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【コラム】ミサイル発射にオールインする北朝鮮

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

イラスト=キム・ジユン

13日から始まった韓米連合軍事演習「フリーダムシールド(自由の盾)」訓練に対応し、北朝鮮が12日に潜水艦発射巡航ミサイル(SLCM)2発、14日に短距離弾道ミサイル2発、16日に大陸間弾道ミサイル(ICBM「)火星17型」1発を相次いで発射した。恐るべき軍事力を誇示したように見えたが、実際にそうだろうか。

今回のミサイル挑発は開発中または改善中のミサイルの性能テストである可能性もある。発射の時期を韓米連合訓練に対する反応として映るよう計算したとみられる。防御訓練だと主張し、追加の国連安保理決議案導出の可能性を低める狙いがあるのかもしれない。

北朝鮮政権は相次ぐミサイル発射の目標が韓米の北朝鮮攻撃の可能性に対する警告だと主張する。17日の労働新聞は韓米連合訓練について「全面戦争を想定した挑発的な北侵実動演習であり核予備戦争」と非難した。ソウルやワシントンが北朝鮮を攻撃する意図があるという証拠はどこにもない。たとえそうだとしても北朝鮮のミサイル発射は力の誇示というよりも、むしろどれほど力がないかを表している。韓米の攻撃に対する軍事的な対応力を見せるには北朝鮮がこれまでに見せたものではあまりにも不足する。


むしろ一連のミサイル発射を通じて、北朝鮮ができないことに注目する必要がある。まず、韓米連合訓練に対する北朝鮮の合理的な対応は、訓練に合わせて韓米のいかなる攻撃も北朝鮮の効果的な対応を避けられないという点を強調すべきであった。しかし通常戦力がみすぼらしいレベルの北朝鮮にはどうすることもできない部分だ。軍隊の規模は大きいかもしれないが、武器・装備レベルは一部のエリート軍人を除いては悲惨な水準であり、燃料と部品が不足している。

また、7回目の核実験がなかった。おそらく中国の圧力で実験計画が水の泡になったようだ。新型コロナ政策の失敗と習近平国家主席の3期目を迎えて政権の安定に集中すべき中国の立場では「前庭」で問題が生じることを避けたいはずだ。しかも習主席のロシア国賓訪問に集まった世界の耳目が他に分散するのを望まないだろう。

北朝鮮の立場では多様なミサイル発射が唯一の選択肢だったに違いない。しかしミサイルに過度に依存した軍事力には4つの問題がある。1つ目、ウクライナで見られたように、戦争が始まればミサイル武器が驚くほどのペースで減っていく。北朝鮮がミサイル武器をどれほど保有しているのかは分からないが、戦争になればすぐに底をつくだろう。

2つ目、北朝鮮の軍需品の品質に対する疑いがある。ウクライナ軍の報告書によると、ロシア軍が撃った砲弾は途中で爆発する事例が増えたという。このような砲弾は北朝鮮が支援したものである可能性が高い。北朝鮮のように完全に腐敗した社会では、砲弾よりはるかに精巧な管理が必要なミサイルはまともに管理されず、発射自体が失敗に終わる公算が大きい。

3つ目、ウクライナ戦争を通して敏捷な大規模無人機のミサイル攻撃能力が立証された。昨年12月26日に北朝鮮が無人機5機を韓国に浸透させたが、北朝鮮が無人機をミサイルと共に活用して効果的に目標物に命中させるノウハウがあるという証拠、現代戦に必要なレベルの無人機規模を備えているという証拠はない。

4つ目、北朝鮮のミサイル試験の中心にあるICBM「火星17型」に深刻な弱点があるという点だ。北朝鮮の短距離ミサイルは固体燃料を使用するため運送でき、燃料をあらかじめ供給できるため発射場に移動して発射するのが容易だ。しかし火星17型は液体燃料を使用し、燃料供給後の運送が不可能だ。発射台に載せて数時間かけて燃料を注入する間に攻撃を受ける可能性がある。火星17型が米国本土を核弾頭で脅かすことができるかも疑わしい。

ミサイルが適切な防御手段でないと北朝鮮が判断すれば、核兵器は実質的な抑止力よりも交渉カードとしての価値が大きいとみられ、核兵器放棄のための交渉に応じるかもしれない。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長と娘が上昇するミサイルを眺めながら歓呼し、敵がこれを見て恐れると錯覚しているのなら、交渉テーブルに出てくる可能性は当分は低いとみられる。

ジョン・エバラード/元駐平壌英国大使

◇外部執筆者のコラムは中央日報の編集方針と異なる場合があります。



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