米国のバイデン大統領は２３日（現地時間）、韓米安保同盟を再確認し、対中牽制（けんせい）意志を表わす２０２３会計年度国防授権法（ＮＤＡＡ）に署名した。米国上・下院軍事委員会が関連合意案を公開してから約２週間後のことだ。今回のＮＤＡＡ策定は８５８０億ドル（約１１４兆ウォン）規模となった。

ＮＤＡＡには北朝鮮の核・ミサイル脅威が高まる中で韓米拡大抑止など同盟共助を強化し、サプライチェーン（供給網）をはじめ、各領域での米中競争に対処するための米国の軍事・安保政策が盛り込まれた。まず韓国に対しては「すべての防御力量を動員して拡張抑制を提供する」という基調の下、在韓米軍を現在の水準である２万８５００人で維持することにした。ＮＤＡＡで明示した来年度の在韓米軍運営予算は６７７５万ドル規模だ。

ＮＤＡＡには法施行２７０日以内に中露朝の核力量と核政策に対する評価とこれに対抗する抑止戦略をまとめた報告書を米議会国防委員会に提出するようにする内容も入った。これはバイデン政府が韓日米共助に対抗する中露朝３国の核脅威を東北アジアの核心安保リスクとして認識しているという意味だとみることができる。


◇ＮＤＡＡ、「８５８０億ドル国防費」指針書

ＮＤＡＡは米国軍事・安保政策の方向性を設定し、これに伴う国防総省予算使用条件とガイドラインをまとめた法だ。米国の国家安保予算は世界最大規模であるうえ、国際社会に莫大な影響を及ぼすことから予算使用指針を厳しく規定しなければならないという判断で１９６１年からＮＤＡＡを法制化するようになった。２０日、米議会が合意した来年度国防予算は８５８０億ドル（約１１０１兆ウォン）で、連邦政府全体予算（約２１８６兆ウォン）の半分以上を占めた。２０２３年度韓国国防予算（約５７兆ウォン）の１９倍に達する。

米国防予算使用指針に該当するＮＤＡＡに中国の軍事力を公開させる内容が入ったのは、バイデン政府が中国の軍事崛起にどれほど敏感に反応しているかを示す要素だ。ＮＤＡＡは中国だけでなく、イラン・ロシア・北朝鮮などを明示し、該当国の軍事力量を評価した例年報告書を公開させる内容の「軍事脅威認識法案」が含まれた。また、米国防長官がこれらの国の核能力とこれをごり押しする米国の戦略を説明する報告書を議会に提出するように義務化した。

◇中国は「圧迫」、台湾は「支援」

２０２１会計年度ＮＤＡＡに初めて登場した「太平洋抑止構想（ＰＤＩ）」予算は今年も１１５億ドルが反映された。ＰＤＩは中国との戦略競争で優位を確保するためにインド太平洋地域で同盟との関係を強化する内容を含んでいる。特に米軍は海・空軍戦力を活用して中国海軍の作戦範囲を第一列島線と呼ばれる「沖縄～台湾～フィリピン～マラッカ海峡」中に閉じ込めておこうとする意図を強化している。

台湾との協力強化も今回のＮＤＡＡの核心基調の一つだ。台湾に対する軍事支援を強化する「台湾復原力強化法」が代表的だ。来年から５年間、台湾に融資形式で合計１００億ドルを支援する内容だが、該当資金は台湾が米国産武器を購入するのに使用する可能性がある。

◇中国「一つの中国原則に違反」

中国が２１日からロシアとともに東シナ海で例年合同軍事訓練を実施し、訓練開始翌日には中国戦闘機と航空機・艦艇などが台湾に近接するなど軍事的緊張が高まる状況で台湾の軍事力強化に力を与えたのだ。特にＮＤＡＡには、２０２４年に世界最大規模の多国籍連合海上訓練である環太平洋訓練（ＲＩＭＰＡＣ・リムパック）に台湾を招くよう勧告する内容も入った。

中国は直ちに反発した。中国外交部は２４日、台湾復原力強化法をはじめとする今回のＮＤＡＡを「内政干渉」と規定して「強い不満と断固とした反対を表明し、米国側に厳正な交渉を提起した」と明らかにした。

厳正な交渉は「外交的抗議」を意味する中国式表現だ。

中国外交部は特に「（ＮＤＡＡは）一つの中国という原則に著しく違反し、台湾独立分離主義勢力に著しく誤った信号を送るもの」と抗議した。中国国防部の譚克非報道官はまた「中国の国家主権および安保・利益を傷つけるだけでなく両国軍事関係を脅かす否定的な条項が含まれている」と抗議した。