イラスト=キム・ジユン記者
結局、出発は2時間ほど遅れた。飛行機の予想到着時刻は金浦空港の運航制限時間の午後11時を過ぎ、仁川(インチョン)空港に向かわなければならなかった。乗客は0時過ぎに仁川国際空港に到着した。
航空業界によると、最近、国内航空業界がコロナによる衝撃から抜け出して供給を増やし、正常化に拍車を加える中、乗客の自発的な降機または搭乗手続後の未搭乗事例が少なからず発生し、運航に支障が生じている。セキュリティー規定上、同じ飛行機に乗った乗客にも被害が及ぶしかない。
大韓航空の場合、今年に入って42件の自発的な降機が発生したという。2021年は94件、22年は138件だった。航空機の運航が正常化するほど自発的な件数もさらに増える見込みだ。
実際、乗客が降機を要求する場合、航空会社は乗客を降ろすしかない。家族の死亡や本人の健康悪化など突然の理由が発生する可能性があるからだ。コロナパンデミック当時には「家族の感染」などを理由に降機を要請するケースも多かったという。
問題は、突然降機を望む乗客の理由に納得しがたい点が多いことだ。航空業界によると「家のガスをつけたまま来た」「ペットのエサを準備していない」などと言う人もいる。「突然のパニック障害」も主な理由の一つに挙げられる。
◆自発的な降機が発生すれば乗客全員降りてセキュリティーチェック
自発的な降機は航空機搭乗の直後、または航空機が離陸のために滑走路に移動する途中にも発生する。この場合、空港および航空会社のセキュリティープログラムに基づき、航空機は搭乗口にまた戻らなければいけない。他の乗客も各自の手荷物を持って降りなければならない。その後、万が一の可能性に対応し、降機を要請した乗客の座席付近を中心にチェックし、異常がない場合は乗客が再搭乗する。
セキュリティーチェックの過程は1、2時間かかる。他の乗客の立場ではそれだけ目的地に遅く到着する。航空会社も再運航のための追加給油、乗客・手荷物の再搭乗のための地上操業などを追加でする。大型航空機の場合、1000万ウォン(約100万円)近い費用がかかる。
航空業界の関係者は「自発的な降機だけでなく、搭乗手続きを終えた後、飛行機に乗らない人たちも問題」と話す。個人の事情などを理由に搭乗前に突然キャンセルする場合も航空機の運航に支障が生じる。
◆あきれる理由でも処罰規定なし
しかし処罰規定は特にない。現在の航空保安法上、航空機に搭乗した乗客の降機に関する明確な根拠規定がないからだ。航空会社は独自の利用約款で違約金を払わせているが、事実上「軽い処罰」に近い。大韓航空の場合、出発ロビーに入場した後に搭乗をキャンセルする乗客に25万-32万ウォンの違約金を払わせるのがすべてだ。アシアナ航空の違約金は30万ウォンだ。
国内航空業界のある関係者は「他の乗客と航空会社の被害を最小化するため、無分別な降機要請をする乗客に対する法の規制が必ず用意されなければいけない」と話した。
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