北朝鮮の「金氏王朝」は、４代世襲の意志を明確にした。北朝鮮の金正恩（キム・ジョンウン）国務委員長が軍事パレードを含む主要行事に娘のキム・ジュエ氏を同行させて登場した動機だ。

これまで金正恩氏には３人の子どもがいるというのが定説だった。２０１７年「２０１０年生まれの第一子と２０１３年初め前後に生まれた次女、２０１７年２月生まれで性別が分からない第三子がいる」と明らかにした国家情報院の国会報告が決定的な契機だ。


だが、このような「定説」の根拠に対しては具体的に知らされた事実がない。


当時の北朝鮮事情に詳しい当局者は、当時情報当局が金正恩氏に息子がいると判断した根拠は「金正恩氏に直接伝えられる可能性が大きい物品リストだった」と耳打ちした。

また「当時、情報当局は金正恩氏に直接空輸される可能性が非常に大きい海外調達ルートを確保し、どのような種類の品物が送られるかを綿密に見守っていた」とし「ところで、２０１０年に男の子用の最高級おもちゃが金正恩氏の『官邸』に直接届いた事実が確認され、こうした情況から情報当局は金正恩氏に２０１０年生まれの息子がいる可能性があると判断した」と述べた。

これに関して、キム・ギュヒョン国家情報院長は７日、国会情報委員会で「具体的な物証はないが、情報上（第一子が）息子であることを外国情報機関と情報共有を通じて確信している」とし、「ただ、息子は露出したことが一度もなく、一部で提起されている身体的、精神的な問題があるという部分については、他の情報で確認されたことがない」と述べた。金正恩委員長の息子に関する限り、国情院の公式立場は「金正恩委員長の第一子が息子だという情報があり、引き続き確認中だ」という程度に過ぎない。それだけ敏感ということだ。

統一研究院のオ・ギョンソプ研究委員は、「『金氏一家』に関連した情報は、北朝鮮では些細なことさえ極秘であるため、アプローチ自体が難しいのが事実だ」とし、「情報当局も権力継承など、北朝鮮権力の敏感性をはじめ極秘事項を扱う北朝鮮向けの情報ルートを守るためにも、北朝鮮の権力継承に関連した相当な情報を獲得しても関連事実を極度に慎重に扱う側面があるだろう」と話した。

一部では、「キム・ジュエ」という名前をめぐっても疑問を提起している。

「ジュエ」は２０１４年平壌を訪問したＮＢＡスターのデニス・ロッドマンさんが「ジュエ（Ｊｕ－ａｅ）を抱いたことがある」と話したことで知られた。しかし、北朝鮮のメディアは、金正恩委員長の娘の名前を一度も明らかにしたことがない。ただ「愛する」、または「尊い」「尊敬する方の子ども」と報じただけだ。

これについて主要当局者は「実は、ロッドマンさんが使用した『ジュエ』という名前は極端に言えば金正恩夫妻が娘を紹介しながら『うちの子』と言ったことを名前と誤解したのではないか」とし、「通常、政府とメディアがジュエという名前を使っているが、北朝鮮当局が実際の名前を公式に知らせたことはない」と述べた。

名前に関する限り、金正恩委員長の名前も後継体制が明確になる直前の２００９年まで「金正恩」でなく「金正雲（キム・ジョンウン）」として知られていた前例がある。金正恩委員長が当初「正雲」として知られていた背景をめぐり、今も意見が分かれる。海外の情報機関が金氏の名前を英語や日本語に移す過程で発生した発音表記上のミスだという説明がある。一方、「正雲」から「正銀」に、再び「恩」を使う「正恩」に改名したという主張もあるが、これも公式に確認されていない。