世界的なドル高が思いがけないプレゼント(?)を抱かせた。韓日経済逆転の夢だ。国際通貨基金(IMF)は今月発表した「世界経済見通し報告書」で今年の1人当たり国内総生産(GDP)を韓国が3万3592ドル、日本が3万4358ドルと予想した。わずか766ドルの差だ。
IMFが集計した昨年の韓国と日本の1人当たりGDPは韓国が3万5004ドル、日本が3万9301ドルで格差は4297ドルだった。その差が1年で3500ドルも狭まった。現在150円台に迫る対ドル円相場がさらに下がれば史上初めて韓日の名目1人当たりGDPの逆転が現実化するかもしれない。
しかしこうした逆転ドラマをただ楽しむには状況は良くない。われわれが統制することはできない外部経済変数のために起きた結果であるためだ。今年に入り対ドルでウォンは20%下落したが円は30%も落ち、両国のドル換算GDP格差が大きく狭まった。韓国がよくやったためというよりは日本がよくできなかったという話だ。
その上世界経済全体で見れば韓国はそれまでの地位を守ることも容易でない。昨年韓国は1人当たり国民所得(GNI)でイタリアに再び抜かされた。2020年のコロナ禍でG7のイタリアを抜いたと歓呼してからわずか1年だ。1人当たり名目GDPでも韓国が日本に追いつく間に台湾がいつのまにか韓国を追い越す勢いだ。
◇本当に日本は弱くなったのか
韓日の所得逆転は目新しいことではない。物価と為替水準を反映した購買力平価(PPP)基準の1人当たりGDPは2018年にすでに韓国が日本を上回った。全国経済人連合会(全経連)の資料で韓国が4万3001ドル、日本が4万2725ドルだ。しかし国同士の経済規模比較で主に使われる名目GDPでの逆転はもう少し「公式的」な意味を持つ。ほとんどの経済研究機関は早くて2027年ごろに韓国が名目1人当たりGDPで日本を追い越すだろうとみたが、その実現が前倒しされる可能性が大きくなった。
しかし韓国と日本の格差はまだ厳然とした現実だ。日本がこれまで積み上げてきた富が途轍もないためだ。日本の外貨準備高は9月末基準で1兆2380億ドル。世界2位だ。韓国の3倍水準だ。5月に日本の財務省が発表した、対外債権から対外債務を差し引いた対外純資産は411兆円。31年にわたり世界1位だ。韓国の7倍程度だ。バブル経済の時に買い入れた世界各地の資産が転がっていく雪だるまのように収益を生み出している。韓国がどうにか稼いでようやく小さな建物ひとつを購入したサラリーマンならば、日本はすでに大きなビルを保有する資産家ということだ。
堅固な財政のため円の急落でも日本で通貨危機や金融危機を心配する雰囲気は見当たらない。一部で「日本発のアジア通貨危機」の可能性が議論されるが、国際金融界では日本よりも韓国を心配しているところだ。ブルームバーグはフィリピンのペソとともにウォンがアジアの通貨で最も弱いと診断したりもした。景気が鈍化している中国に対する貿易依存度が高く、北朝鮮のミサイル挑発など地政学的リスクもあるためだ。
◇いつのまにかあごの下まで追いかけてきた台湾
韓国が日本を追っている間に後からさらに速いスピードで韓国に追いつく相手がいる。台湾だ。IMFが推定した今年の台湾の1人当たりGDPは3万5513ドル。韓国より2000ドル近く多い。韓国より成長率が高く為替相場も安定しているためだ。
IMFは台湾の成長率を今年3.3%、と来年2.8%と予測した。韓国の予測値2.6%と2.0%より高い。台湾はコロナ禍の最中だった2020年に3.4%、2021年に6.6%という堅調な成長を記録している。韓国はマイナス0.7%と4.1%だった。台湾ドルは今年に入り15%ほどの下落にとどまり、20%下落したウォンより下落率が低かった。
台湾は1980~90年代だけでも1人当たりGDPが韓国より高かった。しかし2000年代に入り韓国のIT産業が急成長し2003年に韓国に追い越された。そうした状況が19年ぶりに再び変化することになった。
