北朝鮮は2017年11月29日に「核武力完成」を宣言した後、韓国・米国と首脳会談を開いて非核化交渉をした。そして同時に核・ミサイル高度化に必要な時間を稼いだ。結果は韓半島(朝鮮半島)全域だけでなく日本まで同時多発的に打撃できる戦術核8種セットで返ってきた。北朝鮮が抑止手段と主張してきた戦略核に加え、先制攻撃に使用する可能性があると明らかにした戦術核まで手にしたことで、韓国が直面する現実は完全に変わった。北朝鮮の核はもう実質的な脅威として近づいている。中央日報は2019年のハノイ・ノーディール以降の4年間に北朝鮮の核能力がどこまで高まったかを緊急点検した。
2019年5月4日。北朝鮮は江原道元山(ウォンサン)虎島(ホド)半島一帯から短距離弾道ミサイル(SRBM) 1発を発射した。当時の北朝鮮のミサイル発射は、同年2月にハノイで開催された2回目の米朝首脳会談が決裂してから3カ月後だった。
北朝鮮は「新型戦術誘導武器」を発射したと主張したが、文在寅(ムン・ジェイン)政権は「短距離ミサイル」という軍当局の初期の発表を30分後「短距離発射体」に訂正した。韓米軍当局はこのミサイルにKN-23というコードを付けた。北朝鮮は先月28日、弾丸のように多様な武器に装填できる戦術核弾頭「火山31」の実物を初めて公開し、KN-23にも装着可能という点を意図的に明らかにした。
北朝鮮が2019年5月にKN-23の試験発射をしたのは、すでに数年前に開発を始めていたことで可能だった。3回の南北首脳会談と、2回の米朝首脳会談が開かれた2018年から2019年初めの間にも、ミサイル開発を進めていた可能性が高いということだ。特に北朝鮮は2018年5月、非核化のための「先制的措置」の一環として海外記者を招待し、咸鏡北道吉州郡豊渓里(プンゲリ)にある「核実験場」爆破場面を公開し、永久廃棄したと明らかにした。
北朝鮮の核政策変化の核心は、金正恩(キム・ジョンウン)委員長執権初期に集中した戦略核から戦術核に重心を移した点だ。北朝鮮は2017年に6回目の核実験と米国を狙ったICBM級「火星15型」の試験発射に成功した直後、核武力完成を主張した。金正恩はこれを土台に米国と「核談判」をしたが、失敗に終わった。当時、北朝鮮の核・ミサイルは事実上、米国を交渉テーブルに導く手段だったということだ。
しかし北朝鮮は2017年の「核武力完成」にとどまらなかった。北朝鮮は2019年から最近まで超大型放射砲(KN-25)、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)、地上発射巡航ミサイル(GLCM)など多様な戦術核運搬手段を公開した。2023年現在、北朝鮮の核・ミサイルは韓半島(朝鮮半島)全域に核打撃を敢行できるレベルに発展した。
特に北朝鮮は韓半島有事の際、増援戦力を送る日本の国連軍司令部後方基地と米軍基地に対する核の脅威までも露骨化する姿だ。金正恩は2019年のハノイ・ノーディール以降の4年間、韓国に実質的な核攻撃を加えることができる手段を手にした。北朝鮮は過去に自らが持つ戦略核について戦争を抑止する手段と主張したが、戦術核打撃能力を強化すると、昨年9月に「先制打撃」の可能性を明らかにする「核武力法」を採択するなど攻勢的な核戦略を見せている。
◆「弾丸のように取り替える戦術核」
金正恩は2021年1月に開いた第8回党大会で、小型軽量化した戦術核兵器の開発、超大型核弾頭の生産、1万5000キロ射程距離の精巧な打撃能力確保など戦略武器の開発方向を提示しながら核・ミサイルの迅速な高度化に傍点を打った。この方針に基づき核弾頭小型・軽量化にまい進してきた北朝鮮は結局「火山31」を公開した。韓米は北朝鮮が7回目の核実験で戦術核を爆発させるまで判断を留保するという立場だが、すでにこれまでの核実験で小型化技術を確保した可能性が高いというのが専門家らの分析だ。
