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韓国の「世界最高水素経済育成」ロードマップ…龍頭蛇尾の前轍を踏むのか(2)

ⓒ韓国経済新聞/中央日報日本語版
しかし政府は市場形成にいかなる動きも見せていない。まず、比較的成功したと自負する官僚らの誤った考えのためだ。その考えは経済成長時代、電力の供給を渇望して需要があった時期に基づくものだ。当時は常に電気が不足していた。ところがこの電気は炭素に関心がなかった時代、炭素を排出する炭素電気だった。最も安いエネルギー源で生産した電気から供給する「経済給電」が可能だった。ところがPM2.5がイシューに浮上すると、環境に否定的な影響を与えるエネルギー源を排除しようという「環境給電」が重要になった。石炭発電を減らし、液化天然ガス(LNG)発電を増やした。韓国には突然だったかもしれないが、先進国はすでに再生可能エネルギーで電力を供給する「クリーン給電」に進んでいた。そしてその過程で先進国では炭素電気よりもクリーン電気が安くなる「グリッドパリティ」を達成した。当然、RE100を主張し、炭素国境調整メカニズム(CBAM)も率先して進めている。自国産業(企業)に有利であるからだ。

国際投資家がサムスン電子に韓国型RE100を要求しない理由もこれと同じだ。自分たちの再生可能エネルギー証明書(REC)を購入してほしいということだ。REC購買はRE100履行手段の一つとなる。こうした提案はむしろサムスン電子にプラスとなる可能性がある。国内RECよりはるかに安いからだ。すでに国内の多くのグローバル企業はRECの相当部分を海外RECで埋めている。国内にはRECがほとんどないうえ、あるとしても量も少なく、韓国電力が非常に高く受けているからだ。状況がこのように変わったにもかかわらず、政府は過去の電力供給不足時代の政策を呼び水のように注ぎながら、ポンプを押せば地下水がいくらでも出てくるものと錯覚している。価格以外にいかなる製品差別化要因もないが、「市場」もなくこの呼び水で「世界最強」が可能と見ているのだろうか。

電力市場のパラダイムも大きく変わった。再生可能エネルギーの特徴は気象条件による変動性と間欠性であり、原料を安定的に供給して生産できる電気ではない。それで再生可能エネルギーは気候をうまく予測して電気生産量を正確に判断し、電気消費者の消費パターンを分析し、一定でない電力生産量と消費パターンを結びつけることが重要だ。こうした双方向の情報(ビッグデータ)をクラウドに集め、人工知能(AI)を通じて需給を一致させ、その間の間隙は電力貯蔵システム(ESS)で調整する形だ。いわゆる、4次産業との融合を活用することだ。これを最も基本的に実現したのがスマートグリッドだ。しかし市場がないため進めることもできない。


こうしたパラダイムの変化に適応しても、産業融合を通した新成長産業に育成するためには莫大な投資が必要だ。この投資を誰がするかがカギだが、政府の予算や韓電の資金では不可能だ。民間が動き出すべきだが、その方法が結局、市場を形成する。すべてのOECD国家はこのようにしてグリッドパリティを達成し、グリーン水素技術も進んでいる。

最後に、政策の一貫性がなければいけない。現在は政策を一貫して推進し、点検を受ける制度(機構)がない。2年ごとに政策担当者と国会常任委員会が交代する。独立した管理機関の必要性が台頭する理由だ。ところが現政権には希望をたたまなければいけないようだ。新政府引き継ぎ委員会の報告書にあった「電力政策独立規制機関導入」約束が、わずか9カ月後に出てきた第10次電力産業基本計画でかすんだからだ。韓国にだけこのような独立機関がない。

キム・ギョンシク/韓国ESG学会副会長/元現代製鉄企画室長


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