◆1950年1月、米国はソ連と中国の拡張を防ぐための「アチソンライン」を発表した。そして5カ月後、アチソンラインの外側に位置することになった韓半島(朝鮮半島)では戦争が勃発した。73年が過ぎた2023年、韓国は再び米中のサプライチェーン(供給網)戦争として描かれる「新アチソンライン」の最前線に立っている。
中央日報はソウル大学アジア研究所(所長パク・スジン教授)とともに急変する国際情勢の中の韓国外交の方向を模索するための企画シリーズを用意した。韓国データ分析機関「Arspraxia(アルスプラクシア)」はアジア研究所の依頼で2020年1月~2022年9月30日まで韓日米中4カ国の報道機関824社の記事550万件余りに対してビッグデータ分析を行い、「韓国リサーチ」は先月6~9日に成人男女1000人を対象に深層ウェブアンケート調査を実施した(95%信頼水準・標集誤差±3.1%・比例割当後無作為抽出)。
過去1年間、国際社会の耳目はアジアに集中した。中国では「習近平第3期が始まって米中競争が本格化し、北朝鮮は大陸間弾道ミサイル(ICBM)を含めて60余発の弾道ミサイルを発射して核・ミサイル高度化に邁進(まいしん)した。台湾は米下院議長の訪問とこれに対抗した中国の軍事訓練が交差して米中競争の火薬庫になった。韓国メディア「中央日報」とソウル大学アジア研究所は昨年のアジアの情勢を振り返り、今年に備えるために各分野の専門家10人に「アジア10大イシュー分析」を要請した。以下、専門家10人の分析の要約を掲載する。
◇「新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)ニューノーマル、デジタルと公共性に注目を」…ソウル大学社会学科のイ・ジェヨル教授
新型コロナパンデミック以降のニューノーマルに最も大きな影響を及ぼした要因はデジタル技術とこれを活用する国家の公共性問題だ。戦争が新たな武器を果敢に活用する環境を作ったように、今回のパンデミックはデジタル技術を活用した接触および追跡技術が広範囲に活用される契機となった。
中国の場合「パノプティコン型監視社会」を作るためにデジタル技術を最大限活用した。「健康コード」を活用して政府がほぼ無制限に国民個人情報にアクセスできるシステムを構築した。体系的かつ強力な方式だが、プライバシー侵害はもちろん個人情報が政治的目的に利用されかねないという問題を抱えている。
韓国はNAVER(ネイバー)・カカオなど国産プラットフォームを基にQRチェックイン機能を導入し、疾病管理本部はこの情報を活用して感染者発生に伴う疫学調査を遂行した。収集されたデータは28日後に自動で破棄される。これはプラットフォームの公的活用を通じて社会的価値を高めた事例に該当する。同時に民主的な体制で個人のデータ主権と国家のデータ主権を同時に確保することができる道を探ることができた。
◇「韓流が作り出す『少子高齢化』解決法」…ソウル大学言論情報学科のホン・ソッキョン教授
韓国が東アジアの韓流を越えて「世界の中の韓流」を自覚したのは2012年歌手PSY(サイ)の『江南(カンナム)スタイル』がYouTube(ユーチューブ)などを通して全世界で最も有名なミュージックビデオ(MV)になった時だ。わずか10年前のことだ。その後BTS(防弾少年団)はK-POPがグローバル大衆文化に進む道を作り、映画『パラサイト 半地下の家族』とドラマ『イカゲーム』は韓国の映像産業を世界が認めるダイナミックな産業へと発展させた。特にパンデミック期間にストップしていた世界はより多くの時間を割愛してK-POPと韓国ドラマに拍手を送り、世界の多くの人々が韓流ファンになった。
韓国内ではこのような韓流の世界的成功を過度に経済的言語で表現してきた。韓流の成功は常に経済的に扱われ、この産業がどれくらい持続して成長するかが主な質問になってきた。だが、パンデミックはこのような経済中心的思考に新たな脈絡を提供した。K-POPの明るいエネルギーはパンデミックが呼び起こした経済的不安と心身の疲労、暗い未来見通しを押し出した。K-POPコミュニティのあたたかい連帯は世界の青年たちに肯定的エネルギーを伝播した。