匿名を求めた国策研究機関の研究委員は「弾丸を銃に装填する方式の核弾頭ミサイル搭載は北だけが持つ」とし「一つの戦術核弾頭を多様な運搬手段に搭載できる標準・規格化は、従来の核強大国である米国・中国・ロシアほどの余力がない北の立場では最善の選択」という分析が出ている。
韓国国防研究院のイ・サンギュ現役研究委員は「北の7回目の核実験見通しおよび戦術核兵器分析」で、北朝鮮の戦術核を直径40-50センチ、長さ90センチ、重さ150-200キロ、威力4-7キロトンと予想した。これは「火山31」の諸元とほぼ同じとみられる。
政府筋は「多様な運搬手段に搭載できるよう弾丸型を選択したようだ」とし「写真にボルトやナットが見えるが、シリンダー(円筒)形の方に通信・計測・起爆装置などを入れたと推定される」と述べた。続いて「北の立場では戦術核兵器にモジュール化した核弾頭を搭載するのが管理や運用の側面で有利だと判断したのだろう」と話した。
北朝鮮国営メディアは先月28日、金正恩が「火山31」を点検する場面を公開し、壁面に運搬手段が描かれたパネルを意図的に露出した。北朝鮮が公開した写真には、北朝鮮版イスカンデルと呼ばれるKN-23と600ミリ超大型放射砲(KN-25)をはじめ、北朝鮮版エイテクムス(KN-24)、近距離弾道ミサイル(CRBM)、長距離巡航ミサイル「ファサル-1・2」、核無人潜水艇「ヘイル」、SLBMなど8種の戦術核兵器が映っていた。
◆「迎撃は難しい」
北朝鮮は戦術核運搬手段を多様化する作業も同時に進めてきた。この過程で韓半島と周辺を同時に打撃できる「ゲームチェンジャー」としてミサイル技術をほぼ完成した状態だ。これらミサイルは固体燃料エンジンで飛行するため、事前に発射準備作業が必要な液体燃料エンジンと比べて奇襲発射が可能だ。さらに北朝鮮がミサイルの発射方式を移動式発射台(TEL)はもちろん、列車・湖・潜水艦・サイロなどに多角化した点も脅威を高める要因というのが、専門家らの指摘だ。
最も大きな問題はこれらミサイルの場合、韓米が保有するミサイル防衛体系では迎撃が難しいという点だ。KN-23、KN-24、KN-25は韓米の探知資産が脆弱な高度30-40キロ区間を飛行したり、変則機動をする特徴を持つ。このため、ミサイルの着弾地域を予測して終末段階で迎撃する韓米のパトリオット(PAC3 MSE)や高高度防衛ミサイル(THAAD)体系を無力化することが考えられる。米議会調査局も最近、報告書「北朝鮮の核兵器および弾道ミサイルプログラム」で「北朝鮮のKN-23、KN-24、KN-25は機動性・有効性・精密性を立証し、迎撃が難しい特性を持つ」と明らかにした。
深海に潜んで核攻撃が可能な「水中ドローン」方式の「「ヘイル」と100メートル前後の低高度をマッハ0.8(時速970キロ)ほどの遅い速度で機動して方向を自由に変える巡航ミサイル「ファサル1・2型」、連続発射が可能なKN-25も探知および迎撃が難しいのは同じだ。北朝鮮が運搬手段を通常弾頭と戦術核弾頭を混ぜて同時多発的に砲撃する場合、適当な手段がないという見方が出てくる理由だ。
科学技術政策研究院の李春根(イ・チュングン)名誉研究委員は「韓半島は大きくないためミサイルを迎撃するための時間が十分でない」とし「戦術核に対応するのは基本的に容易でない」と話した。ミサイル専門家のクォン・ヨンス元国防大教授も「北のKN-23の下段推力を制御する構造はロシアのキンジャール極超音速ミサイルと似ている」とし「北がロシアのSRBMのイスカンデルを単純改造したのでなく回避機動性能をさらに改善したとみることができる」と話した。
