ドナルド・トランプ前米大統領
元大統領が起訴されたのは米国史上初めだが、世界的に見ると珍しいことではない。アクシオスなど海外メディアによると、２０年間に元・現指導者が起訴または収監された国は約８０カ国にのぼる。ニューヨークタイムズ（ＮＹＴ）は４日（現地時間）、専門家の言葉を引用し、「政治指導者に対する起訴は主に自由民主主義国家で発生していて、どの権力者も法の上には立てないことを示している」と伝えた。
しかし同時に権力者に法的責任を問うことは、その根拠の有無と関係なく、政治的動機がある法執行ではという論争を招く。専門家らはこうした傾向は政治が極度に二極化し、党派的な国家であるほど顕著に表れると診断した。
実際、トランプ氏のケースのように、自身に対する法執行を「政治的弾圧」と主張しながら、結集した支持者の世論を背に再起に成功した世界指導者がいる。ＣＮＮはイスラエルのネタニヤフ首相ら代表的な４人の指導者を挙げた。一方、ＦＯＸニュースはサルコジ元仏大統領のように司法リスクで政治人生を終えた権力者もいると伝えた。
◆ネタニヤフ首相、ルラ大統領が再選に成功
１５年以上も権力を維持したイスラエルのネタニヤフ首相は２０１９年、イスラエル史上初めて現首相として起訴された。収賄、背任などの複数のな腐敗容疑で現在も裁判を受けているが、昨年１１月に行われたイスラエル総選挙で極右政党と手を握り、劇的に復活した。
パレスチナと長い紛争の歴史を持つイスラエルは、対アラブ政策などをめぐり政治分裂が深刻で、政党間の離合集散を繰り返す傾向がある。ネタニヤフ氏はイスラエルのこうした政治的背景の中で「安保」イシューを前に出し、もう一度支持者の選択を受けた。しかし首相就任直後、司法府を無力化する内容を盛り込んだ立法手続きを推進し、「セルフ防弾法」という批判を受けている。
左右理念間の対立が深刻なブラジルでもこうした事例がある。当事者は中南米の左派の大物、ルラ大統領だ。２００３－１０年に大統領を務めたルラ氏は退任後、在任時代の腐敗容疑で有罪を宣告され、２０１８年４月から１年以上収監された。
当時、ルラ氏もこうした容疑について「政治的動機がある喜劇」と主張した。しかしその後、ブラジル連邦最高裁が有罪判決を破棄し、昨年、大統領選挙出馬の機会をつかみ、１月に３期目の大統領任期を始めた。
ブラジルはまた元大統領の司法リスクに直面した。極右派のボルソナロ前ブラジル大統領は１月に発生した大統領選挙不服暴力デモを助長した疑いでブラジル検察の捜査対象になっている。
◆共通点は「政治弾圧」主張
アルゼンチンの急進左派フェルナンデス副大統領は在任中に実刑が言い渡されたが、一時的な免責特権を利用して副大統領職を維持している。フェルナンデス氏は現在アルゼンチンの副大統領であり２００７－１１年、１１－１５年には大統領を務めた。アルゼンチン裁判所は昨年１２月、巨額の収賄容疑で６年の実刑を言い渡した。しかしフェルナンデス氏は「政治的動機がある」と主張し、一部の支持者は判決の結果が伝えられると裁判所の外で涙を流した。
イタリア首相を３期務めたベルルスコーニ氏は１９９４年から２０１１年までの在任期間中、横領、税金詐欺、収賄など少なくとも１７件の容疑で裁判を受けてきた。ベルルスコーニ氏は容疑を一貫して否認し、控訴審で多くの容疑を免れた。ただ、退任後、税金詐欺疑惑は有罪となり、療養院で１年間の社会奉仕が命じられた。
多くのスキャンダルにもかかわらず、ベルルスコーニ氏は昨年の総選挙で上院議員に当選し、華麗に復帰した。ベルルスコーニ氏が率いるフォルツァ・イタリア（ＦＩ）はメローニ首相のイタリアの同胞（ＦＤＩ）などと右派連合を結成し、総選挙の勝利を牽引した。
ルラのように復活？ サルコジのように退場？ 起訴されたトランプの道は（２）
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