米国の対中圧迫戦略に距離を置くような「欧州連合(EU)のリーダー」ドイツのショルツ首相の最近の動向を巡り、国際社会で疑問が大きくなっている。
最近「親中ではないか」という疑いまで受けているショルツ首相の動きはさまざまな面で目を引いている。ショルツ首相は先月4日、中国を訪問して習近平国家主席と会談した。中国共産党10月党大会で習主席の3期続投が確定してから中国を訪れた初めての西側国家のトップだった。
これに先立ち、ショルツ首相は先月2日、独日刊紙「フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング」(FAZ)の寄稿文で、世界食糧危機の終息、新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)および気候変動との戦いに必要な中国の責任ある役割論を強調して「中国は重要なパートナーであり、今後もそのようにあり続けるだろう」とした。
続いて米国外交専門紙「フォーリン・アフェアーズ」最新号の寄稿文では、中国孤立一辺倒戦略に同意できないというメッセージを出した。今月5日に掲載された「グローバル時代転換(Zeitenwende)-多極化時代に新冷戦を避ける方法」と題した寄稿文でだ。
ショルツ首相はロシアのウクライナ侵略について「20世紀、最も恐ろしいやり方の軍事攻撃を行った」として強く批判しながらも、中国に関しては「中国の台頭を理由に中国を孤立させたり協力を阻害したりすることが正当化されるべきではない」と言及した。
理由は何だろうか。寄稿文を詳しく見てみると、米中覇権葛藤の構図の中にドイツが直面している国際秩序と経済現実の間のジレンマが反映されていると分析することができる。
民主主義や人権など価値に基づいた「理念」よりも経済危機打開のための「実利」に傾かざるをえないドイツの現実と関連しているからだ。
ウクライナ戦争以降、欧州経済がエネルギー価格の急騰に伴う記録的な物価高やサプライチェーン(供給網)の支障などで疲弊しているが、ドイツの景気低迷はさらに深刻な水準になっている。7-9月期の成長率0.8%を記録したドイツの国内総生産(GDP)はロシアが天然ガスの供給を断つ「ガス戦争」を起こした後の4-6月期には0.1%まで下落した。今年7-9月期に0.3%成長して善戦したが、ドイツ連邦統計庁によると今年10-12月期と来年1-3月期はそれぞれ-0.4%、-0.5%の逆成長が避けられない見通しだ。ドイツ連邦銀行は今年10月の報告書で「ドイツ経済は景気低迷の入り口の前に立っている」と見通した。
このように景気低迷の影が濃厚に落ちているドイツに中国は逃すことができない「ビッグマーケット」だ。2017年以降、ドイツの最大貿易パートナーは中国だ。昨年の対中輸出は1440億ドルで対米輸出(1230億ドル)の規模を上回った。
実際にショルツ首相は中国を訪問した後に習主席から大きな「贈り物」を受け取った。中国はショルツ首相の訪問に合わせてドイツ製薬会社ビオンテック製のワクチン接種を許可することにした。また、民航機購買を担当する中国航空器材グループは欧州航空機製作会社エアバスの旅客機140機を購入する契約を交わした。合計170億ドル(約2兆2400億円)に達する規模だ。
ショルツ首相は訪中の際、フォルクスワーゲン・シーメンス・BASFなど、ドイツ経済の牽引(けんいん)役を果たしている大手12社の最高経営責任者(CEO)または関係者と同行した。フォルクスワーゲンは全世界輸出物量の約4割を中国で販売し、ドイツ最大化学企業BASFは世界化学市場の5割を占めるとみられている中国に対して2030年までに100億ユーロ(約1兆4000億円)を投資する計画だ。
だが、ショルツ首相のこのような実利主義は欧州各国はもちろん自国内でも少なくない批判を生んでいる。ドイツ外交専門紙「モルゲンラーゲ・オイネンポリティーク」エディターのウーリッヒ・スペクト氏は「現在のドイツ政府が過去の政府によるロシア政策の失敗を嘆くように、次期ドイツ政府は現政権の中国政策の失敗を嘆くことになるだろう」と酷評した。
