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【社説】予算57兆ウォン投じても北朝鮮が挑発するたびに穴をあけられる韓国の国防

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

北朝鮮が2012年4月の軍事パレードで公開した北朝鮮無人機。北朝鮮は26日に無人機5機で挑発した。[中央フォト]

北朝鮮が多様な方式で挑発するたびにほぼ例外なく韓国軍はお手上げとなっている。前線のあちこちに死角地帯が並び、穴がどんどんあけられる。有事の際に韓国軍が戦って勝てるのか国民は不安だ。だから不信も大きくなる。

文在寅(ムン・ジェイン)政権を経て「平和至上主義」が勢力を伸ばし、軍と国民の安保意識はぼんやりとしてきた。北朝鮮の顔色をうかがいこの数年間軍隊は訓練をしっかりやらなかった。来年の57兆ウォン(約6兆円)をはじめ毎年50兆ウォンを超える天文学的規模の国防予算を注ぎ込むが、最新型という各種兵器はともすれば誤作動する。国防態勢を総体的に再点検すべき時だとの叱責があふれる。

26日の北朝鮮の奇襲的な無人機挑発は韓国軍の対備態勢がどれだけお粗末なのかをありのままに見せた。韓国領空を侵犯した北朝鮮の無人機5機のうち最初に捕捉された1機はソウルに侵入し、3時間にわたり韓国上空を飛び回った。韓国軍当局は否定したが、竜山(ヨンサン)の大統領室一帯まで撮影して戻った可能性まで提起された。


最高水準の防空網を維持すべき首都ソウルの真ん中にまで侵入されたとすれば並大抵の深刻な事態ではない。首都圏の核心施設には陸軍首都防衛司令部が2019年に導入したドローンテロ防衛用レーダー(SSR)と周波数無力化システムがあったがまともに対応できなかったという批判が出ている。これに先立ち2014年には清渓山(チョンゲサン)に墜落した北朝鮮の無人機を登山客が見つけるコメディのような状況が起きたが今回も韓国軍の対応は失望的だ。

韓国の防衛産業輸出が今年史上初めて24兆ウォンを突破し、世界4位の防衛産業強国に跳躍したと国防当局が興奮して自慢したのは最近のことだ。だが冷静に実状を見ればばつの悪いことこの上ない。北朝鮮の無人機に対応しようとしていたKA1軽攻撃機1機が離陸途中に墜落するあきれる事故が起こった。10月に北朝鮮が中距離弾道ミサイル火星12型で挑発した当時、韓国軍が東海上に警告射撃したATACMSミサイル2発中1発の行方がわからなくなった。同日発射した玄武2C弾道ミサイルは発射方向と正反対に飛行し30秒後に営内のゴルフ場に落ちた。

これだけではない。陸軍の韓国型機動ヘリのKUH1「スリオン」2機が9月に空中衝突し非常着陸する事故が発生した。これに先立ち2018年7月には浦項(ポハン)でMUH1「マリンオン」ヘリが試験飛行中に墜落し、海兵隊第1師団航空隊所属の海兵隊員5人が死亡した。2010年の北朝鮮の延坪島(ヨンピョンド)砲撃挑発当時延坪部隊が保有するK9自走砲6基のうち2基は電子回路障害を起こし、1基は訓練時に使った不発弾が挟まり役に立たなかった。戦時に韓国の兵器は果たして信じられるものなのか。

北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は無人機挑発当日にこれ見よがしに労働党全員会議を開き、「より激高し確信性ある闘争方略を立てよ」と指示した。7回目の核実験を含め陸海空で挑発が続くことを示唆した。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領はきのうの閣僚会議で「北朝鮮の主要軍事施設を監視・偵察するドローン部隊創設を計画していたが、きのうの事件を契機にドローン部隊設置を最大限繰り上げる」と話した。晩時之嘆(時期を逃した後悔の嘆き)だ。防衛事業庁が当初編成した無人航空機と偵察ドローン導入予算260億ウォンを削減した国会もやはり判断の誤りを認め迅速に復活させるのが正しい。完全無欠な国防でないならばそれは国防ではない。



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