「ブルーマーブル」。幼いころに友達と輪になってやった思い出のボードゲームだが、その名前がどういう意味なのかはわからなかった。世界の都市の不動産を購入して滞在費を受け取り相手を破産させるために無限競争を広げる勝者独占ゲーム。その名前の由来が宇宙の中の私たちの地球を意味する「青い玉」だとわかっていたなら、互いにあまり競争的にならなかっただろうか。
「ブルーマーブル」は1972年に月を観測しに行ったアポロ17号が2万9000キロメートル上空で偶然に撮った写真に付けられた名前だ。そこには光すら届かない闇の空間に1人危うげに浮かんでいる青白い星。地球の姿が写っていた。
◇1970年代の環境運動が残したもの
人類は巨大な認識の転換を迎える。地面から無限の宇宙を眺め宇宙から有限の地球を見ることになったのだ。逆説的だが米国とソ連の宇宙競争がピークに達した時に限界状況の地球を認識させてくれた。人類は競争的に月に向かって行ったが結局協力が切実なわれわれを振り返らせてくれた。
1970年代の環境運動と、国境と理念を超越した国際協力はこのように触発された。1972年に各国の科学者と知識人が集まったローマクラブの報告書「成長の限界」は、1992年のリオ地球環境サミットに継承される。「惑星意識(プラネタリティ)」を呼び覚ましたブルーマーブルが持続可能な発展の歴史にもれなく登場する理由だ。全地球的な協力がなかったとすれば2023年現在のわれわれははるかに危険な状況でさらに暗鬱な未来を次世代に譲る心配をしていたかもしれない。
残念なことに最近技術覇権対立の波が高まり国同士の科学技術協力スペースは徐々に狭くなっている様相だ。米中覇権競争が激しくなり多国間主義と自由貿易の秩序が揺らいでいるためだ。中国は急速な成長を基に技術権威主義の膨張を企て、米国は対中輸出と人的交流統制で対抗している。
このような構図で韓国も選択を強要される。協力の重要性を話すのは技術同盟内に限定されたり純真な想像と見なされる。自由の価値を共有する友好国と安保・経済的利益両方を企てることは重要だ。だが科学技術政策ですべての議論が覇権競争の構図に吸い込まれていくことは懸念される。現場の研究者は中国とロシアの学界との交流によりもしかするとわからない制裁を心配する。高度成長期に科学技術を経済の手段とだけ見ていたとすれば、いまはすべての事案を安保の観点から組み分けする雰囲気にある。
◇韓国の経済・安保利益しっかり考えなくては
科学技術を両極端的な対決と安保の観点だけで見るのは単純で危険だ。最近技術覇権競争は非常に多次元的なのでそうだ。競争で技術優位を確保して勝利を指向すべき分野と協力を追求すべきことを区分しなくてはならない。世界的サプライチェーンと研究革新ネットワークで韓国の位置は12大戦略技術の中でも半導体、二次電池、水素、炭素中立の技術はすべて異なる。米中二分法にだけ過度に注目すれば韓国の経済安保的利益を繊細に考慮する個別技術と産業別・地域別対応戦略を逃しかねない。
技術規範の戦線もまた多層的だ。気候技術、自律型致死兵器システム(LAWS)と関連した議論は米中、米ロの単純な戦線ではなく、先進国と開発途上国の尖鋭な対立だ。データ主権や個人情報保護規定(GDPR)によりEUと米国の対立が起きて久しい。世界的技術ガバナンスで科学技術界・産業界を含んで協力を多次元的にアプローチすべき理由だ。
技術覇権と対立の時代にわれわれはなぜ、そしてどのように協力すべきだろうか。科学技術を通じた協力にはわれわれが「学ぶ」協力、「分ける」協力、「みんながともにする」協力があるだろう。学ぶ協力は最先端科学技術研究に向けた基礎科学協力、国際共同研究だ。技術対立の中でも国際共同研究と民間交流が萎縮してはならない。UCサンディエゴの研究陣は米中覇権競争により米国の生命科学者の研究生産性が全般的に減少したことを示した。これはワシントンも願っていたことではない。米国立科学財団はコロナ禍前の科学技術研究の23%が国際協力で可能だったと明らかにした。
