尹大統領は日本・米国首脳と会った後、「屈辱外交」「最悪の手ぶら会談」という声を聞いた。大胆に与えたのに対して受けたものは貧弱だったということだ。韓国企業は米国に大規模な投資し、多くの雇用を創出した。しかし米国は韓国企業に打撃を与えるインフレ抑制法（ＩＲＡ）、半導体科学法には手を付けなかった。米国の記者がバイデン大統領に「核心の同盟国に被害を与えようとしているのでは」と尋ねたほどだ。誠意のある後続措置がなければいけない。

岸田首相が７日に答礼訪問する。尹大統領は日帝徴用被害者への賠償を日本戦犯企業にさせない第三者代位弁済を決断した。岸田首相も「痛切なお詫びと反省」程度の表現で呼応しなければならない。尹大統領は「百年前のことで無条件にひざまずけといえない」と発言し、厳しい批判を受けた。このような時に岸田首相が「百回、千回でもひざまずく用意がある」と言えばどうだろうか。

今は未来志向的な韓日関係のために情熱を傾けている尹大統領を格別に配慮する時だ。ナチスと戦ったブラント独首相はナチスの蛮行に謝罪する意味でホロコースト犠牲者追悼碑の前でひざまずいた。ドイツは２度も世界大戦を起こした戦犯国だが、限りない謝罪で世界の信頼を得た。不可能と考えられた統一を成就し、欧州のリーダーになった。日本が進むべき道だ。


外交の出発点も終着地も内政だ。国民の支持がない外交は砂城にすぎない。内部説得のための統合的な国政運営が必須だ。金大中（キム・デジュン）元大統領は進歩だったが、執権後、最初の統一部長官に強硬保守の康仁徳（カン・インドク）を任命し、保守を安心させた。青瓦台（大統領府）外交安保首席室のメンバーは首席だけを林東源（イム・ドンウォン）に交代させただけで、前政権で任命された秘書官・行政官全員を留任させた。西ドイツのゲンシャー外相は第３党の自由民主党所属だった。にもかかわらず政派を超越し、社民党・キリスト教民主党政権で１８年間在任し、ドイツ統一の産婆役になった。破格の指導者である尹大統領が熟考することを望む。

尹大統領の耳元には米議会の熱い歓声が残っているはずだ。残念ではあるが、当分は忘れるべきだろう。冷たい反対者の心を変えることに全力投球しなければいけない。国民の心をつかめない外交は根のない木と変わらない。内部説得に失敗した外交はどこにも立つ場所がないからだ。

李夏慶（イ・ハギョン）／論説委員


【コラム】尹錫悦外交、内部説得に失敗すれば水の泡に（１）