結果的にパンデミック期間を経て韓流のダイナミクスは大きくなった。各国の大学で韓国語科の人気や韓国旅行に対する熱気が高まった。韓国観光公社は2023~24年を「Visit Korea(韓国訪問)」の年とした。今後数年間、韓国を訪問する外国人の数は大幅に増える予定だ。これは人口減少に直面した韓国が構築していかなければならない多文化社会に対する挑戦と機会を提供することになるだろう。多文化社会は長期的に国民社会を建設していかなくてはならない国家が責任を取って準備しなければならない現在進行形の未来だ。韓流の隆盛は近視眼的な経済利益を越えて人口減少の現実にぶつかった韓国社会が肯定的かつ積極的に未来の多文化社会を建設するための機会を提供する。
◇「米中『自国中心主義』、軽率な期待は禁物」…ソウル大学国際大学院のシン・ソンホ教授
トランプ政府で本格化した米中競争はバイデン政府に入りさらに深化しつつある。バイデン政府は今年発表した国家安保戦略で中国を『最も深刻な地政学的挑戦』と規定した。中国が経済はもちろん外交・軍事・技術の面で米国に対抗することができる唯一の競争者であり、自国に有利な世界秩序を再編しようとする意図と能力が向上していると警告する。
米中競争が短期間に結果が出る兆しは見られない。米国は長期的観点で中国の脅威を扱い、中国も2050年世界最高国家の達成を目指して長期戦略を追求している。今後20~30年間、米中競争が持続して明確な勝者の区分なく混乱と危機の時期が続く可能性が高い。また、冷戦時期のように米中両国を中心に両極端的な陣営論理が支配する代わりに、米中と他の国々の間の複雑な離合集散が続くものとみられる。特に政治理念やイデオロギーよりも国益を全面に出して追求する19世紀の典型的な現実主義国際政治の姿が再現される様相だ。
韓国のような中堅国が注意すべきことは、各種地政学的危機や米中競争に巻きこまれないように積極的に状況を管理することだ。米中自らが徹底的に自国利益中心主義に基づく政策を展開する中で、米中に対する軽率な期待は禁物だ。最近数年間行われた米国との軍事協力を信じてNATO(北大西洋条約機構)加入を軽率に推進したウクライナの教訓を再確認する必要がある。ロシアの侵攻以降、米国は戦争物資を支援しながらも直接的な軍事介入は徹底的に排除した。結局、戦争の最も大きな犠牲はそのままウクライナがかぶることになった。
◇「『類似の立場国の破片化』防ぐ求心点の形成を」
全世界的な物価上昇とそれに伴う景気低迷が長期化している。新型コロナパンデミック克服過程で急激に高まった流動性と米中覇権競争に伴うグローバルサプライチェーン(GVC)かく乱、炭素中立(カーボン・ニュートラル)によるエネルギー転換需要などが重なったためだ。それでもアジア経済はよく耐えている。アジアに経済危機が発生すれば、これは経済的要因ではなく「経済外的領域」で起きる可能性が高い。
経済外的要因として地政学的不安定がしばしば挙げられる。特に価値を共有する米国中心の陣営と中露を含んだ権威主義国家の陣営が対抗する世界経済の構造的亀裂は、陣営間の対立を越えて陣営内部の競争にまで拡散する危険がある。実際、昨年10月米国が中国に対する半導体輸出規制強化を推進した当時、企業は競争会社に被害を与えたり優位を占めたりするために行政府官僚を相手にロビー活動を展開した。世界経済の構造的亀裂が企業間の競争深化につながったといえる。
東南アジア諸国連合(ASEAN)地域でも類似の現象を目撃することができる。サプライチェーンの再編過程でASEAN各国が自国に企業を誘致しようと血眼になって競争している。このような競争は「類似の立場国内部の破片化」に続いてASEAN交渉力の最も根幹であるASEAN中心性(ASEAN Centrality)を損なうことになりかねない。韓国・オーストラリア・台湾・ベトナムなど輸出主導型国家が位置したアジアが経済危機を避けるためには、類似の立場国内部の破片化を止揚して従来の多国間貿易秩序体制の維持のために協力しなければならない。グローバル中枢国家を志向する韓国はこのような協力の求心点を形成するために集中しなければならない。
