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「梨泰院惨事の渦中に犬で喧嘩」…韓国与野党が「豊山犬返却」めぐり攻防

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

文在寅(ムン・ジェイン)前大統領

与野党は7日、文在寅(ムン・ジェイン)前大統領の豊山(プンサン)犬返却をめぐり責任を押しつけ合った。

尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の最側近らと、前政権を狙った検察捜査に激高した文前大統領の側近らによる言い争いだが、政界では「梨泰院事故哀悼の雰囲気が続く中でこうしたことまで政争を行わなければならないのか」という批判が出ている。

文前大統領側はこの日「大統領記録館から委託され管理していた豊山犬『コミ』と『ソンガンイ』を大統領記録館に返還する」と明らかにした。文前大統領側は行政安全部が6月から大統領記録物管理法施行令を改正し豊山犬を育てる根拠を設けるとしたのに大統領室が異議を提起し閣議に上程されなかったと主張した。シン・ヘヒョン元青瓦台(チョンワデ、旧大統領府)副報道官は中央日報の取材に「国家所有物を返すものなので里親をやめるものとはみられない」と説明した。




文前大統領は2018年9月に平壌(ピョンヤン)で開かれた南北首脳会談当時北朝鮮から2頭の豊山犬を贈られた。2頭の豊山犬は7頭の子犬を産んだ。文前大統領はこのうち6頭を譲渡し、コミとソンガンイを含む3頭を育ててきた。3頭のうち「タウニ」はひとまず文前大統領と慶尚南道梁山(キョンサンナムド・ヤンサン)の私邸に残すことにした。

豊山犬は国家所有物に分類され原則的には政府の帰属となる。だが文前大統領が尹大統領に豊山犬を連れて行きたいという意向を明らかにし、尹大統領もこれに前向きな回答をしたというのが文前大統領側の説明だ。その後文前大統領秘書室と行政安全部大統領記録館が5月10日の政権委譲と同時に委託契約を締結し、文前大統領が豊山犬を引き取ることになった。

与党「国民の力」の権性東(クォン・ソンドン)議員室が行政安全部に開示させた委託協議書によると、委託期間は委託対象の返還または死亡までだ。政府は委託対象の飼育・管理に必要な物品や費用を合意に基づき予算の範囲で支給できる。文前大統領側は予算支給の根拠となる施行令の改正がされず、これ以上豊山犬を育てることができなくなったという立場だ。

こうした状況で、あるメディアが豊山犬返還をめぐる報道を出し、前大統領と現大統領の側近は責任を押し付ける攻防を行った。尹大統領の最側近の代表格である権性東議員はフェイスブックを通じ「表ではSNSにペットの写真を上げながら、本音では飼料代が惜しかったのか。本当に偏狭で恥ずかしいこと」としながら文前大統領を狙って攻撃した。その上で「一般国民も子犬を譲り受けた後に飼育費を請求する恥知らずな行動はしない」と皮肉った。

これに対し文前大統領の腹心と呼ばれる「共に民主党」の尹建永(ユン・ゴンヨン)議員は「幼稚で浅はかな世論プレー」と反論した。尹議員は「尹錫悦政権が働かないでできた法の穴による問題を、お金のためであるかのように侮辱的になすりつけるのはいったいどういうことなのか」と正面から反論した。

崔宰誠(チェ・ジェソン)元青瓦台政務首席秘書官も「梨泰院事故の渦中に犬で喧嘩を仕掛ける執権勢力はまともな精神状態なのか」として政争に飛び込んだ。彼は施行令改正を妨げた尹錫悦政権の意図性に疑問を提起し、「後から委託規定なく飼育したとひっくり返す人たちだ。本当に稚拙だ」とSNSに投稿した。

これに対し大統領室は「大統領室が反対して施行令が改正されなかったという文前大統領側の主張は事実と異なり、該当施行令は関連官庁が協議中なだけで、施行令改正が完全に白紙化されたのではない。施行令立案過程を待たずに豊山犬を返還したのは全面的に文前大統領側の判断であるだけに現在の大統領室とは関係がない」とした。

どちらが正しいのかを離れ梨泰院事故哀悼期間を終えるやいなや起きた論争に政界からも批判があふれた。匿名の民主党議員は「梨泰院事故の真相を明らかにしバラバラになった国民の心をまとめても容易でない時なのに双方とも豊山犬問題でどうこう言っている時なのか。政治の戯画化だけ助長する行為」と話した。「国民の力」でも「問題を提起する人も、それに肩入れする人も、哀悼期間にあまりに無神経だ」(重鎮議員)という話が出ている。



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