ソウル梨泰院(イテウォン)ハロウィーン行事期間に発生した10・29圧死事故で158人が犠牲になってから1カ月以上が経過した。警察特別捜査本部の捜査が最終段階にあり、警察・消防・区庁など惨事を招いた公務員に対する処罰の結果が一つずつ出てくる見通しだ。しかし政界は李祥敏(イ・サンミン)行政安全部長官解任案または弾劾案をめぐり政治攻防を続けていて見苦しい。
梨泰院惨事は韓国社会は果たして安全なのか、安全のために我々はどんな努力をしてきたのか、今後は大型惨事を予防できるのか、安全な大韓民国にするにはどうすべきかについて大きな質問を投げかけた。しかし2014年4・16セウォル号惨事(304人死亡)以降に見せた姿のように今回も惨事を政治的に消費する場合、まともに教訓を得ることなく社会的な葛藤と不信感ばかりを深めそうな不吉な予感がする。
海で発生したセウォル号惨事とソウル都心の路地で発生した梨泰院惨事を単純比較するのは難しい。それでも若い命が失われた大型惨事という点は似ている。このような惨事の再発を防ごうという趣旨で、セウォル号原因調査に直接・間接的に参加したり見守ったりした法律家と科学者の経験と考えを聞いた。
◆「我々の側ではなかった」と攻撃も
2017年3月から1年4カ月間にわたりセウォル号船体調査委員会(船調委)委員長を務めたキム・チャンジュン弁護士(67)は海上紛争専門ローファーム、法務法人世慶の代表弁護士だ。参与連帯公益提報支援団団長として活動したキム弁護士は民主党の推薦枠で船調委に参加した。しかしキム弁護士は2018年8月に総合報告書を出す当時、セウォル号自体の復原力不足を指摘した「内因説」を支持した。潜水艦など外部衝突のために沈没したという「外因説(開かれた案)」を排斥した。政治的な立場を越えて科学的な判断を重視したものだったが、左派は「我々の側ではなかった」として攻撃した。
--セウォル号当時のように梨泰院惨事も政治化された。
「梨泰院惨事当時、112番、119番通報が続いたが、すぐに出動できなかったのが大きな問題だ。あきれる惨事だ。専門法律家の資格でセウォル号船調委委員長として活動する間、政治の影響をかなり受けた。事故はありのままに科学と技術で処理すればよいことだが、なぜ政治的に流れるのか分からない」
--政治的に望む答えを出してほしいという圧力を受けたのか。
「文在寅(ムン・ジェイン)政権当時、船調委が途中で解体される危機を迎えた。木浦(モクポ)の船調委事務室の前で政治集会を開き、委員8人のうち3人を『積弊勢力』としたが、後に検察で嫌疑なしとなった。ない事実を作り出すのを見て情けなかった。内因説を嫌う側でそのように追い込んだ」
--船調委の具体的な議決過程はどうだったのか。
「過半議決だが、委員2人は忌避または棄権した。残りの6人が内因説と外因説をめぐり表決したが、3対3になった。ところが報告書を出す過程で船調委に参加した内部の人が圧力を加え、外因説を『開かれた案』に変えて印刷したという報告を受けた。船調委が議決した内容を変えたので公文書を操作したということだ」
--民主党の推薦を受けながら内因説を支持したが。
「私は海洋専門法律家であり、船舶構造も海上交通管制センター(VTS)も知っている。セウォル号を引き揚げる前に出てきた検察・警察合同捜査本部の結論が船体の問題を指摘した内因説だった。セウォル号を引き揚げて船体を調査した船調委の結論と同じだった。当時、私を含む委員8人の個別の考えを総合したところ、内因説対外因説は事実上6対2だった。それでも3対3となったのは政治的な影響があったということだ。私を含めて(政治的結論を)防げなかった専門家らの責任だ。事故が発生すれば利害関係が変わり、誰かが利益を得ようとする韓国社会の間違った習性が問題だ」
--専門家らが自分の主張をするべきだが。
「専門家らは所信を守らなければいけない社会的責務がある。しかし委員会に参加する専門家を選定する段階から都合の良い人を選ぶ。このため明明白白な事実でも論争に向かう。検警合同捜査本部や特別検察官に続いて、船調委には国際的に認められている英国とオランダの会社が参加して同じ結論を出した。それでも信頼できないというので嘆かわしい。後進的な慣行のために社会的費用が多くかかる。犠牲になった生徒に申し訳なく恥ずかしい」
--9月にも明確でない報告書が出てきた。
「社会的惨事委員会(社惨委)委員は内因説に重点を置いたが、調査局が外因説に傾いたという。船調委の時は調査局は支援部署であり船調委の委員が結論を出したが、今回の社惨委は奇妙にも調査局が影響力を行使して独自の声を出した。惨事が発生すれば科学に基づいて客観的な調査で再発防止対策を見いだすべきであり、利害関係によって政治化することは避けなければいけない」