◇「米国と協力しながら中露とも「均衡的外交」を」…ソウル大学政治外交学部のシン・ボムシク教授
ウクライナ戦争は代理戦に組み込まれた「3重戦争(西側vsロシア、ロシアvsウクライナ、ウクライナvs反乱軍)」の複合的特性に加えて国際的支持と支援が交差して、その解決策を探るのは容易ではない。ウクライナを支援して悪を懲らしめることによって正義を正さなければならないという「正義陣営」と、戦争の持続が大きな犠牲を生むだけなので外交を通して解決を探るべきだという「平和陣営」間の論争も続いている。戦争が長期化してより多くの犠牲が発生するのは自明の理だ。
米国をはじめとする西側は経済制裁でロシアを圧迫して制限的に財源と武器を支援しているが、ウクライナの善戦を支持する水準を超えることができないでいる。多くの領土を失ったウクライナのゼレンスキー大統領は戦争を終えたくても退路がないように見える。クリミアとドンバスを含む完全な実地回復だけが唯一の選択肢だ。ロシアは戦争の国内的悪影響を最小化しようと制限された資源だけを動員して持久戦に持ち込みウクライナに白旗をあげさせようとする戦術を続けている。双方とも戦争を終わらせるために退く場所がこれといってない状況に置かれている。
韓国は分裂する世界政治の衝撃をどのように克服するのかそろそろ悩まなければならない。米国との安保協力強化は不可欠だが、ロシアも依然として韓半島(朝鮮半島)勢力均衡のための主要行為者だ。エネルギー安保とエネルギー転換の主なパートナーになりえるし、到来する北極時代において新たな物流革命のパートナーにもなりえる。結局、韓国は米国と西側が追求する自由主義国際秩序と価値同盟を固めながら同時にこのような連帯が中国やロシアなどとの交流を制限しないようにバランス外交の通路を開発しなければならない。二者択一的思考から抜け出して、環境条件や機会、そして能力に対する正確な理解を基に適切な均衡点を探り、これを維持する柔軟かつ実用的な戦略的思考に基づいた中間国外交を実現しなければならないだろう。
「韓流、少子高齢化の新たな解決策」…専門家「2023韓国外交10問10答」(2)
中央日報はソウル大学アジア研究所(所長パク・スジン教授)とともに急変する国際情勢の中の韓国外交の方向を模索するための企画シリーズを用意した。韓国データ分析機関「Arspraxia(アルスプラクシア)」はアジア研究所の依頼で2020年1月~2022年9月30日まで韓日米中4カ国の報道機関824社の記事550万件余りに対してビッグデータ分析を行い、「韓国リサーチ」は先月6~9日に成人男女1000人を対象に深層ウェブアンケート調査を実施した(95%信頼水準・標集誤差±3.1%・比例割当後無作為抽出)。
過去1年間、国際社会の耳目はアジアに集中した。中国では「習近平第3期が始まって米中競争が本格化し、北朝鮮は大陸間弾道ミサイル(ICBM)を含めて60余発の弾道ミサイルを発射して核・ミサイル高度化に邁進(まいしん)した。台湾は米下院議長の訪問とこれに対抗した中国の軍事訓練が交差して米中競争の火薬庫になった。韓国メディア「中央日報」とソウル大学アジア研究所は昨年のアジアの情勢を振り返り、今年に備えるために各分野の専門家10人に「アジア10大イシュー分析」を要請した。以下、専門家10人の分析の要約を掲載する。
◇「新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)ニューノーマル、デジタルと公共性に注目を」…ソウル大学社会学科のイ・ジェヨル教授
新型コロナパンデミック以降のニューノーマルに最も大きな影響を及ぼした要因はデジタル技術とこれを活用する国家の公共性問題だ。戦争が新たな武器を果敢に活用する環境を作ったように、今回のパンデミックはデジタル技術を活用した接触および追跡技術が広範囲に活用される契機となった。
中国の場合「パノプティコン型監視社会」を作るためにデジタル技術を最大限活用した。「健康コード」を活用して政府がほぼ無制限に国民個人情報にアクセスできるシステムを構築した。体系的かつ強力な方式だが、プライバシー侵害はもちろん個人情報が政治的目的に利用されかねないという問題を抱えている。
