#.富士山に手が届きそうなくらいの距離でその絶景を一望できる山梨県河口湖付近の旅館。時折、野生の鹿が庭に迷い込んでくるほど恵まれた自然環境を保っている。しかし、それを楽しめるのは一部の中国人だけ。普段は日本人の管理人が常駐して管理している。「スーパーリッチ」と呼ばれる中国の富豪が訪れる日には、旅館は突然「ミシュラン」級のレストランに早変わりする。超一流の料理人が腕を振るう懐石料理とお酒に舌鼓をうつ至福の時間となる。
中国の富裕層がこのように日本の旅館を巨額で購入し、改装・改修して高級宿泊施設として利用する現象が最近増えていると、日本の隔週誌「プレジデント」が紹介している。中国の資産家の間では、統制一辺倒の習近平長期政権から逃れるため、海外への資産移転が加速している。日本の旅館の買収もその現象の一つと指摘されている。
実際、日本現地では中国人からの旅館購入の問い合わせが殺到している。日本国内の雰囲気も一因として挙げられる。慢性的な人手不足や経営者の高齢化、施設の老朽化などが続く中、3年余り前から新型コロナウイルス感染症で客が減り、廃業する旅館が続出した。このようにお互いのニーズが一致した結果、旅館のオーナーが変わるケースが少なくない。
ブルームバーグ通信によると、90年以上の歴史を持つ「つるや旅館」の売買事例が代表的だ。首都圏から近い静岡県熱海市にあるこの旅館は、かつては吉田茂元首相など政財界の著名人が訪れるほど威勢を誇っていた。また新婚旅行先としても憧れの存在だった。
そんなつるや旅館を数年前に買収したのは、香港の企業「グローリー・チャンピオン・エンタープライズ・リミテッド」。中国系資本の同社は、約250億円かけてつるやを改修。名前も「熱海パールスターホテル」に変更し、中国人富裕層をターゲットにした高級宿泊施設として昨年9月にリニューアルオープンした。
コロナ以前、日本を訪れる中国人は日本製の電気炊飯器などを集中的に購入し、「爆買い」という新語まで生まれた。不動産投資会社「Worth Land」の杉原尋海代表はこれに例えて「中国の富裕層が日本の旅館を『爆買い』し始めた」と語った。
中国の富裕層は旅館を「一石二鳥」の投資先とみなしている。日本の不動産投資収益率は平均4~6%で、比較的安定した収益源となっている。そのうえ、日本国内の不動産名義で子どもを日本で教育を受けさせる機会も得られる。
学習院大学の渡辺真理子教授はブルームバーグに対して「中国共産党が学習塾の非営利化を進めるなど教育への介入を始めたことで富裕層が投資だけでなく移住を視野に入れ始めた」とし「(旅館投資などで)在留資格を得ることで国外で子供の教育機会が得られる」と語った。
実際、日本の在留資格を維持するために旅館の買収と経営をセットで検討するケースも少なくない。また、日本に不動産を持っていれば、比較的質の高い医療や老人介護サービスも受けることができる。米国・欧州などに比べて、外国人の不動産購入制限など敷居が比較的低いのも日本の不動産の魅力だ。
中国資本の浸食は急速に進んでいる。ホテル旅館経営研究所によると、中国系の潤沢な資本などの影響で、今後10年間で温泉旅館の外国人所有率は4割程度になる見通しだ。日本政府の海外資本誘致基調もこれを後押しする雰囲気だ。日本政府は先月、2030年までに対日直接投資100兆円を目標に、海外から人材と資金を呼び込むとするアクションプラン「インベスト・ジャパン」を発表した。
しかし、最近になって徐々に強まる日本国内の反中感情が変数として浮上している。これに関連して、中国系不動産業者が巨額を提示しても、周囲の視線のせいでなかなか旅館を売却できない事例が出ているという。
中国の富裕層がこのように日本の旅館を巨額で購入し、改装・改修して高級宿泊施設として利用する現象が最近増えていると、日本の隔週誌「プレジデント」が紹介している。中国の資産家の間では、統制一辺倒の習近平長期政権から逃れるため、海外への資産移転が加速している。日本の旅館の買収もその現象の一つと指摘されている。
実際、日本現地では中国人からの旅館購入の問い合わせが殺到している。日本国内の雰囲気も一因として挙げられる。慢性的な人手不足や経営者の高齢化、施設の老朽化などが続く中、3年余り前から新型コロナウイルス感染症で客が減り、廃業する旅館が続出した。このようにお互いのニーズが一致した結果、旅館のオーナーが変わるケースが少なくない。
ブルームバーグ通信によると、90年以上の歴史を持つ「つるや旅館」の売買事例が代表的だ。首都圏から近い静岡県熱海市にあるこの旅館は、かつては吉田茂元首相など政財界の著名人が訪れるほど威勢を誇っていた。また新婚旅行先としても憧れの存在だった。
そんなつるや旅館を数年前に買収したのは、香港の企業「グローリー・チャンピオン・エンタープライズ・リミテッド」。中国系資本の同社は、約250億円かけてつるやを改修。名前も「熱海パールスターホテル」に変更し、中国人富裕層をターゲットにした高級宿泊施設として昨年9月にリニューアルオープンした。
コロナ以前、日本を訪れる中国人は日本製の電気炊飯器などを集中的に購入し、「爆買い」という新語まで生まれた。不動産投資会社「Worth Land」の杉原尋海代表はこれに例えて「中国の富裕層が日本の旅館を『爆買い』し始めた」と語った。
中国の富裕層は旅館を「一石二鳥」の投資先とみなしている。日本の不動産投資収益率は平均4~6%で、比較的安定した収益源となっている。そのうえ、日本国内の不動産名義で子どもを日本で教育を受けさせる機会も得られる。
学習院大学の渡辺真理子教授はブルームバーグに対して「中国共産党が学習塾の非営利化を進めるなど教育への介入を始めたことで富裕層が投資だけでなく移住を視野に入れ始めた」とし「(旅館投資などで)在留資格を得ることで国外で子供の教育機会が得られる」と語った。
実際、日本の在留資格を維持するために旅館の買収と経営をセットで検討するケースも少なくない。また、日本に不動産を持っていれば、比較的質の高い医療や老人介護サービスも受けることができる。米国・欧州などに比べて、外国人の不動産購入制限など敷居が比較的低いのも日本の不動産の魅力だ。
中国資本の浸食は急速に進んでいる。ホテル旅館経営研究所によると、中国系の潤沢な資本などの影響で、今後10年間で温泉旅館の外国人所有率は4割程度になる見通しだ。日本政府の海外資本誘致基調もこれを後押しする雰囲気だ。日本政府は先月、2030年までに対日直接投資100兆円を目標に、海外から人材と資金を呼び込むとするアクションプラン「インベスト・ジャパン」を発表した。
しかし、最近になって徐々に強まる日本国内の反中感情が変数として浮上している。これに関連して、中国系不動産業者が巨額を提示しても、周囲の視線のせいでなかなか旅館を売却できない事例が出ているという。
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