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【コラム】国際外交舞台に復帰した大韓民国

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

グローバルフォーカス

過去5年間、中国の好戦性とロシアの報復主義という地政学の「グレートゲーム」の中、大韓民国が見えなかったという点が最も非正常的だった。その間、韓国をめぐる多くの国が爆発的な外交的活動をしていた。例えば日本の自由で開かれたインド太平洋戦略、オーストラリア・英国・米国のAUKUS、クアッド(日米豪印)の首脳級格上げ、欧州と東南アジア国家のインド太平洋戦略だ。

国内総生産(GDP)基準で世界9位の韓国はその間、何をしたのだろうか。自滅的な「戦略的忍耐」という美名の下、文在寅(ムン・ジェイン)政権は誰とも、すべてのものとも距離を置いた。他の主要国と中堅国が関係を強めていく間、文政権は近視眼的に第3国外交を通じて米国が北朝鮮政権に譲歩するよう説得することに汲々としていた。

こうした不安定な域内地政学的な環境の中で韓国との交流を希望した欧州とオーストラリアの外交官らは、むしろ韓国政府から「米国を動かして北朝鮮への圧力を弱めてほしい」という要請を受けた。外交官らは韓国が果たしてどんな役割をしようと考えているのか疑問を抱き始めた。


韓国外交部はMIKTA(メキシコ 、インドネシア 、韓国 、トルコ 、オーストラリア)協議体に参加したと強弁するかもしれないが、筆者はMIKTAの成果が何だったのか問いたい。2017年に発表された文政権の新南方政策もあったが、これも実質的な戦略というより一つのブランディングにすぎなかった。任期末のオーストラリア訪問でようやく文政権は戦略の失敗を悟ったようだ。

尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は就任から10カ月間に韓国が元の位置に戻ったことを証明した。尹大統領のベテラン外交戦略家は迅速に、文政権の対外政策が持つ2つの間違った前提から抜け出した。一つは、域内およびグローバル地政学を無視することが北朝鮮を扱ううえで韓国により良い環境を提供するという誤った認識だ。尹大統領の補佐官はその反対が正しいという点をよく知っている。

もう一つは、アジアが米国と中国の戦略的決定に左右されて二極化した戦場に転落し、その他の強大国はヘッジングまたは回避に汲々としたという誤った認識だ。米中は軍事的、経済的にもちろん強大国であるのは確かだが、インド太平洋地域は強大国と韓国・日本・インド・オーストラリアのような中堅国が共に共同の努力をして変化を起こすことができる多極の戦場になっている事実を文政権は看過した。

こうした両極端的な観点を持った文政権で韓国はいかなる主体性も持てなかった。尹政権は多極化した世の中を認知したことで、韓国の未来と安定を強化できる新しいオプションが可能になった。尹政権はこのような機会をつかみ、日本・オーストラリア・ニュージーランドの首脳と共に2022年北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に出席した。昨年12月に尹政権が発表したインド太平洋戦略によると、韓国政府は他の海洋民主主義国家と力を合わせて、域内の環境を回復弾力性のある地域にするために努力していくはずだ。これは過去の2つの政権では見られなかった姿だ。

尹政権は、最も重要だが最も難しいため「ゴルディアスの結び目」と呼ばれる韓日関係で実質的な進展を見せている。昨年11月にバイデン米大統領、尹大統領、岸田文雄首相はカンボジアで会い、北朝鮮および国防分野で3カ国の外交協力を持続して再開するための「インド太平洋3カ国パートナーシップ」を発表した。2月末に韓日米「経済安全保障対話」が始まった。

尹大統領は三一節(独立運動記念日)の演説で「日本は過去の軍国主義侵略者から我々と普遍的価値を共有するパートナーに変わった」と述べた。韓国大統領室はおそらく徴用賠償問題を完全に解決することを望む可能性が高いが、これは実際、日本政府の体面も保つことができる方法だ。

朴槿恵(パク・クネ)政権が2015年に締結した韓日慰安婦問題解決策が文在寅政権で覆った事例に注目すると、似た状況が再発しないという保証はない。韓日関係の改善にも日本はもう少し慎重な外交と政治的知恵に出すはずだ。それでも尹政権が戦略を押し進めることができるのなら、米国と他国から支援を受けることも可能だろう。

マイケル・グリーン/豪シドニー大米国学センター所長/米戦略国際問題研究所(CSIS)上級副所長

◇外部執筆者のコラムは中央日報の編集方針と異なる場合があります。



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