◆危機克服のための科学の役割
2023年から2027年までの責任を負う第5次科学技術基本計画も、危機克服のための科学技術の役割論を強調する。技術覇権競争の深化、国際情勢の不確実性拡大、加速化する少子高齢化、気候危機、複合化される災難・災害のような脅威の要素が山積する。これは危機だ。そして科学技術が役割を果たすべきというのも正しい。人気ドラマ『財閥家の末息子』のチン・チャンチョル会長(イ・ソンミン)のセリフ「技術ビジネスをして生きる」のように、韓国を率いるのが科学技術である点も正しい。
しかし一方で苦々しさもある。国家と社会を脅迫し、科学技術の重要性を力説し、支援を渇望する姿は恥ずかしい。品格のある科学技術先導国家として堂々と立つことはできないのだろうか。危機論に頼るしかないほど科学技術に自信が足りないのか。
経済成長を優先する保守は科学技術に友好的だ。しかし保守経済官僚が科学技術よりも重視するものがある。財務健全性、効率、そして成果主義だ。この人たちにとって研究開発投資は底が抜けた瓶に水を注ぐのと変わらない。ひとまず「素材・部品・装備」事態で急発進した政府の研究開発支出増加傾向にブレーキがかかった。
来年度の政府研究開発予算は今年比1.7%増にとどまり、政府予算増加率5.2%だけでなく今年の物価上昇率(国際通貨基金予測値)5.5%に大きく下回り、事実上の縮小だ。朴槿恵(パク・クネ)政権の後半3年の政府研究開発予算の横ばいが繰り返された。この人たちが慣れている経済学が30余年前の新古典派経済学であるのが残念だ。新古典派経済学は科学技術の進歩を外部の効果として扱った。2018年にノーベル経済学賞を受賞したポール・ローマー・ニューヨーク大教授の「内生的成長理論」(endogenous growth theory、または新経済成長理論)では研究開発を経済成長の核心要因とみる。研究開発は短期の成果や効率を問いただすよりも「多多益善(多いほどよい)」と見なければいけない。
◆「科学技術政策の科学化」必要
科学技術界には来年ごろ経済官僚集団による、いわゆる国家研究開発の効率化要求があると懸念される。科学技術が国家の社会経済発展と安全保障に寄与するという具体的な根拠を出すことはできないのか。危機論に頼るよりも科学技術支援政策に根拠が必要だという点は、ホワイトハウス科学技術政策局局長であり国家科学諮問役だったジョン・マーバーガー3世によって2005年に指摘された。
マーバーガーは米科学振興協会(AAA)の基調演説で科学技術政策が科学的な証拠に基づいていないと批判し、どの程度の研究開発投資規模が適正なのか、基礎-応用-開発の短線的な三分法が依然として有効なのかと問題を提起した。マーバーガーは科学技術政策に科学的証拠が欠如している逆説的脆弱性を指摘し、現代的な科学技術革新モデル開発、データの体系的蓄積、そして評価方法の改善を要求した。続いて科学技術革新政策の改善に向けた社会科学の発展を訴え、科学技術革新政策学の育成のための「科学技術革新政策の科学化プログラム(SciSIP)」を開始した。以前まで科学技術界の自律性に任せた科学技術革新政策を社会科学の新しい領域として注文したのだ。
このプログラムは米国科学財団(NSF)の「科学の科学:発見・疎通、そしてインパクト」(Sos:DCI)プログラムとして持続している。科学的証拠に基づいた科学技術政策のために韓国型「科学技術革新政策の科学化」プログラムが必要だ。科学技術革新政策学界にも深い悩みと省察が要求される。
パク・サンウク/ソウル大科学学科教授
【コラム】韓国はすでに科学先導国…成果主義を警戒すべき(1)
2023年から2027年までの責任を負う第5次科学技術基本計画も、危機克服のための科学技術の役割論を強調する。技術覇権競争の深化、国際情勢の不確実性拡大、加速化する少子高齢化、気候危機、複合化される災難・災害のような脅威の要素が山積する。これは危機だ。そして科学技術が役割を果たすべきというのも正しい。人気ドラマ『財閥家の末息子』のチン・チャンチョル会長(イ・ソンミン)のセリフ「技術ビジネスをして生きる」のように、韓国を率いるのが科学技術である点も正しい。
しかし一方で苦々しさもある。国家と社会を脅迫し、科学技術の重要性を力説し、支援を渇望する姿は恥ずかしい。品格のある科学技術先導国家として堂々と立つことはできないのだろうか。危機論に頼るしかないほど科学技術に自信が足りないのか。
経済成長を優先する保守は科学技術に友好的だ。しかし保守経済官僚が科学技術よりも重視するものがある。財務健全性、効率、そして成果主義だ。この人たちにとって研究開発投資は底が抜けた瓶に水を注ぐのと変わらない。ひとまず「素材・部品・装備」事態で急発進した政府の研究開発支出増加傾向にブレーキがかかった。
来年度の政府研究開発予算は今年比1.7%増にとどまり、政府予算増加率5.2%だけでなく今年の物価上昇率(国際通貨基金予測値)5.5%に大きく下回り、事実上の縮小だ。朴槿恵(パク・クネ)政権の後半3年の政府研究開発予算の横ばいが繰り返された。この人たちが慣れている経済学が30余年前の新古典派経済学であるのが残念だ。新古典派経済学は科学技術の進歩を外部の効果として扱った。2018年にノーベル経済学賞を受賞したポール・ローマー・ニューヨーク大教授の「内生的成長理論」(endogenous growth theory、または新経済成長理論)では研究開発を経済成長の核心要因とみる。研究開発は短期の成果や効率を問いただすよりも「多多益善(多いほどよい)」と見なければいけない。
◆「科学技術政策の科学化」必要
科学技術界には来年ごろ経済官僚集団による、いわゆる国家研究開発の効率化要求があると懸念される。科学技術が国家の社会経済発展と安全保障に寄与するという具体的な根拠を出すことはできないのか。危機論に頼るよりも科学技術支援政策に根拠が必要だという点は、ホワイトハウス科学技術政策局局長であり国家科学諮問役だったジョン・マーバーガー3世によって2005年に指摘された。
マーバーガーは米科学振興協会(AAA)の基調演説で科学技術政策が科学的な証拠に基づいていないと批判し、どの程度の研究開発投資規模が適正なのか、基礎-応用-開発の短線的な三分法が依然として有効なのかと問題を提起した。マーバーガーは科学技術政策に科学的証拠が欠如している逆説的脆弱性を指摘し、現代的な科学技術革新モデル開発、データの体系的蓄積、そして評価方法の改善を要求した。続いて科学技術革新政策の改善に向けた社会科学の発展を訴え、科学技術革新政策学の育成のための「科学技術革新政策の科学化プログラム(SciSIP)」を開始した。以前まで科学技術界の自律性に任せた科学技術革新政策を社会科学の新しい領域として注文したのだ。
このプログラムは米国科学財団(NSF)の「科学の科学:発見・疎通、そしてインパクト」(Sos:DCI)プログラムとして持続している。科学的証拠に基づいた科学技術政策のために韓国型「科学技術革新政策の科学化」プログラムが必要だ。科学技術革新政策学界にも深い悩みと省察が要求される。
パク・サンウク/ソウル大科学学科教授
【コラム】韓国はすでに科学先導国…成果主義を警戒すべき(1)
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