韓国はNAVER(ネイバー)・カカオなど国産プラットフォームを基にQRチェックイン機能を導入し、疾病管理本部はこの情報を活用して感染者発生に伴う疫学調査を遂行した。収集されたデータは28日後に自動で破棄される。これはプラットフォームの公的活用を通じて社会的価値を高めた事例に該当する。同時に民主的な体制で個人のデータ主権と国家のデータ主権を同時に確保することができる道を探ることができた。
◇「韓流が作り出す『少子高齢化』解決法」…ソウル大学言論情報学科のホン・ソッキョン教授
韓国が東アジアの韓流を越えて「世界の中の韓流」を自覚したのは2012年歌手PSY(サイ)の『江南(カンナム)スタイル』がYouTube(ユーチューブ)などを通して全世界で最も有名なミュージックビデオ(MV)になった時だ。わずか10年前のことだ。その後BTS(防弾少年団)はK-POPがグローバル大衆文化に進む道を作り、映画『パラサイト 半地下の家族』とドラマ『イカゲーム』は韓国の映像産業を世界が認めるダイナミックな産業へと発展させた。特にパンデミック期間にストップしていた世界はより多くの時間を割愛してK-POPと韓国ドラマに拍手を送り、世界の多くの人々が韓流ファンになった。
韓国内ではこのような韓流の世界的成功を過度に経済的言語で表現してきた。韓流の成功は常に経済的に扱われ、この産業がどれくらい持続して成長するかが主な質問になってきた。だが、パンデミックはこのような経済中心的思考に新たな脈絡を提供した。K-POPの明るいエネルギーはパンデミックが呼び起こした経済的不安と心身の疲労、暗い未来見通しを押し出した。K-POPコミュニティのあたたかい連帯は世界の青年たちに肯定的エネルギーを伝播した。
結果的にパンデミック期間を経て韓流のダイナミクスは大きくなった。各国の大学で韓国語科の人気や韓国旅行に対する熱気が高まった。韓国観光公社は2023~24年を「Visit Korea(韓国訪問)」の年とした。今後数年間、韓国を訪問する外国人の数は大幅に増える予定だ。これは人口減少に直面した韓国が構築していかなければならない多文化社会に対する挑戦と機会を提供することになるだろう。多文化社会は長期的に国民社会を建設していかなくてはならない国家が責任を取って準備しなければならない現在進行形の未来だ。韓流の隆盛は近視眼的な経済利益を越えて人口減少の現実にぶつかった韓国社会が肯定的かつ積極的に未来の多文化社会を建設するための機会を提供する。
◇「米中『自国中心主義』、軽率な期待は禁物」…ソウル大学国際大学院のシン・ソンホ教授
トランプ政府で本格化した米中競争はバイデン政府に入りさらに深化しつつある。バイデン政府は今年発表した国家安保戦略で中国を『最も深刻な地政学的挑戦』と規定した。中国が経済はもちろん外交・軍事・技術の面で米国に対抗することができる唯一の競争者であり、自国に有利な世界秩序を再編しようとする意図と能力が向上していると警告する。
米中競争が短期間に結果が出る兆しは見られない。米国は長期的観点で中国の脅威を扱い、中国も2050年世界最高国家の達成を目指して長期戦略を追求している。今後20~30年間、米中競争が持続して明確な勝者の区分なく混乱と危機の時期が続く可能性が高い。また、冷戦時期のように米中両国を中心に両極端的な陣営論理が支配する代わりに、米中と他の国々の間の複雑な離合集散が続くものとみられる。特に政治理念やイデオロギーよりも国益を全面に出して追求する19世紀の典型的な現実主義国際政治の姿が再現される様相だ。
韓国のような中堅国が注意すべきことは、各種地政学的危機や米中競争に巻きこまれないように積極的に状況を管理することだ。米中自らが徹底的に自国利益中心主義に基づく政策を展開する中で、米中に対する軽率な期待は禁物だ。最近数年間行われた米国との軍事協力を信じてNATO(北大西洋条約機構)加入を軽率に推進したウクライナの教訓を再確認する必要がある。ロシアの侵攻以降、米国は戦争物資を支援しながらも直接的な軍事介入は徹底的に排除した。結局、戦争の最も大きな犠牲はそのままウクライナがかぶることになった。