【コラム】韓国、日本に追いつく間に台湾に追い越される危機(2)
IMFが集計した昨年の韓国と日本の1人当たりGDPは韓国が3万5004ドル、日本が3万9301ドルで格差は4297ドルだった。その差が1年で3500ドルも狭まった。現在150円台に迫る対ドル円相場がさらに下がれば史上初めて韓日の名目1人当たりGDPの逆転が現実化するかもしれない。
しかしこうした逆転ドラマをただ楽しむには状況は良くない。われわれが統制することはできない外部経済変数のために起きた結果であるためだ。今年に入り対ドルでウォンは20%下落したが円は30%も落ち、両国のドル換算GDP格差が大きく狭まった。韓国がよくやったためというよりは日本がよくできなかったという話だ。
その上世界経済全体で見れば韓国はそれまでの地位を守ることも容易でない。昨年韓国は1人当たり国民所得(GNI)でイタリアに再び抜かされた。2020年のコロナ禍でG7のイタリアを抜いたと歓呼してからわずか1年だ。1人当たり名目GDPでも韓国が日本に追いつく間に台湾がいつのまにか韓国を追い越す勢いだ。
◇本当に日本は弱くなったのか
韓日の所得逆転は目新しいことではない。物価と為替水準を反映した購買力平価(PPP)基準の1人当たりGDPは2018年にすでに韓国が日本を上回った。全国経済人連合会(全経連)の資料で韓国が4万3001ドル、日本が4万2725ドルだ。しかし国同士の経済規模比較で主に使われる名目GDPでの逆転はもう少し「公式的」な意味を持つ。ほとんどの経済研究機関は早くて2027年ごろに韓国が名目1人当たりGDPで日本を追い越すだろうとみたが、その実現が前倒しされる可能性が大きくなった。
しかし韓国と日本の格差はまだ厳然とした現実だ。日本がこれまで積み上げてきた富が途轍もないためだ。日本の外貨準備高は9月末基準で1兆2380億ドル。世界2位だ。韓国の3倍水準だ。5月に日本の財務省が発表した、対外債権から対外債務を差し引いた対外純資産は411兆円。31年にわたり世界1位だ。韓国の7倍程度だ。バブル経済の時に買い入れた世界各地の資産が転がっていく雪だるまのように収益を生み出している。韓国がどうにか稼いでようやく小さな建物ひとつを購入したサラリーマンならば、日本はすでに大きなビルを保有する資産家ということだ。
堅固な財政のため円の急落でも日本で通貨危機や金融危機を心配する雰囲気は見当たらない。一部で「日本発のアジア通貨危機」の可能性が議論されるが、国際金融界では日本よりも韓国を心配しているところだ。ブルームバーグはフィリピンのペソとともにウォンがアジアの通貨で最も弱いと診断したりもした。景気が鈍化している中国に対する貿易依存度が高く、北朝鮮のミサイル挑発など地政学的リスクもあるためだ。
◇いつのまにかあごの下まで追いかけてきた台湾
韓国が日本を追っている間に後からさらに速いスピードで韓国に追いつく相手がいる。台湾だ。IMFが推定した今年の台湾の1人当たりGDPは3万5513ドル。韓国より2000ドル近く多い。韓国より成長率が高く為替相場も安定しているためだ。
IMFは台湾の成長率を今年3.3%、と来年2.8%と予測した。韓国の予測値2.6%と2.0%より高い。台湾はコロナ禍の最中だった2020年に3.4%、2021年に6.6%という堅調な成長を記録している。韓国はマイナス0.7%と4.1%だった。台湾ドルは今年に入り15%ほどの下落にとどまり、20%下落したウォンより下落率が低かった。
台湾は1980~90年代だけでも1人当たりGDPが韓国より高かった。しかし2000年代に入り韓国のIT産業が急成長し2003年に韓国に追い越された。そうした状況が19年ぶりに再び変化することになった。
【コラム】韓国、日本に追いつく間に台湾に追い越される危機(2)
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