「弾丸詰め替えるように『核弾頭』搭載…北朝鮮が唯一」(2)
2019年5月4日。北朝鮮は江原道元山(ウォンサン)虎島(ホド)半島一帯から短距離弾道ミサイル(SRBM) 1発を発射した。当時の北朝鮮のミサイル発射は、同年2月にハノイで開催された2回目の米朝首脳会談が決裂してから3カ月後だった。
北朝鮮は「新型戦術誘導武器」を発射したと主張したが、文在寅(ムン・ジェイン)政権は「短距離ミサイル」という軍当局の初期の発表を30分後「短距離発射体」に訂正した。韓米軍当局はこのミサイルにKN-23というコードを付けた。北朝鮮は先月28日、弾丸のように多様な武器に装填できる戦術核弾頭「火山31」の実物を初めて公開し、KN-23にも装着可能という点を意図的に明らかにした。
北朝鮮が2019年5月にKN-23の試験発射をしたのは、すでに数年前に開発を始めていたことで可能だった。3回の南北首脳会談と、2回の米朝首脳会談が開かれた2018年から2019年初めの間にも、ミサイル開発を進めていた可能性が高いということだ。特に北朝鮮は2018年5月、非核化のための「先制的措置」の一環として海外記者を招待し、咸鏡北道吉州郡豊渓里(プンゲリ)にある「核実験場」爆破場面を公開し、永久廃棄したと明らかにした。
北朝鮮の核政策変化の核心は、金正恩(キム・ジョンウン)委員長執権初期に集中した戦略核から戦術核に重心を移した点だ。北朝鮮は2017年に6回目の核実験と米国を狙ったICBM級「火星15型」の試験発射に成功した直後、核武力完成を主張した。金正恩はこれを土台に米国と「核談判」をしたが、失敗に終わった。当時、北朝鮮の核・ミサイルは事実上、米国を交渉テーブルに導く手段だったということだ。
しかし北朝鮮は2017年の「核武力完成」にとどまらなかった。北朝鮮は2019年から最近まで超大型放射砲(KN-25)、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)、地上発射巡航ミサイル(GLCM)など多様な戦術核運搬手段を公開した。2023年現在、北朝鮮の核・ミサイルは韓半島(朝鮮半島)全域に核打撃を敢行できるレベルに発展した。
特に北朝鮮は韓半島有事の際、増援戦力を送る日本の国連軍司令部後方基地と米軍基地に対する核の脅威までも露骨化する姿だ。金正恩は2019年のハノイ・ノーディール以降の4年間、韓国に実質的な核攻撃を加えることができる手段を手にした。北朝鮮は過去に自らが持つ戦略核について戦争を抑止する手段と主張したが、戦術核打撃能力を強化すると、昨年9月に「先制打撃」の可能性を明らかにする「核武力法」を採択するなど攻勢的な核戦略を見せている。
◆「弾丸のように取り替える戦術核」
金正恩は2021年1月に開いた第8回党大会で、小型軽量化した戦術核兵器の開発、超大型核弾頭の生産、1万5000キロ射程距離の精巧な打撃能力確保など戦略武器の開発方向を提示しながら核・ミサイルの迅速な高度化に傍点を打った。この方針に基づき核弾頭小型・軽量化にまい進してきた北朝鮮は結局「火山31」を公開した。韓米は北朝鮮が7回目の核実験で戦術核を爆発させるまで判断を留保するという立場だが、すでにこれまでの核実験で小型化技術を確保した可能性が高いというのが専門家らの分析だ。
匿名を求めた国策研究機関の研究委員は「弾丸を銃に装填する方式の核弾頭ミサイル搭載は北だけが持つ」とし「一つの戦術核弾頭を多様な運搬手段に搭載できる標準・規格化は、従来の核強大国である米国・中国・ロシアほどの余力がない北の立場では最善の選択」という分析が出ている。
