ドローンと無人機を活用して大規模な空中攻撃作戦をする米空軍の想像図。最近、多くの国が無人機に投資している。 写真=米空軍研究所
陸・海・空軍と海兵隊も国防革新4.0に合わせて基本戦略と計画を立てるのに忙しい。国防革新を支援するために大統領室も動いている。大統領を委員長とする国防革新委員会を新設してコントロールタワーにするということだ。
◆筋肉質の軍事力からソフトパワーに
国防革新4.0で主に挙がっている用語はAI、ビッグデータ、機械学習(ML)、ロボット、ドローン、無人化、自律システム、レーザー、サイバー、電磁波など、第4次産業革命技術の核心キーワードだ。すでに民間ではこうした技術が自律自動車、ロボット掃除機、携帯電話、宅配ドローンなど広い範囲で活用されている。
しかしこれまで「筋肉質」中心の軍事力に執着してきた韓国軍では依然として馴染みが薄い。戦車、野砲、戦闘機など目に見える伝統的な武器を持ってこそ安心できるからだ。「国防革新4.0」が本格化すれば、数十年間にわたり維持してきた戦術と作戦、部隊形態と兵力構造、軍需支援体系は大きく変わる。しかし慣れていないソフトパワー環境を受け入れようとすれば相当な負担が伴う。
26日に京畿道(キョンギド)に浸透した北朝鮮軍の無人機への対処を見ると、韓国軍が筋肉質のハードパワー戦闘力にどれほど安住してきたかが如実に表れる。北朝鮮の無人機は2014年から12回も韓国の上空に浸透した。しかし韓国軍の対応能力に大きな変化はなかった。
この日、軍当局は速度が速い戦闘機で北朝鮮の無人機を迎撃しようとした。しかし遅くて小さい(2メートル)無人機を戦闘機の騎銃で命中させるのは難しかった。地上攻撃が主な任務の陸軍攻撃ヘリコプターのバルカン砲で100発ほど撃ったが撃墜できなかった。バルカン砲の有効射距離はわずか1.2キロだ。しかも機銃掃射の時に民家を避けなければならず、撃つ機会はさらに減る。結局、北朝鮮の無人機1機も撃墜できなかった。
ハエを捕まえるのにハエたたきやエアロゾルが必要だが、韓国軍には大きな刃物しかなかった。防衛事業庁は電波かく乱で無人機をとらえる、ハエたたきに該当するK(韓国)-ジャマーを2026年までに開発すると11月に発表した。北朝鮮の無人機が初めて浸透したのが2014年だったため、8年の歳月を対策も出さずに送ったということだ。しかもこうした技術は国内の企業にもあるが、K-ジャマー開発に4年もかかるというのは理解できない。
◆避けられない国防革新4.0
国防部は国防革新4.0を通じて、北朝鮮の核・ミサイル対応能力の画期的強化、先導的な軍事戦略と作戦概念の発展、AI基盤の核心先端戦力確保、軍構造および教育訓練革新などに取り組むという。2040年代まで3段階に分けて進めていく。
ところが、国防革新4.0を推進するとはいえ、何から手をつけてよいのか分からないという声ががあちこちで出ている。さらに国防科学研究所長を務めたある予備役将星までが「我々の技術と現実では難しい」と指摘した。技術が確保されていない状態では正しい言葉かもしれない。このため米国も計画の樹立に8、9年かかった。
しかしAIと無人体系は我々の生活にすでに深く入り込んでいる。軍も避けることはできない。しかも2035年ごろには人口の崖の影響で軍兵力が40万人以下に減り、現在の韓国軍のシステムは維持が難しい。AIと無人システムへの戦闘力再構成が避けられない。革新を遅らせるほど軍事的力量は落ち、多くの予算がかかる。
◆AI、国防革新のアルファからオメガ
国防革新に最も重要な技術はAIだ。AIによるイメージ認識、文章解釈、自律車両、ゲームプレーなどの分野が戦闘と作戦、情報、軍需支援などに適用される見通しだ。しかしまだどれも完全ではない。ランド研究所によると、イメージ認識は事物認識と探知でコンピューターが人より優れるが、まだエラーがあるという。AIで作動する武器が敵と味方を識別できず味方に射撃するエラーが生じることもあるということだ。それで人が統制する有人・無人複合システムから始めようとする。
AIの文章解釈力は人と無人システムとの意思疎通の核心だ。現在のところ深層神経網(deep neural network)の支援で核心要約や感情表現を理解するレベルに発展した。深層神経網は機械学習分野の一つの深層学習を実現する人工神経網だ。しかし新しいデータや表現に対しては解釈に長い時間がかかる。AIによる自律走行とゲームプレー(作戦)能力はほとんど完全なレベルに達しているが、安全性に対する疑問は残っている。
それだけでなく知能型有人・無人複合戦闘システムを構築するには媒介変数が多く、大容量演算が可能なコンピューターインフラが必須となる。これを基盤にAIが大規模データを自ら学習して人間のように思考するようにしなければいけない。この過程で莫大なビッグデータを生成する必要がある。ところがビッグデータ管理は現在の韓国軍のセキュリティー体系では不可能だ。むしろ韓国軍は大規模な軍事訓練で蓄積した結果データをセキュリティーを理由にすべて消去している。
<Mr.ミリタリー>北の無人機を無力化する「ジャマー」すでに国内にあるが…韓国軍「4年以内に開発」(2)
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