金月培(キムウォルベ)ハルビン理工大外国人教授は最近、釜山龍湖洞(ヨンホドン)白雲浦の山麓にある天主教公園墓地を訪れた。安重根義士の妹・安姓女(アン・ソンニョ)氏が眠っているところだ。姓女氏も兄と同じくあらゆる辛酸を嘗めた。ハルビン・満州を転々とし、光復(解放)後に五六島(オリュクト)が見える山の麓に小屋を建てて暮らして亡くなった。2016年の光復節(8月15日)に釜山市南区が姓女氏の墓地に小さな碑石を設置した。碑石の後ろにはこう刻まれている。「独立軍の軍服を作って日本憲兵隊に捕まり拷問にあったルシア(安姓女)。韓国戦争の避難中に影島で永眠。安らかに眠れ」。
26日は安義士のハルビン義挙113周年となる日だ。墓の中の姓女氏は今、何を祈っているのだろうか。兄の帰還を願っているのではないだろうか。自身はこの地で息を引き取ったが、112年前に中国旅順監獄の共同墓地に埋められた兄は今も異郷万里でさまよっているからだ。「国権が回復すれば故国に返葬してほしい」という遺言を守ることができなかった悔恨に血の涙を流しているかもしれない。
安義士の家は韓国独立運動史のもう一つの鏡だ。計16人の独立活動家を輩出した。特に残念なのは安義士を含め、親・妻・弟など家族の多くの遺体が見つかっていない点だ。姓女氏だけが故国の地に埋められた。いま見つけて何の栄光があるのか思うかもしれないが、祖国の独立に生涯を捧げた人たちの骨一つさえない今日が残念であるのは確かだ。
金月培教授は「安重根の、安重根による、安重根のための」時間を生きてきた。2005年から18年間、安重根の遺骨を見つけ出すことに専念してきた。安重根を探してハルビン・旅順から日本まで捜索した。今は博物館となった旅順監獄で対外業務も引き受け、安義士の痕跡に直接触れようとした。「安義士の遺骨の発掘は子孫の道理、大韓民国の国民の無限責任だ」という考えのためだ。
金教授がこれまでの作業を集めた白書をまとめている。年内に出版される『遺骸史料、安重根を探して』だ。安義士の活動現場を現地調査し、旅順監獄博物館の職員と郷土史学者を調査し、中国・日本・ロシアで収集した資料およそ100件を整理した。安義士が埋められたところをまだ特定できないが、今後、いつか必ず見つかるという期待と使命感からだ。
「国が厳しい時ごとに安義士を思い出す。かけがえのない命を捧げた方々を見つけることができなければ、誰が国のために犠牲になるだろうか。安義士は過去よりも未来を考えた。後日、安義士の遺骨の発掘がより体系的に行われる呼び水になることを願う」。
金教授の言葉のように2022年、危機の韓国は安義士に繰り返し言及している。政界は何度も安重根を持ち出し、文化界でも照明が絶えない。キム・フン氏のベストセラー『ハルビン』に続き、ミュージカル『英雄』と同名のミュージカル映画も年末に登場する。現在進行形の安重根の姿だ。
「大丈夫」安重根は平和思想家だった。韓日中の共存を夢見た。日本を「独夫(天と民を捨てた暴君)」と叱りながらも外交では「一つになった愛国精神」を成し遂げたと認めた。北朝鮮という変数が追加された今日、我々は100年前よりもはるかに危険だ。すべての禍の火種は内部の争いと分裂だ。「親日と従北」というフレームにとらわれた最近の国政監査の形態は過ぎ行く犬も笑う。
安義士は『東洋平和論』で故事「鷸蚌の争い」を引用する。シギがハマグリが争っている間にともに漁夫に捕えられたという内容だ。西力東漸当時に日本を批判したものだが、今日、我々の社会にあてはまる言葉だ。墓の中の安義士の言葉が聞こえてくる。「親切な外側の人は争う兄弟に及ばない」といった。戦うならまともに戦わなければいけない。昨日でなく明日に向かって…。
パク・ジョンホ/首席論説委員
26日は安義士のハルビン義挙113周年となる日だ。墓の中の姓女氏は今、何を祈っているのだろうか。兄の帰還を願っているのではないだろうか。自身はこの地で息を引き取ったが、112年前に中国旅順監獄の共同墓地に埋められた兄は今も異郷万里でさまよっているからだ。「国権が回復すれば故国に返葬してほしい」という遺言を守ることができなかった悔恨に血の涙を流しているかもしれない。
安義士の家は韓国独立運動史のもう一つの鏡だ。計16人の独立活動家を輩出した。特に残念なのは安義士を含め、親・妻・弟など家族の多くの遺体が見つかっていない点だ。姓女氏だけが故国の地に埋められた。いま見つけて何の栄光があるのか思うかもしれないが、祖国の独立に生涯を捧げた人たちの骨一つさえない今日が残念であるのは確かだ。
金月培教授は「安重根の、安重根による、安重根のための」時間を生きてきた。2005年から18年間、安重根の遺骨を見つけ出すことに専念してきた。安重根を探してハルビン・旅順から日本まで捜索した。今は博物館となった旅順監獄で対外業務も引き受け、安義士の痕跡に直接触れようとした。「安義士の遺骨の発掘は子孫の道理、大韓民国の国民の無限責任だ」という考えのためだ。
金教授がこれまでの作業を集めた白書をまとめている。年内に出版される『遺骸史料、安重根を探して』だ。安義士の活動現場を現地調査し、旅順監獄博物館の職員と郷土史学者を調査し、中国・日本・ロシアで収集した資料およそ100件を整理した。安義士が埋められたところをまだ特定できないが、今後、いつか必ず見つかるという期待と使命感からだ。
「国が厳しい時ごとに安義士を思い出す。かけがえのない命を捧げた方々を見つけることができなければ、誰が国のために犠牲になるだろうか。安義士は過去よりも未来を考えた。後日、安義士の遺骨の発掘がより体系的に行われる呼び水になることを願う」。
金教授の言葉のように2022年、危機の韓国は安義士に繰り返し言及している。政界は何度も安重根を持ち出し、文化界でも照明が絶えない。キム・フン氏のベストセラー『ハルビン』に続き、ミュージカル『英雄』と同名のミュージカル映画も年末に登場する。現在進行形の安重根の姿だ。
「大丈夫」安重根は平和思想家だった。韓日中の共存を夢見た。日本を「独夫(天と民を捨てた暴君)」と叱りながらも外交では「一つになった愛国精神」を成し遂げたと認めた。北朝鮮という変数が追加された今日、我々は100年前よりもはるかに危険だ。すべての禍の火種は内部の争いと分裂だ。「親日と従北」というフレームにとらわれた最近の国政監査の形態は過ぎ行く犬も笑う。
安義士は『東洋平和論』で故事「鷸蚌の争い」を引用する。シギがハマグリが争っている間にともに漁夫に捕えられたという内容だ。西力東漸当時に日本を批判したものだが、今日、我々の社会にあてはまる言葉だ。墓の中の安義士の言葉が聞こえてくる。「親切な外側の人は争う兄弟に及ばない」といった。戦うならまともに戦わなければいけない。昨日でなく明日に向かって…。
パク・ジョンホ/首席論説委員
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