◆「権力者、法の上に立てない」

ＮＹＴによると、ハーバード大のレビツキー政府学教授は「米国は元指導者の起訴を避ける例外的な国」とし「多くの民主主義国家では権力者が犯罪容疑で起訴されるのが大きなイシューだが、正常なことだ。これは『権力者は法の上にいる』と考えるよりもましだ」と述べた。

イタリア政治学者ナタリー・トーチ氏は「起訴されたり有罪判決を受けた権力者は自身を政治的な理由で迫害を受ける被害者として描写し、支持層を結集しながらスキャンダルの中で生き残ろうとする傾向がある」と指摘した。


続いて「こうした行動は司法システムに対する大衆の信頼を深刻に損なわせる」とし「権力者の支持者は司法が政治化されたと考えるはずで、反対者は（退屈な論争のため）法的審判が非効率的だと感じるかもしれない」と診断した。

◆サルコジ大統領、ニクソン大統領は司法リスクで不名誉退場

司法リスクを克服できず再起に失敗した事例もある。２０１２年に再選に失敗したサルコジ元仏大統領は２０１７年に再選に挑戦したが、いくつかの腐敗容疑のため党内（共和党）選挙で脱落し、結局、政界引退を宣言した。その後、２０２１年に不法大統領選挙資金、判事買収などの容疑で実刑を言い渡されたが、容疑をすべて否認して控訴した。

米国ではウォーターゲート事件で任期途中に辞任したニクソン元大統領が代表的な事例だ。ニクソン氏は１９７２年、自身の再選のために民主党事務室に中央情報局（ＣＩＡ）要員を送って盗聴を図ったが、発覚した。この事件をきっかけに政治献金不正収賄、脱税などの疑惑も浮上し、１９７４年に大統領を辞任した。

またペリー元米テキサス州知事はかつて大統領候補に浮上したが、２０１４年に職権乱用容疑で起訴された後、支持者が離れ、２０１６年に大統領選出馬放棄を宣言した。


ルラのように復活？　サルコジのように退場？　起訴されたトランプの道は（１）