バイデン米大統領がロシアのウクライナ侵攻１周年の２４日を控え、２０日に鉄壁の保安の中でウクライナの首都キーウを電撃訪問した。戦闘が広がっている戦場に、しかも米軍が駐留していない所に米国大統領が足を踏み入れたのは異例だとホワイトハウスは明らかにした。

バイデン大統領が危険を甘受してキーウ行きを決めたのは、自由なウクライナの地を踏みゼレンスキー大統領と並んで立った姿を全世界に見せるためだった。ワシントンを出発して２２時間かけて到着したキーウでの５時間には北大西洋条約機構（ＮＡＴＯ）の同盟を結束しウクライナの戦争勝利に対する願いが込められた。

◇出発２日前に最終決定…ロシアにも知らせた


サリバン大統領補佐官（国家安全保障担当）はこの日のオンライン会見で、バイデン大統領のキーウ訪問はさまざまなメッセージを含蓄していると伝えた。サリバン補佐官は「（バイデン大統領は）キーウを訪問してウクライナに対する米国の持続的な支援に対する明確で揺るぎないメッセージ、ウクライナを支持しロシアの侵略に対抗する国際社会と西側の明確で揺るぎないメッセージを送りたかった」と話した。

サリバン補佐官はまた、「自由なキーウでゼレンスキー大統領の横に立ち、ウクライナがロシアの侵略に成功裏に抵抗しており、ロシアがウクライナで戦略的失敗に陥っていることを強力な実証を通じて全世界に話す代わりに見せることを望んだ」と強調した。会見はバイデン大統領がキーウを離れた直後に開かれた。

バイデン大統領のキーウ行きは準備段階からものものしい保安が維持された。ホワイトハウスは数カ月にわたり準備し、最終決定は出国２日前の１７日にバイデン大統領を含め国防総省、情報機関など国家安全保障関連のごく少数の人が集まった中でなされたと明らかにした。

ファイナー米大統領副補佐官（国家安全保障問題担当）は「各機関で少数の人だけ安全作戦に向けた計画に関与した。大統領は段階別計画と非常状況発生の可能性などに対し十分に報告を受けた上で訪問の可否に対し最終的な決定を下した」と話した。

バイデン大統領のウクライナ訪問をロシアに知らせたかという質問にサリバン補佐官は「私たちはロシア人にバイデン大統領がキーウを訪問するだろうと通知した。われわれは出発数時間前に衝突を避けるためそのようにした」と明らかにした。

◇「ポーランドだけ行く」煙幕…飛行機と列車で２２時間

ホワイトハウスは事前会見で、バイデン大統領がポーランドだけ訪問すると繰り返し強調して煙幕を張った。ホワイトハウスは前日夕方に配布したポーランドでのスケジュールに、バイデン大統領が２０日午後７時にアンドリュース空軍基地を出発しワルシャワに向かう計画だと公示した。だがバイデン大統領はこれより約３３時間前の１９日午前３時３０分ごろにホワイトハウスを出発しウクライナ訪問の途に就いた状態だった。


「ポーランドに行く」と見せかけて…ウクライナ訪れたバイデン大統領サプライズの５時間（２）