先月末に訪れた全羅南道霊岩(ヨンアム)の宿舎からは現代三湖重工業のドックがよく見えた。ドックはLNG船建造作業のため夜遅くまで明るかった。1年前はがらんとしていた近隣の協力会社の工場も組み立て中のLNG船モジュール(船舶の一部の大型部品)で埋まっていた。
韓国造船に活気が戻ってきた。業績まで回復するには1、2年ほどかかるだろうが、受注に関しては好況期と変わらない。グローバル専門機関クラークソンによると、今年1-9月の受注で韓国は1322万GCT(239隻、44%)と、中国の1327万GCT(524隻、44%)とほとんど変わらない。9月だけをみると、韓国が中国に2倍の差をつけて1位だ。船舶価格もほとんど好況期水準まで回復した。
造船業は極端なサイクルビジネスだ。好況期に稼いだ資金で不況期を乗り越えなければいけない。一度受注すれば引き渡しまで2、3年かかり、景気サイクルの終端でこれを最も深刻に迎えるため沈滞は特に厳しい。2000年代初めに超好況を迎えた韓国造船業は不幸にも不況期に対応できなかった。2015年から始まった深刻な不況で焦土化した。
造船業を生かそうと政府は2016年以降、大宇造船海洋などに5000億ウォン以上を注入した。韓国経済に造船業はなぜこれほど重要なのか。昨年基準の全体輸出で3.6%を占めるという数値だけでは説明が十分でない。バッテリー・半導体・自動車・電子などの工場が各種インセンティブなどで海外に出ていく状況で、造船は韓国で大々的な雇用を維持しながら輸出ができる数少ない大型製造業の一つだ。
設計やエンジニアリング特許の大半を欧州国家が保有している状況で韓国が世界1位になれたのは、納期遵守、そしてこれを可能にした奇想天外な工程技術だ。これは結局、勤労者の指先から生まれる。与えられた期間中に難易度の高い溶接・グラインディング・塗装などをてきぱきとやり遂げる勤労者がいなければ造船1位はなかった。
造船は韓国が持つ技術優位を今後も数年間守ることができる数少ない業種でもある。韓国造船業はこの数年間、中国の価格攻勢に苦しんだが、海洋環境規制の強化で最近主流になっている環境船舶では圧倒的な技術格差を維持している。
しかし不況期に後退した韓国造船業の実情は、大宇造船海洋協力会社の労働組合ドック占拠事態で広く知られている。溶接・塗装をする建設業者の日雇い労働者は1時間あたり2万5000ウォン(約2600円)以上を稼ぐが、同じ業務でもはるかに難易度が高い船舶建造の仕事をすれば時給1万3000ウォンにすぎない。協力会社の報酬はこれよりも少ない。危険で難しい仕事をしながらも他の人より稼ぎが少なければ、誰がその仕事をしようとするだろうか。経営不振で長く産業銀行の監督下にあった大宇造船の特殊な状況があるだろうが、他の造船会社も例外でない。
2014年に20万人を超えていた造船業従事者は約9万人に減っている(韓国造船海洋プラント協会)。さらに造船業の非正規職・下請けの比率は今年基準で62.3%にのぼる。全体産業の中で最も高い。他の産業全体の平均は17.9%だ。
政府が19日、大々的な造船業支援策を発表した。目の前の火は消した。特別延長勤労年間活用期間を90日から180日まで一時的に拡大した。外国人熟練勤労者も造船業に優先して配分し、クオータも別に設けるという。
残念な点も多い。造船業に身を置いて過酷な生活に耐えられず建設現場などに移った人たちを再び呼び戻す誘引策が依然として不足する。この人たちは現在の韓国造船1位神話を築いた熟練工だ。造船業を復活させる核心は、造船業を働きたい職場にすることでなければいけない。
若い人材を造船業に導く対策も足りない。月60万ウォンの採用支援金を2カ月でなく6カ月に増やしたところで、若者たちがつらくて厳しい船舶建造現場に向かうかは疑問だ。こうした状況だが、産業通商資源部が企画財政部に要請した造船業界人材養成事業予算200億ウォンのうち60億ウォンだけが政府予算案に反映されたという(金京万共に民主党議員室の資料)。
韓国造船業が強い理由は熟練した勤労者のおかげだ。業の本質はその業の競争力をうまく保護して維持するという点を改めて強調しておきたい。