【コラム】科学技術の本質は協力…韓国、米中対立の二分法乗り越えなくては(2)
「ブルーマーブル」は1972年に月を観測しに行ったアポロ17号が2万9000キロメートル上空で偶然に撮った写真に付けられた名前だ。そこには光すら届かない闇の空間に1人危うげに浮かんでいる青白い星。地球の姿が写っていた。
◇1970年代の環境運動が残したもの
人類は巨大な認識の転換を迎える。地面から無限の宇宙を眺め宇宙から有限の地球を見ることになったのだ。逆説的だが米国とソ連の宇宙競争がピークに達した時に限界状況の地球を認識させてくれた。人類は競争的に月に向かって行ったが結局協力が切実なわれわれを振り返らせてくれた。
1970年代の環境運動と、国境と理念を超越した国際協力はこのように触発された。1972年に各国の科学者と知識人が集まったローマクラブの報告書「成長の限界」は、1992年のリオ地球環境サミットに継承される。「惑星意識(プラネタリティ)」を呼び覚ましたブルーマーブルが持続可能な発展の歴史にもれなく登場する理由だ。全地球的な協力がなかったとすれば2023年現在のわれわれははるかに危険な状況でさらに暗鬱な未来を次世代に譲る心配をしていたかもしれない。
残念なことに最近技術覇権対立の波が高まり国同士の科学技術協力スペースは徐々に狭くなっている様相だ。米中覇権競争が激しくなり多国間主義と自由貿易の秩序が揺らいでいるためだ。中国は急速な成長を基に技術権威主義の膨張を企て、米国は対中輸出と人的交流統制で対抗している。
このような構図で韓国も選択を強要される。協力の重要性を話すのは技術同盟内に限定されたり純真な想像と見なされる。自由の価値を共有する友好国と安保・経済的利益両方を企てることは重要だ。だが科学技術政策ですべての議論が覇権競争の構図に吸い込まれていくことは懸念される。現場の研究者は中国とロシアの学界との交流によりもしかするとわからない制裁を心配する。高度成長期に科学技術を経済の手段とだけ見ていたとすれば、いまはすべての事案を安保の観点から組み分けする雰囲気にある。
◇韓国の経済・安保利益しっかり考えなくては
科学技術を両極端的な対決と安保の観点だけで見るのは単純で危険だ。最近技術覇権競争は非常に多次元的なのでそうだ。競争で技術優位を確保して勝利を指向すべき分野と協力を追求すべきことを区分しなくてはならない。世界的サプライチェーンと研究革新ネットワークで韓国の位置は12大戦略技術の中でも半導体、二次電池、水素、炭素中立の技術はすべて異なる。米中二分法にだけ過度に注目すれば韓国の経済安保的利益を繊細に考慮する個別技術と産業別・地域別対応戦略を逃しかねない。
技術規範の戦線もまた多層的だ。気候技術、自律型致死兵器システム(LAWS)と関連した議論は米中、米ロの単純な戦線ではなく、先進国と開発途上国の尖鋭な対立だ。データ主権や個人情報保護規定(GDPR)によりEUと米国の対立が起きて久しい。世界的技術ガバナンスで科学技術界・産業界を含んで協力を多次元的にアプローチすべき理由だ。
技術覇権と対立の時代にわれわれはなぜ、そしてどのように協力すべきだろうか。科学技術を通じた協力にはわれわれが「学ぶ」協力、「分ける」協力、「みんながともにする」協力があるだろう。学ぶ協力は最先端科学技術研究に向けた基礎科学協力、国際共同研究だ。技術対立の中でも国際共同研究と民間交流が萎縮してはならない。UCサンディエゴの研究陣は米中覇権競争により米国の生命科学者の研究生産性が全般的に減少したことを示した。これはワシントンも願っていたことではない。米国立科学財団はコロナ禍前の科学技術研究の23%が国際協力で可能だったと明らかにした。
【コラム】科学技術の本質は協力…韓国、米中対立の二分法乗り越えなくては(2)
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