日本を訪問した韓国野党「共に民主党」の「福島原発汚染水放出阻止対応団」の議員４人は原発を管理する東京電力の責任ある担当者に会うことができなかった。事前の約束がなく建物に入れないまま路上で垂れ幕を掲げて記者会見をした。これを見守った東京電力社員に原発汚染関連資料を要請する文書を渡しただけだ。日韓議員連盟所属議員をはじめとする主要政治家らとの面談も実現しなかった。魏聖坤（ウィ・ソンゴン）、梁李媛瑛（ヤンイ・ウォンヨン）、尹永徳（ユン・ヨンドク）、尹才ガプ（ユン・ジェガプ）議員が現地会見で韓国語の垂れ幕を掲げたことをめぐり「国内政治用のアピールショー」という批判が出ている。

民主党議員は脱原発運動を行う学者らに会ったのに続き、きのう福島を訪れある市議会議員と面談した。福島県伊達市の島明美市議は日本政府の原発汚染水放流について、現地住民のうち賛成する人はほとんどいないと伝えた。日本政府が提示する資料の信頼性にも疑問を示した。議員らはふくしま共同診療所も訪ねが、原発現場訪問は拒否されできなかった。福島の現地住民の反応は日本に行かなくても知ることができる内容だが、無計画に訪日し行く所ごとに写真を撮るのは「ノイズマーケティング」でなければ何なのか。

市民団体でもなく国会議員ならば事実と資料に基づいて判断しなければならない。国際原子力機関（ＩＡＥＡ）は５日、「福島原発汚染水放流とモニタリング計画を信頼できる」という中間報告書を出した。だが対応団団長である魏議員は「ＩＡＥＡをすべて信じて任せることはできない」とした。文在寅（ムン・ジェイン）政権時代の２０２１年４月に当時の鄭義溶（チョン・ウィヨン）外交部長官が国会で「日本がＩＡＥＡの基準に合う手続きに従えば反対しない」と話したのも「個人の突出発言」で片付けた。幹事である梁李議員は訪日活動の正当性を強調しようと「狂牛病怪談問題」を例に挙げ「１０００万人集会で政府が交渉権限をさらに得ることができた」と主張したが、怪談と扇動に免罪符を与えようとする詭弁に近い。


日本の汚染水放流が近隣海洋と水産物の安全に及ぼす影響を問うべき問題であることは言うまでもない。まずはＩＡＥＡの検証結果を見守らなければならず、日本も調査に周辺国の参加を増やすなどさらに責任ある姿勢を見せなければならない。尹錫悦（ユン・ソクヨル）大統領が訪日中に汚染水と関連して明らかにした立場が明快に釈明できない点も混乱を招いた原因だ。しかし汚染水放流対応は韓国政府が国際社会と連帯して解決することだ。尹大統領が直接福島産水産物輸入禁止方針を話したのに、民主党が韓国政府の話は聞いていないふりをして世論戦だけ行うのは不適切だ。

野党が政府の対外政策を評価し問題を見つけ出すことは当然すべきことだ。だが外交的事案を持って該当国を訪ねて行くのは見苦しい。議員外交どころか内輪もめだけ見せる格好だ。２０１６年８月にも当時の金英豪（キム・ヨンホ）議員ら民主党初当選議員６人が高高度防衛ミサイル（ＴＨＡＡＤ）の韓半島（朝鮮半島）への配備問題と関連して中国を訪問し議論を呼んだ。中国政府関係者には会えず民間専門家らと会って配備反対の立場だけ聞いてきた。弾劾訴追案可決で朴槿恵（パク・クネ）大統領の権限行使が停止されていた時期、民主党の宋永吉（ソン・ヨンギル）議員らが中国を訪れたのも政権交代後に韓中関係がバランスよく出発できなかった端緒だったとの指摘を受けた。２０２１年に羅卿ウォン（ナ・ギョンウォン）元議員は米国を訪問して共和党議員らを相手に文在寅政権の終戦宣言反対世論戦を展開した。私たちの顔に自ら墨を塗るやり方はやめる時になった。