グアムに入港した米オハイオ級戦略原子力潜水艦(SSBN)「メイン」 [写真=米太平洋艦隊ツイッター]
NMCCは米国の大統領と国防長官が状況報告を受けて指示を出すところだ。危機が発生すれば、軍事衛星や偵察機で状況を把握させたり、戦闘司令部に命令を伝えたりする。戦争を扱うハリウッド映画にここがよく登場するのもこうした理由からだ。有事の際、米国の核戦略3軸の大陸間弾道ミサイル(ICBM)、戦略原子力潜水艦、戦略爆撃機などもここが出撃させる。偶発的な核戦争を防ぐために冷戦時代から稼働してきた米露ホットラインもNMCCが管理する。
パク・チョルギュ元国防総省軍備統制検証団長は「NMCCは外国の国家元首に公開しない施設」とし「尹大統領がここで米国防長官、統合参謀本部議長など米軍指揮部のブリーフィングを受けたのは、米軍がワシントン宣言を軍事的にも積極的に具現するという立場を繰り返し確認するものだ」と分析した。
米国はその間、韓国に拡大抑止を提供すると明らかにしてきた。拡大抑止は米国が必要な場合、核抑止力を同盟国や協力国に提供するという防衛公約だ。拡大抑止が通用するには、米国が自国の被害を覚悟してでも核を含む拡大抑止手段を使用するという意志が明確でなければいけない。このため韓国は米国の意志に対する「担保」を持続的に要求してきた。
その結果、両国はワシントン宣言で▼核の脅威に対する意思疎通・情報共有を増進▼核・戦略企画を議論▼朝鮮半島での核抑止適用に関する連合教育・訓練活動強化--に合意した。韓米外交安保ラインは今回の合意について、米国の拡大抑止に対する韓国の影響力を保障することで実行力を高める効果をもたらすと期待している。
今まで米国は有事の際、いかなる種類の拡大抑止手段をどんな形で使用するかを知らせてこなかった。戦略資産を展開する場合も韓国に一方的に通知した。しかしワシントン宣言で核協議グループ(NCG)が新設されることになり、今後、韓国は米国の拡大抑止情報を共有しながら自国の意思を積極的に反映できることになった。
拡大抑止は核戦争力だけを意味するのではない。オースティン米国防長官はこの日のブリーフィングで「拡大抑止には通常兵器・核・ミサイル防衛能力がすべて含まれる」と述べた。敵陣深くにある核心施設を精密武器で打撃できるF35ステルス戦闘機も拡大抑止の主な手段の一つに挙げられる。
尹大統領がNMCCに続いて訪問したDARPAは米国防研究・開発計画を樹立する機関だ。1957年に旧ソ連が世界で初めて人工衛星スプートニクを打ち上げると、国防関連の科学技術で遅れてはいけないとして設立した機関だ。インターネット、GPS、自動運転など21世紀に日常になった先端技術もDARPAに直接・間接的に由来する。峨山政策研究院のジェームズ・キム研究委員は「米国が外国の国家元首では初めて尹大統領をDARPAに招待したのは、韓米安保同盟を先端科学技術同盟に拡大するという意志を見せるものだ」と述べた。
米国防総省のライダー報道官は27日、韓国に展開する戦略原子力潜水艦を「オハイオ級」と確認した。オハイオ級は核弾頭を装着したトライデントII D5潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM、射程距離1万2000キロ)を発射でき、誤差は90メートルにすぎないほど精密度が高い。米太平洋艦隊は26日、オハイオ級「メイン」がグアムに入港する姿を公開した。このため「メイン」が近いうちに朝鮮半島の戦区で戦略哨戒に入るという見方が出ている。
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