チェ・ジヨン/経済エディター
韓国造船に活気が戻ってきた。業績まで回復するには1、2年ほどかかるだろうが、受注に関しては好況期と変わらない。グローバル専門機関クラークソンによると、今年1-9月の受注で韓国は1322万GCT(239隻、44%)と、中国の1327万GCT(524隻、44%)とほとんど変わらない。9月だけをみると、韓国が中国に2倍の差をつけて1位だ。船舶価格もほとんど好況期水準まで回復した。
造船業は極端なサイクルビジネスだ。好況期に稼いだ資金で不況期を乗り越えなければいけない。一度受注すれば引き渡しまで2、3年かかり、景気サイクルの終端でこれを最も深刻に迎えるため沈滞は特に厳しい。2000年代初めに超好況を迎えた韓国造船業は不幸にも不況期に対応できなかった。2015年から始まった深刻な不況で焦土化した。
造船業を生かそうと政府は2016年以降、大宇造船海洋などに5000億ウォン以上を注入した。韓国経済に造船業はなぜこれほど重要なのか。昨年基準の全体輸出で3.6%を占めるという数値だけでは説明が十分でない。バッテリー・半導体・自動車・電子などの工場が各種インセンティブなどで海外に出ていく状況で、造船は韓国で大々的な雇用を維持しながら輸出ができる数少ない大型製造業の一つだ。
設計やエンジニアリング特許の大半を欧州国家が保有している状況で韓国が世界1位になれたのは、納期遵守、そしてこれを可能にした奇想天外な工程技術だ。これは結局、勤労者の指先から生まれる。与えられた期間中に難易度の高い溶接・グラインディング・塗装などをてきぱきとやり遂げる勤労者がいなければ造船1位はなかった。
造船は韓国が持つ技術優位を今後も数年間守ることができる数少ない業種でもある。韓国造船業はこの数年間、中国の価格攻勢に苦しんだが、海洋環境規制の強化で最近主流になっている環境船舶では圧倒的な技術格差を維持している。
しかし不況期に後退した韓国造船業の実情は、大宇造船海洋協力会社の労働組合ドック占拠事態で広く知られている。溶接・塗装をする建設業者の日雇い労働者は1時間あたり2万5000ウォン(約2600円)以上を稼ぐが、同じ業務でもはるかに難易度が高い船舶建造の仕事をすれば時給1万3000ウォンにすぎない。協力会社の報酬はこれよりも少ない。危険で難しい仕事をしながらも他の人より稼ぎが少なければ、誰がその仕事をしようとするだろうか。経営不振で長く産業銀行の監督下にあった大宇造船の特殊な状況があるだろうが、他の造船会社も例外でない。
2014年に20万人を超えていた造船業従事者は約9万人に減っている(韓国造船海洋プラント協会)。さらに造船業の非正規職・下請けの比率は今年基準で62.3%にのぼる。全体産業の中で最も高い。他の産業全体の平均は17.9%だ。
政府が19日、大々的な造船業支援策を発表した。目の前の火は消した。特別延長勤労年間活用期間を90日から180日まで一時的に拡大した。外国人熟練勤労者も造船業に優先して配分し、クオータも別に設けるという。
残念な点も多い。造船業に身を置いて過酷な生活に耐えられず建設現場などに移った人たちを再び呼び戻す誘引策が依然として不足する。この人たちは現在の韓国造船1位神話を築いた熟練工だ。造船業を復活させる核心は、造船業を働きたい職場にすることでなければいけない。
若い人材を造船業に導く対策も足りない。月60万ウォンの採用支援金を2カ月でなく6カ月に増やしたところで、若者たちがつらくて厳しい船舶建造現場に向かうかは疑問だ。こうした状況だが、産業通商資源部が企画財政部に要請した造船業界人材養成事業予算200億ウォンのうち60億ウォンだけが政府予算案に反映されたという(金京万共に民主党議員室の資料)。
韓国造船業が強い理由は熟練した勤労者のおかげだ。業の本質はその業の競争力をうまく保護して維持するという点を改めて強調しておきたい。
チェ・ジヨン/経済エディター
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