北朝鮮が7日の金与正(キム・ヨジョン)労働党副部長の談話、11日の労働党中央軍事委員会の決定などで韓米軍事訓練に対して「圧倒的行動準備」「重大措置」などを示唆しながら脅迫の程度を高めた。ところが最近の北朝鮮の挑発は今にも一線を越えるというようなレベルではない。
上半期の韓米連合軍事訓練「フリーダムシールド(自由の盾)」が始まった13日以降に範囲を狭めると、ミサイルを4回発射したのが軍事的対応のすべてだ。
事実上「状況管理」レベルといえる北朝鮮のこうした対応方式に関し、韓米連合空中訓練「ビジラントエース(Vigilant ACE)」に対応して大陸間弾道ミサイル(ICBM)、短距離弾道ミサイル(SRBM)、戦闘機、放射砲など可用な軍事戦力を総動員して脅威を高めた昨年10-11月と比較すると、むしろ「ローキー(low-key)に近い」という評価までが出ている。
専門家らは北朝鮮が直面した対内外的な環境の変化が極端な挑発を抑止する要因として作用していると分析している。
◆「アゲイン・トランプ」まではマイウェイ
北朝鮮は昨年3月24日にICBMを発射し、国際社会が設定した「レッドライン」を越えた。その後、何度か「7回目の核実験」を予告したが、金正恩(キム・ジョンウン)委員長は1年間、核実験のための「核ボタン」を押していない。これは無差別的な挑発と連鎖的な核実験を続けた2017年の状況とは異なる。
6年前の2017年9月、北朝鮮は6回目の核実験を敢行した。北朝鮮の立場で当時の核実験は米国との「核談判」に導くための側面が強かった。実際、北朝鮮の「核武力完成宣言」以降、当時のトランプ米政権は金正恩政権と最初の米朝首脳会談に臨んだ。
しかし「ハノイ・ノーディール」で核交渉は失敗に終わり、その後、米朝間では不信の溝が深まった状況だ。7回目の核実験のような北朝鮮の重大挑発は、対話どころか米国との軍事的衝突にまで広がりかねない危険なカードになったということだ。実際、バイデン米政権は北朝鮮の7回目の核実験予想と関連し、核使用なら「北朝鮮政権終末」の可能性を公開的に警告している。
統一研究院のオ・ギョンソプ研究委員は「北は長い呼吸で米国との対話と交渉の可能性が明確になるタイミングを待って国防力の強化にまい進するとみられる」とし「基本的に核・ミサイル高度化を通じて米国を交渉テーブルに出るようにする戦略を持つが、金正恩と良い相性を見せたトランプ前大統領のような人物が登場することを望む側面もあるだろう」と述べた。
金正恩委員長も核プログラムに関連し「まずは強くなるべき」とし「長期戦」を暗示する発言をした。金委員長は2021年10月の国防発展展覧会の演説で「誰も触れることのできない無敵の軍事力を保有し、強化していくことが、党の確実な最重大政策、目標であり、確実な意志」とも話した。
◆危機の食料問題
一部の地域で餓死者が発生するほど深刻化した食料不足が、金正恩政権の「無謀な選択」を強く抑止しているという分析もある。
北朝鮮は核・ミサイル開発による国際社会の制裁と新型コロナ拡大による国境封鎖が続き、1990年代の「苦難の行軍」以来最大のマイナス成長を記録している。特に食料問題は金正恩政権の「足下の火」だ。農村振興庁によると、北朝鮮は昨年春の干ばつと少ない日射量、さらに田植えをする5月に新型コロナまでが重なり、食料作物生産量が前年比で3.8%(18万トン)減少した。
北朝鮮は今まで中露の支援で食料不足による民心離反の可能性を管理しているが、専門家らは本格的な春窮期の3-4月が金正恩政権の重大な峠になるとみている。
IBK経済研究所のチョン・ユソク北朝鮮経済チーム研究委員は「北はコロナ流入を防ぐための国境封鎖が3年間続き、内部資源が枯渇した状況」とし「自国の力量で食料問題を解決しにくい状況で国際穀物・肥料の価格が上がったことも当局の負担を重くする要因」と説明した。続いて「金正恩の執権初期に成し遂げた経済成長で財政的な余力を蓄積していた2017年とは違い、最近の経済難は莫大な軍備拡充に対する民心の絶対的支援を強要しにくい状況に展開している」と話した。
北朝鮮経済は2017年からマイナス成長に転じたが、当時はまだ執権初期からの経済成長と海外労働者派遣などで財政的な耐久性があり、対北朝鮮制裁にもかかわらず北朝鮮の対外貿易の90%を占める中朝貿易も正常に稼働していた。国境が事実上封鎖されて「一人立ち」を強要されている現在とは状況が違う。
実際、北朝鮮当局が食料問題を体制の安定や金正恩委員長のリーダーシップの脅威要因と認識している状況も表れている。
金正恩委員長は先月、異例にも農村問題を単一案件として上程した労働党全員会議拡大会議(第8期第7回)を開いた。これは生活の問題が政権レベルでも切実という傍証だ。これに関連し対北朝鮮情報筋は「北が食料問題の解決を緊急な課題として上程した状況の中、軍事的な緊張が高まることに負担を感じる可能性が高い」とし「食料不足で軍用米まで放出したという情報もあり、民心の動揺に対する憂慮も最近の北の動きに影響を及ぼしたはず」と伝えた。
