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【コラム】ピンポン玉と気球…偵察気球の波紋から米中関係が悪化の一途

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

中国が打ち上げた偵察気球をめぐる波紋から米中関係は悪化の一途だ。中国は当初「気象など科学研究用無人飛行艇が不可抗力で米国に誤って進入した」として遺憾を表明した。それで事態が収拾すると思っていた中国の期待とは違い、米国が最新鋭F22戦闘機で気球を撃墜すると素早く攻勢に転じた。関連企業への制裁と対抗した制裁まで応酬した。

韓国ではこの気球を「風船」と呼んでいるが、中国ではあまり使わない表現だ。中国語では「気体を入れた球」という意味の「気球」と呼ぶ。大きな気球と小さな風船の区別はない。偵察気球が撃墜されると中国では米中関係が「ピンポン玉で始まり気球で終わった」という寸評が出てきた。1971年の米国代表団のピンポン外交で開かれた米中関係の扉を中国の気球が閉じているという意味だ。

今回の気球は果たして中国の主張通りに民間用だろうか。中国は10年ほど前から「剣犁協奏」と呼ばれる軍民融合政策を国防政策の大きな軸として推進中だ。民間と軍隊の力を結合させてシナジー効果を最大化するというものだ。そうして見ると民間用と軍需用の区別は無意味だ。米国は中国が全世界で偵察気球を運用していると主張する。


台湾で偵察気球は戦争の開始と見なす「第一撃」議論として広まった。昨年10月に中国のドローンが台湾の金門島を侵犯すると、無人航空機だとしても第一撃と見なすと宣言した。自衛権を発動するという警告だ。そんな台湾が偵察気球は第一撃でないと線を引いた。14日に台湾国防部は「気球の機能は偵察だ。武力を伴った行為と混ぜて話せない」と説明した。

第一撃は「後発制人」ドクトリンを運用する国に決定的な問題だ。正当な自衛反撃権を国際社会で認められるには反撃の要件などの規定がしっかりしていなければならない。荀子は「後から出発して先に到達するのが用兵の重要な術策(後之発先之至此用兵之要術也)」とした。先日北朝鮮のドローンがソウル領空を侵犯しても韓国で「第一撃」議論はなかった。心理的武装解除を狙うグレーゾーン攻勢はますます頻繁になる。発射準備段階から先制打撃をするという「発射の左側」戦略を稼動するためには第一撃に対する定義、すなわち何を打撃の対象とするのかに対する真摯な議論が必要でないだろうか。

シン・ギョンジン/北京総局長



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