余力に大きく左右される。「８８－３」が生まれた繁殖場には、役割のない犬１００匹が犬舎ではなく隔離室で生存していた。ユンさんは「繁殖能力のない老犬７０～８０匹、出産時に問題があり子孫を残せない子たちが２０匹ほどを療養の概念で隔離室で飼っている」と話した。

しかし、かなりの数の「在庫犬」は悲劇的な結末を迎える可能性が高い。１１日、水原地裁驪州支院は、伴侶犬の繁殖業者３２人から在庫になった犬と猫１２５６匹を１匹当たり１万ウォンを受け取って放置した古物商のＬ（６７）に対して動物保護法違反容疑で懲役３年の実刑を宣告した。かなりの数の犬は冷凍車の中ですでに死んだ状態でＬに届けられ、一部はＬの古物商の敷地内で餓死したことが調査で分かった。大量廃棄の危険から救出された犬たちの最期も以前から物議を醸している。動物保護団体「ケア」のパク・ソヨン元代表は、４年間で救助した動物９８匹をスペース不足などを理由に安楽死させたとして、Ｌと同じ容疑で裁判を受けている。２月１４日、１審で懲役２年の実刑を宣告されたパク元代表は、「伴侶犬の大量生産体制が存在する限り、遺棄・廃棄される子犬は存在せざるを得ない」とし「大規模繁殖場がなくならないなら、安楽死は子犬のための最も現実的な代案」と主張している。

政府が伴侶動物生産業を本格的に管理し始めたのは２０１８年３月からだ。２０１６年５月、ある放送を通じて違法な「子犬工場（パピーミル）」の実態が知られたのが発端だった。政府は動物生産業を申告制から許可制に転換し、動物虐待の法定刑を「懲役１年以下」から「懲役２年以下」に引き上げた。法施行後、繁殖場の飼育環境は改善されているというのが業界の説明だが、取り締まり・点検を専門に担当する人員は全国２２６の基礎自治体に４８１人（昨年６月基準、自治体当たり平均１．８人）にすぎず、監督の限界は歴然としている。


◇尖鋭する利益衝突、漂流する代替案

伴侶動物量産体制をめぐる利害関係者の立場は鋭く対立している。「繁殖が上手なところは奨励し、そうでないところは整理する政策が必要」（伴侶動物協会）という伴侶動物産業育成論、「需給管理のために１人当たりの生産可能頭数を減らし、生産者－消費者の直取引を活性化しなければならない」（伴侶動物生産販売者協会）という需給調整論、「複製的生産を許容する限り、遺棄動物問題は続く」（動物保護団体）という工場制生産の全面禁止論などが政策決定者を圧迫しているようだ。そのため、農林畜産食品部も昨年「動物福祉強化案」を発表し、「動物福祉水準の向上がペット産業の成長に貢献する好循環構造を形成する」という曖昧な結論を出した。「国内に登録された動物保護団体だけでも１４４ある。そのほかにも利害集団が多く、多様で対立が激しく、政策の優先順位の選定が難しい」という理由が加えられた。

ソウル大学獣医人文社会学科のチョン・ミョンソン教授は「汚い環境で大量に生産するところだけが工場ではない。清潔にして小規模に飼育してもお金を稼ぐための『商品生産』という性格は、人間と動物の絆を強調する『伴侶』の意味と矛盾する」とし「当事者の利益を調整し、政策の方向性を決める際、『絆の回復』という観点が反映される必要がある」と述べた。


「年間生産３０万匹、在庫１０万匹」…この工場の商品は「伴侶犬」＝韓国（１）