「金正恩、トランプを待つ」 核ボタンでなくミサイル発射をする内心(2)
上半期の韓米連合軍事訓練「フリーダムシールド(自由の盾)」が始まった13日以降に範囲を狭めると、ミサイルを4回発射したのが軍事的対応のすべてだ。
事実上「状況管理」レベルといえる北朝鮮のこうした対応方式に関し、韓米連合空中訓練「ビジラントエース(Vigilant ACE)」に対応して大陸間弾道ミサイル(ICBM)、短距離弾道ミサイル(SRBM)、戦闘機、放射砲など可用な軍事戦力を総動員して脅威を高めた昨年10-11月と比較すると、むしろ「ローキー(low-key)に近い」という評価までが出ている。
専門家らは北朝鮮が直面した対内外的な環境の変化が極端な挑発を抑止する要因として作用していると分析している。
◆「アゲイン・トランプ」まではマイウェイ
北朝鮮は昨年3月24日にICBMを発射し、国際社会が設定した「レッドライン」を越えた。その後、何度か「7回目の核実験」を予告したが、金正恩(キム・ジョンウン)委員長は1年間、核実験のための「核ボタン」を押していない。これは無差別的な挑発と連鎖的な核実験を続けた2017年の状況とは異なる。
6年前の2017年9月、北朝鮮は6回目の核実験を敢行した。北朝鮮の立場で当時の核実験は米国との「核談判」に導くための側面が強かった。実際、北朝鮮の「核武力完成宣言」以降、当時のトランプ米政権は金正恩政権と最初の米朝首脳会談に臨んだ。
しかし「ハノイ・ノーディール」で核交渉は失敗に終わり、その後、米朝間では不信の溝が深まった状況だ。7回目の核実験のような北朝鮮の重大挑発は、対話どころか米国との軍事的衝突にまで広がりかねない危険なカードになったということだ。実際、バイデン米政権は北朝鮮の7回目の核実験予想と関連し、核使用なら「北朝鮮政権終末」の可能性を公開的に警告している。
統一研究院のオ・ギョンソプ研究委員は「北は長い呼吸で米国との対話と交渉の可能性が明確になるタイミングを待って国防力の強化にまい進するとみられる」とし「基本的に核・ミサイル高度化を通じて米国を交渉テーブルに出るようにする戦略を持つが、金正恩と良い相性を見せたトランプ前大統領のような人物が登場することを望む側面もあるだろう」と述べた。
金正恩委員長も核プログラムに関連し「まずは強くなるべき」とし「長期戦」を暗示する発言をした。金委員長は2021年10月の国防発展展覧会の演説で「誰も触れることのできない無敵の軍事力を保有し、強化していくことが、党の確実な最重大政策、目標であり、確実な意志」とも話した。
◆危機の食料問題
一部の地域で餓死者が発生するほど深刻化した食料不足が、金正恩政権の「無謀な選択」を強く抑止しているという分析もある。
北朝鮮は核・ミサイル開発による国際社会の制裁と新型コロナ拡大による国境封鎖が続き、1990年代の「苦難の行軍」以来最大のマイナス成長を記録している。特に食料問題は金正恩政権の「足下の火」だ。農村振興庁によると、北朝鮮は昨年春の干ばつと少ない日射量、さらに田植えをする5月に新型コロナまでが重なり、食料作物生産量が前年比で3.8%(18万トン)減少した。
北朝鮮は今まで中露の支援で食料不足による民心離反の可能性を管理しているが、専門家らは本格的な春窮期の3-4月が金正恩政権の重大な峠になるとみている。
IBK経済研究所のチョン・ユソク北朝鮮経済チーム研究委員は「北はコロナ流入を防ぐための国境封鎖が3年間続き、内部資源が枯渇した状況」とし「自国の力量で食料問題を解決しにくい状況で国際穀物・肥料の価格が上がったことも当局の負担を重くする要因」と説明した。続いて「金正恩の執権初期に成し遂げた経済成長で財政的な余力を蓄積していた2017年とは違い、最近の経済難は莫大な軍備拡充に対する民心の絶対的支援を強要しにくい状況に展開している」と話した。
北朝鮮経済は2017年からマイナス成長に転じたが、当時はまだ執権初期からの経済成長と海外労働者派遣などで財政的な耐久性があり、対北朝鮮制裁にもかかわらず北朝鮮の対外貿易の90%を占める中朝貿易も正常に稼働していた。国境が事実上封鎖されて「一人立ち」を強要されている現在とは状況が違う。
実際、北朝鮮当局が食料問題を体制の安定や金正恩委員長のリーダーシップの脅威要因と認識している状況も表れている。
金正恩委員長は先月、異例にも農村問題を単一案件として上程した労働党全員会議拡大会議(第8期第7回)を開いた。これは生活の問題が政権レベルでも切実という傍証だ。これに関連し対北朝鮮情報筋は「北が食料問題の解決を緊急な課題として上程した状況の中、軍事的な緊張が高まることに負担を感じる可能性が高い」とし「食料不足で軍用米まで放出したという情報もあり、民心の動揺に対する憂慮も最近の北の動きに影響を及ぼしたはず」と伝えた。
「金正恩、トランプを待つ」 核ボタンでなくミサイル発射をする内心(2)
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