女性信徒に対する性的暴行容疑で起訴されたキリスト教福音宣教会（ＪＭＳ）総裁の鄭明析（チョン・ミョンソク）被告（７７）の犯罪を助けた助力者らが裁判にかけられた。

大田（テジョン）地検特別捜査チームは３日、準類似強姦ほう助と強制わいせつほう助、準強姦ほう助などの容疑でＪＭＳのナンバー２と呼ばれるキム・ジソン（芸名：チョン・ジョウン）被告（４４）ら２人を拘束起訴、４人を在宅で起訴したと明らかにした。ＪＭＳの主要幹部に対し捜査の証拠になる恐れがある携帯電話の交換を指示するなど証拠隠滅を主導した局長クラスの別のチョン被告（５１）ら２人も在宅のまま起訴した。

◇起訴された８人、チョン氏・チュ氏の姓を芸名に使用


起訴された８人はいずれもチョン氏、チュ氏を姓とする芸名を使っているが、チョン氏はＪＭＳ総裁である鄭明析被告の性を、チュ氏は韓国語で神様を意味する「チュニム」という単語から取ったものという。彼らの芸名はいずれも鄭明析被告が名付けたものだ。

鄭明析被告の後継者あるいはＪＭＳのナンバー２として知られるキム・ジソン被告は香港籍の女性信徒Ａさん（２９）に鄭明析被告を「メシア」だと称して洗脳した後、２０１８年３～４月ごろに「ここで神様を守って寝るように」と指示して犯行に加担した容疑を受けている。検察はキム・ジソン被告が鄭明析被告の性的暴行に加担した経緯と役割を考慮して共同正犯と判断し、ほう助容疑ではなく準類似強姦の容疑を適用した。キム・ジソン被告は検察の調べに対し、自身にかけられている容疑のほとんどを否認しているという。

◇美貌の女性信徒「信仰スター」に選抜し鄭明析被告に送る

キム・ジソン被告とともに準類似強姦などの容疑で起訴された女性５人は、美貌の女性信徒で結婚しないで宣教会の教理に従う信徒、いわゆる「信仰スター」を選抜して鄭明析被告に送っていたことが明らかになった。彼女らはいずれも信仰スターを経た後にＪＭＳの主要職務を受け持つようになった。検察は「彼女らは鄭明析被告が女性らを相手に性犯罪に及んだ当時、外で待機したり監視したりする役割を受け持つこともした」と説明した。

検察によると、ＪＭＳは１９８０年代初めから美貌が優れた女性信徒を選抜し、「常緑樹」という名前で別途管理した。時間が過ぎて名称も「信仰スター」に変わった。身長と容貌など一定基準の身体的条件を備えた女性だけを選抜し、信仰スターになれば牧師以上の特別な地位を与えられるなど教団内での地位も高くなるというのが検察の説明だ。最終的に鄭明析被告が承認し、一部の信徒は信仰スターになることを光栄なことだと考えたという。

◇「神（鄭明析総裁）を拒否すれば地獄に行く」と洗脳

キム・ジソン被告らは女性信徒を対象に「鄭明析総裁の愛はだれもが受けることはできない選択的恩寵だ。神を拒否すれば地獄に行く」として洗脳させたと調査された。ＪＭＳ内組織の国際宣教局は英国、オーストラリア、香港、日本、台湾など６～７カ国で女性信徒を管理しており、韓国国内の１００～２００カ所のＪＭＳ地域教会でも信仰スター候補のプロフィールを作成して鄭明析被告に伝えていた。彼らが作成したプロフィールには信仰スター候補の年齢と身長、体重だけでなく長所と短所と、住居形態、特技などまで詳細に記録されていた。

調査の結果、鄭明析被告が香港と中国で逃亡生活をする間に彼を支援したことで信任を得たキム・ジソン被告は、鄭明析被告が収監された２００９年から事実上教団のナンバー２の座に上った。鄭明析被告が収監生活を終えて出所した２０１８年２月１８日を復活の日と明示して、鄭明析被告を「神様」あるいは「メシア」と呼んで女性信徒と鄭明析被告が２人で会う席を用意した。

◇検察「鄭明析被告の犯罪背景には組織的助力行為ある」

大田地検のキム・ギョンス検事補は、「鄭明析被告の犯行が可能だったのは被告人の組織的な助力行為があったため。被害者の魂まで踏みにじる反人権的な犯罪であるだけに罪に相応する処罰ができるように最善を尽くしたい」と話した。

一方、鄭明析被告は２０１８年２月から２０２１年９月まで１７回にわたり忠清南道錦山郡（チュンチョンナムド・クムサングン）の修練院などでＡさんに性的いやがらせや性的暴行に及び、２０１８年７月から同年末まで５回にわたり錦山修練院でオーストラリア国籍のＢさん（３０）に性的いやがらせをした容疑で逮捕起訴され、１審裁判を受けている。彼はこれに先立ち２００１年８月から２００６年４月までマレーシアのリゾート、香港のマンション、中国・鞍山のホテルなどで２０代の女性信徒４人に性的いやがらせや性的暴行などをした罪で懲役１０年を宣告され服役した後、２０１８年２月に出所した。