欧州連合（ＥＵ）が４日、加盟２７カ国すべてに「中国発の入国者に対する出発前新型コロナウイルス検査を実施せよ」と強く勧告した。中国は８日から自国民の出国制限措置を緩和するため、中国発の旅行客が大きく増えると予想されるためだ。

ＡＰ通信とユーロニュースなどによると、ＥＵ理事会循環議長国のスウェーデンはこの日声明を通じ、ベルギーのブリュッセルで開かれた緊急会議でこうした内容を盛り込んだＥＵ次元の「調整された予防対策」に合意したと明らかにした。

スウェーデン当局は「中国から出発するすべての航空便搭乗客を対象に出発前４８時間以内の新型コロナウイルス陰性確認要件を導入する案が加盟国に強く勧告される」と伝えた。また「加盟国は中国と往来する航空便の乗客全員に医療用、ＦＦＰ２、Ｎ９５、ＫＮ９５のマスク着用を勧告することで合意した」と付け加えた。


ただ、ＥＵは加盟国に中国からの入国者の出発前の新型コロナウイルス検査実施を義務付けてはいない。中国の反発を考慮しレベルを調節したものという解釈が出ている。ＥＵは「中国の自国民旅行規制緩和が公式化する８日から中旬までの状況を見守った上で改めて判断したい」と明らかにした。

しかしＡＰ通信によるとすでに前日のＥＵ保健安全委員会では「圧倒的多数」の加盟国が中国発の旅行客に対する出発前の新型コロナウイルス検査導入に賛成した。これに伴い、相当数のＥＵ加盟国が今回の勧告に基づき中国からの旅行客に対する新型コロナウイルス検査を相次いで導入するとみられる。すでにイタリア、フランス、スペインなどは独自に中国発の入国者に対する新型コロナウイルス検査を実施したり陰性確認書を求めている。韓国、米国、日本、英国、インド、オーストラリアなども中国発の入国者に対するこうした形の検疫を強化した。

中国は主要国の相次ぐ中国発の入国規制措置に反発している。これに先立ち中国外交部の毛寧報道官は４日、「中国にだけ入国制限措置を取るのは科学的根拠が不足する。こうした過度な慣行をこれ以上容認しないだろう」と話した。

中国では最近、ゼロコロナ政策撤廃の後遺症で新型コロナウイルス感染者が急増している。英国の情報分析会社エアフィニティは先月末、「現在の中国内の新型コロナウイルス死亡者数は１日９０００人に達するだろう」と推定した。２２日から中国人の移動が活発になる旧正月の春節に入るのを契機に死亡者数がピークに達するだろうとの予測が出ている。

しかし中国は新型コロナウイルス関連統計を透明に公開していないという批判に直面した。世界保健機関（ＷＨＯ）は４日、「中国の新型コロナウイルス感染者と重症患者、死亡者数などの統計発表は実際の状況を縮小したものであり、情報共有が至急だ」として透明な公開を促した。

ただ一部では現在中国で流行中であることがわかった新型コロナウイルスの変異株がすでに欧州で流行しており、全面的な制限は必須でないという主張も出ている。世界の航空会社３００社が加盟する国際航空運送協会（ＩＡＴＡ）は「この３年間効果がないことが明らかになった措置がこのように反射的に再導入されるのを見るのは残念だ。国境統制はせいぜい流行のピークを数日遅らせるだけ」と主張した。