もう何人目なのかわからない。大衆から愛されて憧れの対象となるアイドルの「極端な選択」だ。今回はASTROのメンバー、ムンビンさんだ。今年で25歳。アイドル最高のダンサーの一人であり、いつも笑顔で、元気で明るいイメージだった。正確な理由は分からないが、K-POP特有の競争システムの中で心理的圧迫が少なくなかったと推測するばかりだ。ムンビンさんは今月初め、海外公演の時に体調不良で出国を先送りし、公演後にインターネットのライブ放送で「少し大変だったが、私が選んだた職業なので自分が耐えなければならない」と打ち明けた。
アイドルだけではない。最近、ソウル江南(カンナム)では5日間、3人の10代が自ら命を絶った。その中の1人である10代の女子高生は、その過程をSNSで生中継した。現場にはインターネットコミュニティ(コミュニティサイト「DCインサイド」のうつ病ギャラリー)で出会った20代男性が一緒にいたが、該当女子高生が性搾取に遭って自ら命を絶ったと思われる犯罪の可能性も懸念される。京畿(キョンギ)大学のイ・スジョン教授はラジオ番組で「これは性搾取、自殺助長、麻薬使用など最悪の組み合わせが集まった『進化したn番部屋』事件」とし厳重捜査を促した。DCインサイドの社会的責任も強調した。この他にも職場内いじめにあった30代ワーキングマザー、チョンセ詐欺被害者、性暴行実父の低い刑量に絶望した20代の娘など若者たちが相次いで命を捨てている。
韓国は経済開発協力機構(OECD)加盟国の中で不動の自殺率1位の国だ。自殺者数がOECD平均の2倍を超える。自殺率は2011年に頂点に達した後減少傾向だったが、最近4~5年間再び増えている。高齢者の自殺率は減っているのに対し、10~20代は増加するのが目立つ。統計庁によると、20代の自殺率は2017年(人口10万人当たり)16.4人から2021年23.5人へと、10代の自殺率は同期間4.7人から7.1人へと増えた。
2021年自殺の原因は精神的問題(40%)、経済生活(24%)、肉体的疾病問題(18%)の順だった。特に、若年層の精神健康に赤信号が灯っている。2021年、20代のうつ病患者は2017年に比べて127%も増えた。20代の不安障害患者も87%増えた。韓国社会特有の過当競争によるストレス、比較をあおるSNSなどが要因として挙げられる。
高い自殺率の傍証なのか、我々には自殺という言葉を口にすることを嫌う雰囲気が強い。自殺や死に対する言及をタブー視し、自殺者や遺族に対する配慮のレベルで、あるいは自殺を助長する可能性(有名人の自殺を真似するウェルテル効果)を警戒しながらだ。今この文章もそうだが、韓国のマスコミは韓国自殺予防協会と共同でまとめた「自殺報道倫理綱領」にしたがって、「自殺」の代わりに「極端な選択」という言葉を使う。
ところが、イェール大学医学部精神医学科のナ・ジョンホ教授は、いくつかのインタビューで「完璧な表現を使うことで自殺を減らしたり予防したりするという根拠はない」と主張する。極端な選択という表現がかえって自殺を可能な一つの選択肢として受け入れられ、遺族に選択の理由を問い詰めらせ、苦痛と罪意識だけを抱かせるという説明だ。海外メディアが自殺という中立的表現を使う理由だ。インターネットにはこのような書き込みがある。「体調が悪くて死ぬことを選択とは言わないのに、精神が痛くて死ぬことはなぜ選択だと言うのか」「自殺は状況に追い込まれて起きることであり、選択ではない」。
重要なのは「極端な選択」という迂回的表現にも自殺は少しも減っていないという点だ。ナ教授の言葉どおり「(自殺とは)問題に直面したくない、韓国社会の防御メカニズム」だけを固めたのではないか。大統領直属の国民統合委員会も21日、「極端な選択という用語の自制」を促した。世界最高自殺率、最低出生率、生活満足度全世界59位、児童・青少年の生活満足度OECDで最下位(2022)。改めて確認した韓国社会の成績表だ。最近、政府が2027年までに自殺率を30%引き下げる第5次自殺予防基本計画を立てたが、これも数値の引き下げの実績中心より社会の根本的な体質改善への取り組みが伴われてこそ意味があるだろう。