「セウォル号の原因、6対2だったが…政治の影響で3対3になった」(2)
梨泰院惨事は韓国社会は果たして安全なのか、安全のために我々はどんな努力をしてきたのか、今後は大型惨事を予防できるのか、安全な大韓民国にするにはどうすべきかについて大きな質問を投げかけた。しかし2014年4・16セウォル号惨事(304人死亡)以降に見せた姿のように今回も惨事を政治的に消費する場合、まともに教訓を得ることなく社会的な葛藤と不信感ばかりを深めそうな不吉な予感がする。
海で発生したセウォル号惨事とソウル都心の路地で発生した梨泰院惨事を単純比較するのは難しい。それでも若い命が失われた大型惨事という点は似ている。このような惨事の再発を防ごうという趣旨で、セウォル号原因調査に直接・間接的に参加したり見守ったりした法律家と科学者の経験と考えを聞いた。
◆「我々の側ではなかった」と攻撃も
2017年3月から1年4カ月間にわたりセウォル号船体調査委員会(船調委)委員長を務めたキム・チャンジュン弁護士(67)は海上紛争専門ローファーム、法務法人世慶の代表弁護士だ。参与連帯公益提報支援団団長として活動したキム弁護士は民主党の推薦枠で船調委に参加した。しかしキム弁護士は2018年8月に総合報告書を出す当時、セウォル号自体の復原力不足を指摘した「内因説」を支持した。潜水艦など外部衝突のために沈没したという「外因説(開かれた案)」を排斥した。政治的な立場を越えて科学的な判断を重視したものだったが、左派は「我々の側ではなかった」として攻撃した。
--セウォル号当時のように梨泰院惨事も政治化された。
「梨泰院惨事当時、112番、119番通報が続いたが、すぐに出動できなかったのが大きな問題だ。あきれる惨事だ。専門法律家の資格でセウォル号船調委委員長として活動する間、政治の影響をかなり受けた。事故はありのままに科学と技術で処理すればよいことだが、なぜ政治的に流れるのか分からない」
--政治的に望む答えを出してほしいという圧力を受けたのか。
「文在寅(ムン・ジェイン)政権当時、船調委が途中で解体される危機を迎えた。木浦(モクポ)の船調委事務室の前で政治集会を開き、委員8人のうち3人を『積弊勢力』としたが、後に検察で嫌疑なしとなった。ない事実を作り出すのを見て情けなかった。内因説を嫌う側でそのように追い込んだ」
--船調委の具体的な議決過程はどうだったのか。
「過半議決だが、委員2人は忌避または棄権した。残りの6人が内因説と外因説をめぐり表決したが、3対3になった。ところが報告書を出す過程で船調委に参加した内部の人が圧力を加え、外因説を『開かれた案』に変えて印刷したという報告を受けた。船調委が議決した内容を変えたので公文書を操作したということだ」
--民主党の推薦を受けながら内因説を支持したが。
「私は海洋専門法律家であり、船舶構造も海上交通管制センター(VTS)も知っている。セウォル号を引き揚げる前に出てきた検察・警察合同捜査本部の結論が船体の問題を指摘した内因説だった。セウォル号を引き揚げて船体を調査した船調委の結論と同じだった。当時、私を含む委員8人の個別の考えを総合したところ、内因説対外因説は事実上6対2だった。それでも3対3となったのは政治的な影響があったということだ。私を含めて(政治的結論を)防げなかった専門家らの責任だ。事故が発生すれば利害関係が変わり、誰かが利益を得ようとする韓国社会の間違った習性が問題だ」
--専門家らが自分の主張をするべきだが。
「専門家らは所信を守らなければいけない社会的責務がある。しかし委員会に参加する専門家を選定する段階から都合の良い人を選ぶ。このため明明白白な事実でも論争に向かう。検警合同捜査本部や特別検察官に続いて、船調委には国際的に認められている英国とオランダの会社が参加して同じ結論を出した。それでも信頼できないというので嘆かわしい。後進的な慣行のために社会的費用が多くかかる。犠牲になった生徒に申し訳なく恥ずかしい」
--9月にも明確でない報告書が出てきた。
「社会的惨事委員会(社惨委)委員は内因説に重点を置いたが、調査局が外因説に傾いたという。船調委の時は調査局は支援部署であり船調委の委員が結論を出したが、今回の社惨委は奇妙にも調査局が影響力を行使して独自の声を出した。惨事が発生すれば科学に基づいて客観的な調査で再発防止対策を見いだすべきであり、利害関係によって政治化することは避けなければいけない」
「セウォル号の原因、6対2だったが…政治の影響で3対3になった」(2)
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