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強制徴用賠償案めぐる対立が教育界に拡散=韓国

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
強制徴用被害者賠償解決策をめぐる対立が教育界に拡散している。進歩教育界を中心に契機教育の動きまで現れている。

契機教育とは教育課程にない社会的懸案や記念日について教えることをいう。教育当局の指針によると、教師は社会的懸案に対する生徒の理解が必要な場合に契機教育ができる。だが教師が授業時間に個人的な意見を明らかにすることを防ぐ方法がないため教育界では論争の対象になってきた。

◇進歩教育界「生徒らに真実は何か判断させるもの」


契機教育に最も積極的なのは全国歴史教師の会だ。全国の歴史教師2000人ほどで構成された歴史教師の会は、韓国政府の強制動員解決策をめぐり「韓国の民主主義の根幹を大きく毀損するもの」としながら撤回を促した。歴史教師の会は朴槿恵(パク・クネ)政権の歴史教科書国定化と2022年の改正教育過程で「自由民主主義」の表現を盛り込むことに反発した団体だ。

歴史教師の会は所属教師を対象にオンライン研修を進めるなど独自の教育を準備している。ある歴史教師がシェアした授業資料には、生徒らが強制徴用被害解決策発表内容を整理し「自分が強制徴用被害生存者の梁錦徳(ヤン・グムドク)さんならば」「国は何のために存在すると考えるか」などの質問が含まれている。

全国教職員労働組合(全教組)は22日に声明を通じ「生徒らが歴史的論争状況で事実と真実が何か、国の意味が何か自ら思考して判断し民主主義社会の主体的市民になるよう積極的に助力するだろう」と明らかにした。契機教育に対し直接的な言及はないが、教師として対応するという意味と解釈される。大学街でも韓国史学科のホ・ウン教授ら高麗(コリョ)大学の教授84人が韓国政府の解決策に反対し撤回を促す声明を発表した。

◇文政権で契機教育活発だったが…線引く教育庁

2019年に文在寅(ムン・ジェイン)政権は強制徴用の大法院(最高裁)判決が下されると「韓日対立平和的解決摸索のための学習資料」を作った。資料には日本製鉄の被害者である李春植(イ・チュンシク)さんのインタビュー映像視聴と、強制徴用問題と韓日間の歴史対立解決案に対する作文を書く活動が盛り込まれた。また、一方的注入式の教育を止揚するドイツの「ボイテルスバッハ合意」の原則を討議・討論の授業に活用するよう推奨した。だが同じ時期にある高校教師が授業時間に「強制徴用判決は文在寅政権の宣伝用だ」と発言して議論が起きたりもした。

学校に学習資料を配布した市・道教育庁は政権が変わると契機教育に消極的な姿を見せている。ある教育庁関係者は「記念日に対する契機教育は日常的にされているが、情勢に対しては準備していない。政府賠償案に対してあれこれいうことは難しい」と話す。

仁川(インチョン)教育庁は日帝強制動員被害者支援財団の要請で財団の教育プログラムを案内する公文書を学校に送ったが、政府解決策とは関連がないと線を引いた。世宗(セジョン)教育庁は「三一節記念契機教育で国立日帝強制動員歴史館を訪ねるプログラムを学校に広報したが、賠償案発表後ではなくもともとしていたもの」とした。

◇「教師の自律に任せるべき」vs「教育課程に忠実であるべき」

教育界では契機教育をめぐり賛否が分かれている。契機教育に賛成する側は「民主市民として当然の権利」と主張する。これに対し「教育の政治中立性が侵害されかねない」という意見もある。高麗大学教育学科のホン・フジョ教授は「教師が一方的に主張すれば生徒らは客観的な情報を受け入れにくい。歴史を正確に理解するには教師の自律に任せるより教育課程を忠実にすべき」と話した。

契機教育に先立ち十分な検討と審議過程が必要という指摘もある。韓国教員団体総連合会のチョ・ソンチョル報道官は「子どもたちが報告しない限り教師の発言を防ぐことはできない。教師個人でなく校内で審議を経る過程が必要だ」と話した。



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