ヤン・ソンヒ/中央日報コラムニスト
アイドルだけではない。最近、ソウル江南(カンナム)では5日間、3人の10代が自ら命を絶った。その中の1人である10代の女子高生は、その過程をSNSで生中継した。現場にはインターネットコミュニティ(コミュニティサイト「DCインサイド」のうつ病ギャラリー)で出会った20代男性が一緒にいたが、該当女子高生が性搾取に遭って自ら命を絶ったと思われる犯罪の可能性も懸念される。京畿(キョンギ)大学のイ・スジョン教授はラジオ番組で「これは性搾取、自殺助長、麻薬使用など最悪の組み合わせが集まった『進化したn番部屋』事件」とし厳重捜査を促した。DCインサイドの社会的責任も強調した。この他にも職場内いじめにあった30代ワーキングマザー、チョンセ詐欺被害者、性暴行実父の低い刑量に絶望した20代の娘など若者たちが相次いで命を捨てている。
韓国は経済開発協力機構(OECD)加盟国の中で不動の自殺率1位の国だ。自殺者数がOECD平均の2倍を超える。自殺率は2011年に頂点に達した後減少傾向だったが、最近4~5年間再び増えている。高齢者の自殺率は減っているのに対し、10~20代は増加するのが目立つ。統計庁によると、20代の自殺率は2017年(人口10万人当たり)16.4人から2021年23.5人へと、10代の自殺率は同期間4.7人から7.1人へと増えた。
2021年自殺の原因は精神的問題(40%)、経済生活(24%)、肉体的疾病問題(18%)の順だった。特に、若年層の精神健康に赤信号が灯っている。2021年、20代のうつ病患者は2017年に比べて127%も増えた。20代の不安障害患者も87%増えた。韓国社会特有の過当競争によるストレス、比較をあおるSNSなどが要因として挙げられる。
高い自殺率の傍証なのか、我々には自殺という言葉を口にすることを嫌う雰囲気が強い。自殺や死に対する言及をタブー視し、自殺者や遺族に対する配慮のレベルで、あるいは自殺を助長する可能性(有名人の自殺を真似するウェルテル効果)を警戒しながらだ。今この文章もそうだが、韓国のマスコミは韓国自殺予防協会と共同でまとめた「自殺報道倫理綱領」にしたがって、「自殺」の代わりに「極端な選択」という言葉を使う。
ところが、イェール大学医学部精神医学科のナ・ジョンホ教授は、いくつかのインタビューで「完璧な表現を使うことで自殺を減らしたり予防したりするという根拠はない」と主張する。極端な選択という表現がかえって自殺を可能な一つの選択肢として受け入れられ、遺族に選択の理由を問い詰めらせ、苦痛と罪意識だけを抱かせるという説明だ。海外メディアが自殺という中立的表現を使う理由だ。インターネットにはこのような書き込みがある。「体調が悪くて死ぬことを選択とは言わないのに、精神が痛くて死ぬことはなぜ選択だと言うのか」「自殺は状況に追い込まれて起きることであり、選択ではない」。
重要なのは「極端な選択」という迂回的表現にも自殺は少しも減っていないという点だ。ナ教授の言葉どおり「(自殺とは)問題に直面したくない、韓国社会の防御メカニズム」だけを固めたのではないか。大統領直属の国民統合委員会も21日、「極端な選択という用語の自制」を促した。世界最高自殺率、最低出生率、生活満足度全世界59位、児童・青少年の生活満足度OECDで最下位(2022)。改めて確認した韓国社会の成績表だ。最近、政府が2027年までに自殺率を30%引き下げる第5次自殺予防基本計画を立てたが、これも数値の引き下げの実績中心より社会の根本的な体質改善への取り組みが伴われてこそ意味があるだろう。
ヤン・ソンヒ/中央日報コラムニスト
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