北朝鮮は今年だけで計63発の弾道ミサイルを試験発射した。このうち46発は尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領就任後に発射された。「力による平和」を強調してきた尹大統領に対して、4日に一度の頻度でミサイル挑発を敢行したといえる。そのうえ北朝鮮は金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の決断さえあればいつでも核弾頭小型化のための7回目の核実験に出る準備を終えた状態だ。北朝鮮が核・ミサイル高度化を加速させ、尹錫悦政府は歴代最高水準の安保リスクに向き合うことになった。
今年北朝鮮が敢行したミサイル挑発の回数と強度は従来とは比較できないほどだ。金委員長は2011年の執権以降、通常1年に10~20発のミサイルを試験発射してきた。これを勘案すると、今年北朝鮮のミサイル挑発状況は「非正常的に(extraordinary)多くの武器試験」(今月3日、アブリル・ヘインズ米国家情報局局長)に該当する。
◇北朝鮮食糧難の中、高額な「狂人挑発」
特に金委員長が2018年4月に自ら約束したモラトリアムを破棄して、米本土を脅かす大陸間弾道ミサイル(ICBM)を今年だけで8回も発射した。金委員長のミサイル暴走が「狂人戦略(自身を非理性的な人間に見えるようにして交渉を有利に導こうとする戦略)」と評価される理由だ。
北朝鮮は2020年初めに新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)防疫措置の一環として国境を全面封鎖した。泣きっ面にハチで洪水や日照りなど自然災害が深刻化し、制裁の網の目もさらに細かくなった。3重苦が長期化して北朝鮮の民生経済は最悪の状況に置かれたものと評価される。しかもICBMをはじめとする弾道ミサイル試験発射は莫大な費用を伴う。深刻な経済難の中でも自らの身を削って「高額な挑発」を持続しているといえる。
韓国国防研究院(KIDA)が北朝鮮ミサイル発射費用を試算した結果によると、短距離弾道ミサイル(SRBM)の場合、1発当たりの材料費だけで300万~500万ドル(4億~6億8000万円)水準にのぼるものと推算される。中距離弾道ミサイル(IRBM)の場合、2~3倍程高い1000万~1500万ドル水準で、ICBMは2000万~3000万ドルの材料費用が必要だ。
◇食糧120万トン不足しているのにミサイルに770億円も
韓国合同参謀本部などによると、今年北朝鮮はSRBM50発、IRBM5発、ICBM8発など63発の弾道ミサイルを発射した。KIDAのミサイル費用推計を基準としてミサイル発射に投入された材料費の総額を計算した結果、5億6500万ドル(約771億円)と推算される。材料費以外に人件費やその他費用などまで勘案すると北朝鮮の「ミサイル挑発費用」は1000億円に迫る。
このような費用は北朝鮮の食糧難を解消してあまりある規模だ。米国農務省は今年9月に発刊した報告書「世界食糧安全保障評価」を通じて、北朝鮮が今年約120万トン規模の食糧不足に苦しめられると展望した。韓国統一部は北朝鮮の年平均食糧不足量を80万トン規模と推定しているが、国境封鎖や自然災害、制裁などの3重苦によって平年比食糧不足量が40万トンも増えた。米農務省は北朝鮮人口のうち68.8%にあたる1790万人が食糧難に苦しめられていると分析した。
北朝鮮が今年食糧不足量120万トンを輸入するためには合計4億1700万ドルが必要だと推算される。今月2日、シカゴ・マーカンタイル取引所基準価格で、それぞれコメ(タイ産長粒種基準)とトウモロコシを60万トンずつ輸入する状況を仮定した結果だ。北朝鮮がもし今年弾道ミサイル試験発射5億6500万ドルを使わなかったとすれば住民の食糧難を解決しても約1億4800万ドル(約1950億ウォン)が残る。
中国が支援した肥料55万トン、北朝鮮「狂人賭博」の“掛け金”に(2)
今年北朝鮮が敢行したミサイル挑発の回数と強度は従来とは比較できないほどだ。金委員長は2011年の執権以降、通常1年に10~20発のミサイルを試験発射してきた。これを勘案すると、今年北朝鮮のミサイル挑発状況は「非正常的に(extraordinary)多くの武器試験」(今月3日、アブリル・ヘインズ米国家情報局局長)に該当する。
◇北朝鮮食糧難の中、高額な「狂人挑発」
特に金委員長が2018年4月に自ら約束したモラトリアムを破棄して、米本土を脅かす大陸間弾道ミサイル(ICBM)を今年だけで8回も発射した。金委員長のミサイル暴走が「狂人戦略(自身を非理性的な人間に見えるようにして交渉を有利に導こうとする戦略)」と評価される理由だ。
北朝鮮は2020年初めに新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)防疫措置の一環として国境を全面封鎖した。泣きっ面にハチで洪水や日照りなど自然災害が深刻化し、制裁の網の目もさらに細かくなった。3重苦が長期化して北朝鮮の民生経済は最悪の状況に置かれたものと評価される。しかもICBMをはじめとする弾道ミサイル試験発射は莫大な費用を伴う。深刻な経済難の中でも自らの身を削って「高額な挑発」を持続しているといえる。
韓国国防研究院(KIDA)が北朝鮮ミサイル発射費用を試算した結果によると、短距離弾道ミサイル(SRBM)の場合、1発当たりの材料費だけで300万~500万ドル(4億~6億8000万円)水準にのぼるものと推算される。中距離弾道ミサイル(IRBM)の場合、2~3倍程高い1000万~1500万ドル水準で、ICBMは2000万~3000万ドルの材料費用が必要だ。
◇食糧120万トン不足しているのにミサイルに770億円も
韓国合同参謀本部などによると、今年北朝鮮はSRBM50発、IRBM5発、ICBM8発など63発の弾道ミサイルを発射した。KIDAのミサイル費用推計を基準としてミサイル発射に投入された材料費の総額を計算した結果、5億6500万ドル(約771億円)と推算される。材料費以外に人件費やその他費用などまで勘案すると北朝鮮の「ミサイル挑発費用」は1000億円に迫る。
このような費用は北朝鮮の食糧難を解消してあまりある規模だ。米国農務省は今年9月に発刊した報告書「世界食糧安全保障評価」を通じて、北朝鮮が今年約120万トン規模の食糧不足に苦しめられると展望した。韓国統一部は北朝鮮の年平均食糧不足量を80万トン規模と推定しているが、国境封鎖や自然災害、制裁などの3重苦によって平年比食糧不足量が40万トンも増えた。米農務省は北朝鮮人口のうち68.8%にあたる1790万人が食糧難に苦しめられていると分析した。
北朝鮮が今年食糧不足量120万トンを輸入するためには合計4億1700万ドルが必要だと推算される。今月2日、シカゴ・マーカンタイル取引所基準価格で、それぞれコメ(タイ産長粒種基準)とトウモロコシを60万トンずつ輸入する状況を仮定した結果だ。北朝鮮がもし今年弾道ミサイル試験発射5億6500万ドルを使わなかったとすれば住民の食糧難を解決しても約1億4800万ドル(約1950億ウォン)が残る。
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