◇「『類似の立場国の破片化』防ぐ求心点の形成を」
全世界的な物価上昇とそれに伴う景気低迷が長期化している。新型コロナパンデミック克服過程で急激に高まった流動性と米中覇権競争に伴うグローバルサプライチェーン(GVC)かく乱、炭素中立(カーボン・ニュートラル)によるエネルギー転換需要などが重なったためだ。それでもアジア経済はよく耐えている。アジアに経済危機が発生すれば、これは経済的要因ではなく「経済外的領域」で起きる可能性が高い。
経済外的要因として地政学的不安定がしばしば挙げられる。特に価値を共有する米国中心の陣営と中露を含んだ権威主義国家の陣営が対抗する世界経済の構造的亀裂は、陣営間の対立を越えて陣営内部の競争にまで拡散する危険がある。実際、昨年10月米国が中国に対する半導体輸出規制強化を推進した当時、企業は競争会社に被害を与えたり優位を占めたりするために行政府官僚を相手にロビー活動を展開した。世界経済の構造的亀裂が企業間の競争深化につながったといえる。
東南アジア諸国連合(ASEAN)地域でも類似の現象を目撃することができる。サプライチェーンの再編過程でASEAN各国が自国に企業を誘致しようと血眼になって競争している。このような競争は「類似の立場国内部の破片化」に続いてASEAN交渉力の最も根幹であるASEAN中心性(ASEAN Centrality)を損なうことになりかねない。韓国・オーストラリア・台湾・ベトナムなど輸出主導型国家が位置したアジアが経済危機を避けるためには、類似の立場国内部の破片化を止揚して従来の多国間貿易秩序体制の維持のために協力しなければならない。グローバル中枢国家を志向する韓国はこのような協力の求心点を形成するために集中しなければならない。
◇「米国と協力しながら中露とも「均衡的外交」を」…ソウル大学政治外交学部のシン・ボムシク教授
ウクライナ戦争は代理戦に組み込まれた「3重戦争(西側vsロシア、ロシアvsウクライナ、ウクライナvs反乱軍)」の複合的特性に加えて国際的支持と支援が交差して、その解決策を探るのは容易ではない。ウクライナを支援して悪を懲らしめることによって正義を正さなければならないという「正義陣営」と、戦争の持続が大きな犠牲を生むだけなので外交を通して解決を探るべきだという「平和陣営」間の論争も続いている。戦争が長期化してより多くの犠牲が発生するのは自明の理だ。
米国をはじめとする西側は経済制裁でロシアを圧迫して制限的に財源と武器を支援しているが、ウクライナの善戦を支持する水準を超えることができないでいる。多くの領土を失ったウクライナのゼレンスキー大統領は戦争を終えたくても退路がないように見える。クリミアとドンバスを含む完全な実地回復だけが唯一の選択肢だ。ロシアは戦争の国内的悪影響を最小化しようと制限された資源だけを動員して持久戦に持ち込みウクライナに白旗をあげさせようとする戦術を続けている。双方とも戦争を終わらせるために退く場所がこれといってない状況に置かれている。
韓国は分裂する世界政治の衝撃をどのように克服するのかそろそろ悩まなければならない。米国との安保協力強化は不可欠だが、ロシアも依然として韓半島(朝鮮半島)勢力均衡のための主要行為者だ。エネルギー安保とエネルギー転換の主なパートナーになりえるし、到来する北極時代において新たな物流革命のパートナーにもなりえる。結局、韓国は米国と西側が追求する自由主義国際秩序と価値同盟を固めながら同時にこのような連帯が中国やロシアなどとの交流を制限しないようにバランス外交の通路を開発しなければならない。二者択一的思考から抜け出して、環境条件や機会、そして能力に対する正確な理解を基に適切な均衡点を探り、これを維持する柔軟かつ実用的な戦略的思考に基づいた中間国外交を実現しなければならないだろう。
「韓流、少子高齢化の新たな解決策」…専門家「2023韓国外交10問10答」(2)
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