韓国国防研究院のイ・サンギュ現役研究委員は「北の7回目の核実験見通しおよび戦術核兵器分析」で、北朝鮮の戦術核を直径40-50センチ、長さ90センチ、重さ150-200キロ、威力4-7キロトンと予想した。これは「火山31」の諸元とほぼ同じとみられる。
政府筋は「多様な運搬手段に搭載できるよう弾丸型を選択したようだ」とし「写真にボルトやナットが見えるが、シリンダー(円筒)形の方に通信・計測・起爆装置などを入れたと推定される」と述べた。続いて「北の立場では戦術核兵器にモジュール化した核弾頭を搭載するのが管理や運用の側面で有利だと判断したのだろう」と話した。
北朝鮮国営メディアは先月28日、金正恩が「火山31」を点検する場面を公開し、壁面に運搬手段が描かれたパネルを意図的に露出した。北朝鮮が公開した写真には、北朝鮮版イスカンデルと呼ばれるKN-23と600ミリ超大型放射砲(KN-25)をはじめ、北朝鮮版エイテクムス(KN-24)、近距離弾道ミサイル(CRBM)、長距離巡航ミサイル「ファサル-1・2」、核無人潜水艇「ヘイル」、SLBMなど8種の戦術核兵器が映っていた。
◆「迎撃は難しい」
北朝鮮は戦術核運搬手段を多様化する作業も同時に進めてきた。この過程で韓半島と周辺を同時に打撃できる「ゲームチェンジャー」としてミサイル技術をほぼ完成した状態だ。これらミサイルは固体燃料エンジンで飛行するため、事前に発射準備作業が必要な液体燃料エンジンと比べて奇襲発射が可能だ。さらに北朝鮮がミサイルの発射方式を移動式発射台(TEL)はもちろん、列車・湖・潜水艦・サイロなどに多角化した点も脅威を高める要因というのが、専門家らの指摘だ。
最も大きな問題はこれらミサイルの場合、韓米が保有するミサイル防衛体系では迎撃が難しいという点だ。KN-23、KN-24、KN-25は韓米の探知資産が脆弱な高度30-40キロ区間を飛行したり、変則機動をする特徴を持つ。このため、ミサイルの着弾地域を予測して終末段階で迎撃する韓米のパトリオット(PAC3 MSE)や高高度防衛ミサイル(THAAD)体系を無力化することが考えられる。米議会調査局も最近、報告書「北朝鮮の核兵器および弾道ミサイルプログラム」で「北朝鮮のKN-23、KN-24、KN-25は機動性・有効性・精密性を立証し、迎撃が難しい特性を持つ」と明らかにした。
深海に潜んで核攻撃が可能な「水中ドローン」方式の「「ヘイル」と100メートル前後の低高度をマッハ0.8(時速970キロ)ほどの遅い速度で機動して方向を自由に変える巡航ミサイル「ファサル1・2型」、連続発射が可能なKN-25も探知および迎撃が難しいのは同じだ。北朝鮮が運搬手段を通常弾頭と戦術核弾頭を混ぜて同時多発的に砲撃する場合、適当な手段がないという見方が出てくる理由だ。
科学技術政策研究院の李春根(イ・チュングン)名誉研究委員は「韓半島は大きくないためミサイルを迎撃するための時間が十分でない」とし「戦術核に対応するのは基本的に容易でない」と話した。ミサイル専門家のクォン・ヨンス元国防大教授も「北のKN-23の下段推力を制御する構造はロシアのキンジャール極超音速ミサイルと似ている」とし「北がロシアのSRBMのイスカンデルを単純改造したのでなく回避機動性能をさらに改善したとみることができる」と話した。
「弾丸詰め替えるように『核弾頭』搭載…北朝鮮が唯一」(2)
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