京畿道平沢市のSPL製パン工場に設けられ野外焼香所。キム・ナムヨン記者
◇警察、SPL製パン工場安全管理者に業務上過失致死適用
平沢(ピョンテク)警察署は18日、SPL製パン工場の安全管理業務関係者のB容疑者を業務上過失致死容疑で立件した。警察によると被害者のAさんは15日に平沢のSPL製パン工場で高さ1メートルの配合機を使ってソースを作る作業をしていたところ上半身が機械に挟まれ死亡した。
事故現場には監視カメラはなく、警察は現場の状況とAさんの同僚や関係者の陳述などに基づきAさんが機械に挟まった経緯などを把握している。解剖検査は遺族が望まないため行わないことにした。警察関係者は「Aさんの死亡原因は設備に挟まれた圧迫死と推定されるが、死亡の直接的・間接的な原因は今後の捜査で究明しなければならない」と話した。
◇SPC、重大災害処罰法適用か…「実質的支配が重要」
雇用労働部はこれとは別に15日の事故後に作業中止を命令し、現在事業所側の重大災害処罰法と産業安全保健法違反の有無を調査中だ。該当事業所は常勤労働者が50人以上で重大災害処罰法の適用対象だ。重大災害処罰法の適用では事業所の安全確保に向けた措置を尽くしていたかが事業主や経営責任者処罰のカギになる。
Aさんを死亡した配合機械には挟まれ防止や挟まれ事故発生時に機械を自動で止める安全装置がなかったことがわかった。韓国労働組合総連盟は17日に声明を通じ「事故が発生した装置には防護装置がなかった」と指摘し、警察関係者は「安全装置がなかったのは事実」と話した。
災害予防に向け必要な人材を明示した重大災害処罰法施行令第4条と関連した2人1組での作業が守られていなかったという指摘も出る。Aさんが1人で働く間に事故が起きたということだ。SPC関係者は「同僚とともに作業をしていたが、同僚が9分間席を外した間に事故が発生した」と釈明した。警察関係者は「2人で作業していて1人がしばらく席を外した間に事故が起きたのは事実」と話した。1人が席を外した理由も捜査と調査の対象だ。
この工場では作業中の事故が数年にわたり続いていたことが確認された。正義党のイ・ウンジュ議員が韓国産業安全保健公団から取り寄せた資料によると、この工場で発生した事故災害者は2017年から今年9月までで37人に達する。事故のパターンでは挟まれ事故が15人で最も多かった。再発防止対策を立てて実施していたかも事業主が責任を全うしたかを判断する基準になる。
関心は親会社であるSPCの事業主まで仲裁災害処罰法の適用対象になるかに集まっている。重大災害処罰法は重大災害が発生した事業所を実質的に支配・運営・管理する事業主や経営責任者に適用される法律だ。ソン・イクチャン弁護士は「SPLは重大災害処罰法が適用されるだろうが、親会社であるSPCの場合には実質的にSPLの事業所を統制していたかを調べなければならない。SPC関係者が定期的に常駐して生産ラインの管理・監督をしていたのか、勤怠管理や安全管理に関与していたのかなどを確認しなければならない」と説明した。
雇用労働部関係者は「実質的に安全管理の責任と権限をすべて子会社に委任していたなら親会社の事業主や経営責任者に責任を問うことはできない。安全管理に関する決定をする権限をだれが持っているのか見なければならない」と話した。現在ではSPLの安全管理の責任がSPC事業主にあるとはみられないというのが雇用労働部の判断だ。国会もこの点を考慮し24日の雇用労働部総合監査でSPCではなくSPLの代表理事を証人として採択した。
◇「人が死んだ工場で作ったパンは食べない」SPC不買運動拡散
SPCは事故2日目の17日に謝罪文を発表したが、批判の世論は強まっている。オンラインではSPC不買運動に火がついた。Aさんが死亡した翌日も機械の稼動が続いていたという事実が伝えられると、SNSでは「人が死んだ工場で作ったパンは食べない」などの批判があふれた。SPCが運営するブランドリストをシェアしたあるツイッターの投稿はこの日1万7000件以上リツイートされた。
政界も真相究明を要求している。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は16日、遺憾を示しながら「正確な事故経緯とともに構造的な問題はなかったのか把握せよ」と指示した。野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表は徹底した真相究明と責任者処罰を促した。
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