2006年10月31日、民間人資格で北朝鮮を訪問したロバート・カーリン氏(左から3人目)が訪問団員と朝鮮労働党創建記念碑の前で記念撮影をしている。[写真 米州中央日報]
「1990年代に入って金日成は外交的に米国との平常的な関係を望み、このような関係は中国とロシアから自分たちを守る一種の保護膜の役割をするだろうと期待していた。北朝鮮は自ら粗末で矮小な国力であることを知っていた。だが弱く見せたくなかった。2004年以降、持続的に専門家を北朝鮮に招いたのは威嚇ではなく対話をしようという提案だった。『我々は強くなっているがそれでも対話をしないつもりか』という対米メッセージだった。だが、対話は開かれなかった。状況はハノイ以降に完全に変わった。そのような形の対話と接触に北朝鮮はこれ以上関心がないようだ。そのうえ中国という強い同盟ができた状況だ」
--保守陣営は北朝鮮強硬方針を主張する。
「(トランプ政府の)マイク・ポンペオ元国務部長官は自著で在任当時やろうと思ったことなどに言及した。自分が考えていることを北朝鮮はただ受け入れるべきだという主張だ。米国がやれば他の国々はそのままついてくるだろうと考えているようだが、もうそのような世の中ではない」
--ワシントンが寧辺や他の施設に軍事攻撃を考慮したことはなかったか。
「1994年6月に状況が悪化してワシントンが寧辺攻撃を考慮した。だが、当時北朝鮮がすべてのものを整理して対話に出たという点を米国は理解できなかった。カーター元大統領でなかったら事態はより一層悪化していただろう。その後、トランプ大統領時期も危機だった。だが、多くの米国人の懸念とは違い、北朝鮮は無理しないだろうと思う」
--ワシントンが武力を動員しないようにするためにはどんな条件が必要か。
「高位公職者の中には何も考えていなかったり、常識だけで判断する人が少なくない。時には話にもならないメディアの主張に振り回される者もいる。韓国の外交部長官も『北核がある限り平和はない』と言う。そうとばかり考えるなら本当に平和はない。だが、北核は現実から見なければならない。武力行使や攻撃の名分には『ライン』というものがある。もし北朝鮮が核弾頭を装着したICBMを太平洋の真ん中に打ち込むのなら米国は行動に出る可能性がある。実際このような状況は7回目の核実験よりさらに厳しい状況になるだろう。ワシントンは中国の気球を巡ってすらこのように大騒ぎしているではないか。そんなことがなくなることを願うだけだ」
--外交現場をあわせて50年間、北と南の役人たちに会って対話した。双方とも対決を終息する統一に対する期待や情熱があるように見えたか。
「南北からはともにそのような感じは受けなかった。彼らの胸中深くにそのような熱望があるのだとは思うが短期間内にそうなるとは思っていないようだった。北朝鮮は知ってのとおり統一の概念を変えた。以前は領土が一つに統合される統一だったとすると、80年代以降は南側を交渉パートナーと認め始めた。南側は北をいつも『北朝鮮』としか呼ばなかった。最近はそのような表現がよく出てくる。おそらく悪化した関係のせいではないのかと思う」
--今も北の知人たち、または官僚や学者と連絡したり情報もやり取りしたりするか。
「北朝鮮はすでに明かりを消してカーテンを下ろした状態だ。いかなる米国人も許容していない。相変らず親切でやさしいが、対話や会おうとする意志は全くないと言う。労働新聞は外国のニュースを大幅に減らし、政府機関も外交的にどのような立場も明らかにしないでいる。何を考えていてその立場が何かを知らなければ予測は難しく対話は不可能になる。もし内部状況が変わって代表団を派遣したり扉を開ければその時に何かちょっと覗くことができるのではないかと思っている」
--ではもうすぐ何か北で動きがあるかもしれないという意味か。
「うわさではそうだ。北が核実験の後、3、4カ月してから代表団を派遣して外交チャネルを稼動するだろうと。そのようなうわさは昨年にもあった。待ってみなければならない」
--米国ではジュネーブ合意を引き出したチームが全員引退して人材の側面でも難しさがあるということか。
「実際にそうだ。北朝鮮では当時合意テーブルについた人物が全員昇進して高位層になった。その時の経験がそのまま活きている。ところが米国ではむしろ全員引退するか現場をほとんど離れた。もちろん新しい新進がしっかりと学べば良いが時間が非常にかかる。実際、最高責任者である大統領が『自分の任期内に韓半島(朝鮮半島)にいかなる問題も発生してはいけない』と言うべきなのに、2001年以降はそのような大統領がいない。だから問題だ」
--ジュネーブ合意のような合意はもうないかもしれないということか。
「1974年の50年前なら1924年だ。その時間の間、どれくらい多くの変化があったのか振り返っててみるとよい。だが、まだ我々は1945年に作った協定を変えることができず守っている。なぜまだその時の原則を守って過ごさなければならないのか、考えてみる必要がある」
「韓半島はガソリンが満タンの地下室同然…双方が気を付けなければ」 元CIA分析官のR.カーリン氏(1)
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