最近「親中ではないか」という疑いまで受けているショルツ首相の動きはさまざまな面で目を引いている。ショルツ首相は先月4日、中国を訪問して習近平国家主席と会談した。中国共産党10月党大会で習主席の3期続投が確定してから中国を訪れた初めての西側国家のトップだった。
これに先立ち、ショルツ首相は先月2日、独日刊紙「フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング」(FAZ)の寄稿文で、世界食糧危機の終息、新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)および気候変動との戦いに必要な中国の責任ある役割論を強調して「中国は重要なパートナーであり、今後もそのようにあり続けるだろう」とした。
続いて米国外交専門紙「フォーリン・アフェアーズ」最新号の寄稿文では、中国孤立一辺倒戦略に同意できないというメッセージを出した。今月5日に掲載された「グローバル時代転換(Zeitenwende)-多極化時代に新冷戦を避ける方法」と題した寄稿文でだ。
ショルツ首相はロシアのウクライナ侵略について「20世紀、最も恐ろしいやり方の軍事攻撃を行った」として強く批判しながらも、中国に関しては「中国の台頭を理由に中国を孤立させたり協力を阻害したりすることが正当化されるべきではない」と言及した。
理由は何だろうか。寄稿文を詳しく見てみると、米中覇権葛藤の構図の中にドイツが直面している国際秩序と経済現実の間のジレンマが反映されていると分析することができる。
民主主義や人権など価値に基づいた「理念」よりも経済危機打開のための「実利」に傾かざるをえないドイツの現実と関連しているからだ。
ウクライナ戦争以降、欧州経済がエネルギー価格の急騰に伴う記録的な物価高やサプライチェーン(供給網)の支障などで疲弊しているが、ドイツの景気低迷はさらに深刻な水準になっている。7-9月期の成長率0.8%を記録したドイツの国内総生産(GDP)はロシアが天然ガスの供給を断つ「ガス戦争」を起こした後の4-6月期には0.1%まで下落した。今年7-9月期に0.3%成長して善戦したが、ドイツ連邦統計庁によると今年10-12月期と来年1-3月期はそれぞれ-0.4%、-0.5%の逆成長が避けられない見通しだ。ドイツ連邦銀行は今年10月の報告書で「ドイツ経済は景気低迷の入り口の前に立っている」と見通した。
このように景気低迷の影が濃厚に落ちているドイツに中国は逃すことができない「ビッグマーケット」だ。2017年以降、ドイツの最大貿易パートナーは中国だ。昨年の対中輸出は1440億ドルで対米輸出(1230億ドル)の規模を上回った。
実際にショルツ首相は中国を訪問した後に習主席から大きな「贈り物」を受け取った。中国はショルツ首相の訪問に合わせてドイツ製薬会社ビオンテック製のワクチン接種を許可することにした。また、民航機購買を担当する中国航空器材グループは欧州航空機製作会社エアバスの旅客機140機を購入する契約を交わした。合計170億ドル(約2兆2400億円)に達する規模だ。
ショルツ首相は訪中の際、フォルクスワーゲン・シーメンス・BASFなど、ドイツ経済の牽引(けんいん)役を果たしている大手12社の最高経営責任者(CEO)または関係者と同行した。フォルクスワーゲンは全世界輸出物量の約4割を中国で販売し、ドイツ最大化学企業BASFは世界化学市場の5割を占めるとみられている中国に対して2030年までに100億ユーロ(約1兆4000億円)を投資する計画だ。
だが、ショルツ首相のこのような実利主義は欧州各国はもちろん自国内でも少なくない批判を生んでいる。ドイツ外交専門紙「モルゲンラーゲ・オイネンポリティーク」エディターのウーリッヒ・スペクト氏は「現在のドイツ政府が過去の政府によるロシア政策の失敗を嘆くように、次期ドイツ政府は現政権の中国政策の失敗を嘆くことになるだろう」と酷評した。
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