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【コラム】「失われた10年」の警告、聞き流してはならない=韓国(2)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
典型的な失敗事例に選ばれるイタリアの経験は示唆点が少なくない。2005年に3万ドルを突破したが昨年は3万5000ドル台にとどまり18年連続で足踏み状態を続けてきたイタリアは、ベーシックインカムを掲げた左派政権を含めポピュリズム政党が入れ替わりながら執権する混濁した政治構図に巻き込まれてきた。金融緩和政策が負債を育て過度な負債は成長を低くし低成長が再び負債を増やす悪循環が重なった。少子高齢化も欧州最悪水準で、65歳以上の高齢者の割合27%は世界最高齢国の日本に近接し合計特殊出生率1.6は欧州最低で、優秀人材はドイツ、フランス、英国などへ離脱している。

米国の大恐慌時代に国民所得と国内総生産(GDP)の概念を初めて導入したノーベル経済学賞受賞者サイモン・クズネッツ元ハーバード大学教授は「世の中には4種類の国がある。先進国、後進国、日本とアルゼンチン」という話を残した。韓国は最貧国から先進国の入口まで一気に駆け抜けた底力を持っている国だが、クズネッツが例示した4種類の国の病症をあまねく備えた残念な現実に直面している。例えば、世界最低水準の出生率と低い貯蓄率で低成長の構図が固定化する先進国病、未来より過去に執着し、科学より怪談を前面に出す政治社会風土とまだ竹槍歌を歌う退行性後進国病、国の負債急増と経済活力減退にともなう構造的長期不況による「失われた20年」を体験した日本病、そして跛行的労組形態とポピュリズム政策で反復的経済危機の重い病気に苦しめられたアルゼンチン病だ。

複合的合併症傾向の結果は1%台に落ち込んだ潜在成長率が克明に見せる。潜在成長率急落では経済協力開発機構(OECD)下位圏であり、米国の57%、ドイツの63%水準の低い労働生産性が一役買う。さらに今後10年は地政学的リスク、気候変動危機、そして産業大転換時代の挑戦的時期であるだけに直面する合併症の根本的な治癒なくして国の未来はない。3万ドルの罠にはまりOECD加盟国平均である4万ドル入りに失敗した国々の前轍を踏まないようにするには画期的な突破口が必要な現在なのに、むしろ財政準則導入は後回しにされ、予備妥当性調査免除拡大には与野党がひとつになる姿はイタリアのデジャブだ。


「鉄の女」ことマーガレット・サッチャーの「思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから。言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから」という名言は指導者の品格ある言動を強調した警句だ。正しい精神と品行そして目の前の政治的得失ではなく未来を見通す政策と戦略が国力の基本だ。長期沈滞の懸念を払拭させる非常計画稼動で国民に感動と希望を与える政治リーダーシップが至急だ。近づいてくる「失われた10年」を避けるにはより一層そうだ。

全光宇(チョン・グァンウ)/世界経済研究院理事長・元金融委員長


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