全世界に約５００人以上の子どもの父親となったオランダの４０代の精子提供者が近親相姦の危険を増大させた疑いで告訴された。彼が無分別に精子を提供したことを知らずに子どもを産んだ母親たちは「どうか精子提供を止めてほしい」と訴えたが断られると訴訟を選択した。

２７日（現地時間）、英紙ザ・タイムズやテレグラフなどによると、オランダ・ハーグ出身の音楽家ジョナサン・ジェイコブ・マイヤーさん（４１）は不妊クリニックやインターネットなどを通じて世界中の数百人の女性に精子を提供し、５００人以上の子どもを出産させた。

マイヤーさんは少なくとも１３カ所のクリニックに精子を提供したが、そのうち１１カ所がオランダにあることが分かった。不妊クリニックの高い費用を支払うことが難しい人々を狙って精子提供関連のウェブサイトにも広報し、個人的にも精子を提供したという。


米ニューヨーク・タイムズ（ＮＹＴ）によると、マイヤーさんは２００７年ごろから精子を提供した。金髪に青い目の外見と音楽が好きな穏やかなイメージが女性たちを魅了させたという見方が出ている。マイヤーさんの精子で子どもを産んだ女性はオランダ、オーストラリア、イタリア、セルビア、ウクライナ、ドイツ、ポーランド、ハンガリー、スイス、ルーマニア、デンマーク、スウェーデン、メキシコ、米国などに住んでいることが分かった。

何人の子供が生まれたのかは具体的に明らかになっていないが、マイヤーさんは自身の精子を受けて子どもを産んだある女性に「５００人以上の子どもを産んだ」と話した。そのうちオランダだけで少なくとも１０２人が生まれたことが２０１７年に明らかになった。

オランダ政府は当時、マイヤーさんをブラックリストに載せられてすべてのクリニックにマイヤーさんの精子使用を中止するように命令した。オランダでは２５人以上の子どもを産み、または１２人以上の女性に妊娠させることを認めていない。意図しない近親相姦や近親結婚を招く恐れがあるからだ。また、生物学的に数百人の「異母兄弟」がいるという事実を知った子どもたちの心理的問題を防止するためだ。

ところが、マイヤーさんはその後、ケニアに居住しながら多数のな仮名を使ってデンマークやウクライナなどのクリニックやソーシャルメディア（ＳＮＳ）の広報などを通じて精子提供を続けた。あるオーストラリア人夫婦はデンマークの不妊クリニックを通じて６０００ユーロ（約８６万円）以上を支払い、「ルード」という名前の男性精子をもらって子どもを産んだが、後にマイヤーさんの精子を受けたことが分かった。この母親は「創意的で賢い男性だと思って選んだが、これほど多く寄贈したとは知らなかった」とし「本当に吐き気がして腹が立つ。私の子どもに数百人の兄弟がいるという事実を言わなければならないということが信じられない」と話した。

ソーシャルメディアで出会った全世界の被害女性は集まりを作り、マイヤーさんを生物学的父として持つ子どもたちが将来に恋愛や結婚ができないように対策を講じることにした。まずマイヤーさんに「これ以上精子を提供しないでほしい」と求めた。しかしマイヤーさんは「人々が子どもを持つ夢を叶えるように助け、全世界に私の子どもたちがいることが見たい」と断った。

これを受け、精子提供で生まれた子どもの人権のために設立されたオランダの「ドナーキンド・ファウンデーション」が被害を受けた２５家族を代理して最近訴訟を提起した。彼らは「マイヤーさんが仮名を使って精子を提供することを防ぎ、貯蔵庫にある彼の精子を全て廃棄してほしい」と訴えた。

その中であるオランダ人女性は「２０１８年ＳＮＳの広告を見てマイヤーさんの精子を選んだが、彼がすでに１００人以上の子供をもうけていると知っていたら、彼を選ぶことはなかっただろう」とし「今や法廷に行くことだけが私の子どもを保護できる唯一の選択肢」と話した。法的攻防は来月中に始まるものと予想される。