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「中国の実験室から新型コロナ流出」無視された陰謀論、外信が注目

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

昨年、アリーナ・チャン博士が出版した『ウイルス:新型コロナウイルス感染症の起源を探して』[[アリーナ・チャン氏のツイッター キャプチャー]

全世界を揺るがす新たな発見なのか、根拠のない陰謀論なのか。シンガポール出身の遺伝子・細胞工学専門家アリーナ・チャン博士(34)をめぐる質問だ。3年前に新型コロナウイルス感染症(新型コロナ)の拡散が始まった後、多くの学者がウイルスの起源をめぐって論争を繰り広げていた中、「中国武漢ウイルス研究所からの流出の可能性」を主張してきたMIT・ハーバードブロード研究所のチャン博士の声に外信が注目している。主流とされてきた「野生動物起源説」に疑問を提起したチャン博士が正しいかもしれないという予想だ。新型コロナは2019年12月8日、武漢で初めて発見された。

27日(現地時間)、英紙テレグラフは2023年に注目すべき人物を紹介し、科学分野ではチャン博士を取り上げた。テレグラフは「チャン博士について聞いたことがなくても来年は確実に分かるだろう」とし「最も致命的なスキャンダルを発見した科学者の一人として歴史に残る可能性がある」と紹介した。チャンは武漢ウイルス研究所で新型コロナが始まった可能性を提起した最初の専門家の一人だ。テレグラフはチャン博士の主張を裏付ける根拠があると予想した。

チャン博士の疑いは、新型コロナの流行初期だった2020年に始まった。チャン博士は新型コロナの変異速度が遅いという点を不思議に思った。昨年4月、ニューヨークタイムズ(NYT)とのインタビューで、チャン博士は「(ウイルスが)本格的に拡散する前から、すでにヒトとヒトとの間で広がりやすい形で『事前適応』されているようで疑問に思った」と話した。また、数年間調査を行ったにもかかわらず、武漢水産市場のどの動物から感染が始まったのか明らかにできなかった点も挙げた。


昨年、チャン博士は科学作家マット・リドレー氏とともに『Viral: The Search for the Origin of COVID-19(ウイルス:新型コロナの起源を探して)』(原題)という本を出版した。チャン博士はウイルスがヒトに入って数カ月間発見されない状態で変異を繰り返した可能性を提起した。例えば、実験室で研究が行われている間、ヒトの体に入ったウイルスが自主的に適応し、その後偶然に漏れた可能性があるという主張だ。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は「実験室流出説に対するもっともらしく包括的な事例」と評価した。

しかし、科学界でチャン博士の主張は無視された。NYTは昨年10月、チャン博士の意志を称賛しながらも「多くの高位ウイルス学者は専門性のない主張だと見ている」として「中国を疎外させ、調査を妨害する結果につながりかねないという懸念もある」と伝えた。ペンシルベニア大学新型コロナ研究所のスーザン・バイス氏は「確かにコウモリから出た動物園性感染」と一蹴した。

特に、中国官営メディアはチャン博士に厳しい批判を浴びせた。特にチャン博士が華僑人口の多いシンガポール国籍である点を挙げ「人種の裏切り者」とレッテルをつけた。NYTは中国メディアを引用して「基本的な学問的倫理が欠如した裏切り者という非難を浴びた」と報じた。チャン博士は「極度に不安で眠れない日々が続いた」と吐露した。

チャン博士はカナダのバンクーバーでシンガポール国籍の両親の間に生まれた。生まれた直後、シンガポールに渡った彼は、10代の時、重症急性呼吸器症候群(SARS)の大流行を経験した。その後、カナダのブリティッシュコロンビア大学で生化学と分子生物学を学び、ハーバード大学で博士課程を経た後、ブロード研究所に合流した。

チャンはNYTに「自然経路説」と「実験室流出説」の間で50対50の可能性を開いていると強調した。ただ、新型コロナをめぐる研究の問題点を隠ぺいする科学者などを告発したいと語った。チャン氏は「書籍を通じて稼いだ収入を全て新型コロナ関連ボランティア団体に寄付する」として「長持ちする完全な記録を望むばかり」と話した。



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