１５日に発生した今回のカカオトーク（カトク）障害は独占オンラインプラットフォームの危険性を白日の下に晒すことになった。プラットフォームの独占は日常生活と経済はもちろん、国家の安全まで危険に陥れかねない。米国や欧州のように独占防止対策を急がなければならない。

昨日と一昨日、韓国社会はカカオ系列のアプリ障害で大きな混乱に陥った。今回の事態は１５日午後３時３０分ごろ、京畿道城南市盆唐区三坪洞（キョンギド・ソンナムシ・プンダング・サムピョンドン）に位置したＳＫ　Ｃ＆Ｃ地下３階の電気室で発生した火災が導火線になった。この過程でサーバー作動に必要な電源の供給が中断し、カカオのサービスが突然停止した。ＳＫが復旧作業を急いでいるが、正常化までにはさらに長い時間が必要になると予想している。カカオの寡占リスクを端的に表わした事態だ。

市民の大多数は目の前の超連結社会の恐怖に震えなければならなかった。カトクアプリを使ってメッセージを送っても連絡ができなず、タクシーの呼出もできなくなった。同アプリを通じた送金・決済もできなくなった。法的紛争も雪だるま式に増えることになった。平日に起きていたら被害はさらに深刻化するところだった。


問題は今回の事故が「予定されていた災難」という点だ。恐竜オンラインプラットフォームの独占弊害はすでに予告されていたことで、対策が必要な問題だった。米国と欧州連合（ＥＵ）は４～５年前から寡占弊害予防に動いていた。米議会が超党派的に協力して５つの個別法案で構成されたパッケージ法案を昨年６月に通過させた。中でも５大法案のうち「プラットフォーム独占終了法」にはオンラインプラットフォームが該当プラットフォームを利用して財貨とサービスを販売・供給する場合、利害衝突と規定して競争当局が強制売却を決定できる内容が盛り込まれている。これに先立ち欧州連合は「オンラインプラットフォーム市場の公正性および透明性規則」を２０２０年７月から施行している。

このような変化にも韓国政府と国会は不動の姿勢だ。公正な競争を扱う公正取引委員会が「オンラインプラットフォーム公正化法」を作って２０２０年９月立法予告までしたがうやむやになっている。放送通信委員会など関連政府部署との領域争い、巨大プラットフォーム業者の反発、国会の無関心が一つになった結果だ。結局、尹錫悦（ユン・ソクヨル）政府発足後には民間協議機構を通じて自主規制する方式で枠が決まっている。選手が審判も兼ねているような構造だ。国会でもカカオ・ＮＡＶＥＲ（ネイバー）経営者を呼んで問題点を問いはしたものの、カバーできる対策は出てきていない。

問題が深刻なのは国内の巨大オンラインプラットフォームはデジタル世界の捕食者になっているという事実だ。中小商人・自営業者・プラットフォーム労働者は関連法不備、政策不在で巨大プラットフォームの「乙」に転落して深刻な被害を受けている。カカオの場合、タコ足式投資と買収合併（Ｍ＆Ａ）で競合しそうな群小オンラインサービス企業を片っ端から吸い込んでいる。小商工人・自営業者はオンラインプラットフォームを経なければ商売ができなくなった。しかも国会が配車サービス「ＴＡＤＡ」のような革新モビリティーを禁止し、タクシー市場を掌握したカカオタクシーはタクシー不足と価格暴騰に油を注いでいる。

カカオは有事の際のバックアップ計画も粗末だったことから明るみになった。尹錫悦大統領が「科学技術情報通信部長官が直接復旧を指揮せよ」と言ったものの、復旧しても寡占弊害という根本的な問題は変わらない。米国の繁栄は独占禁止の歴史と言っても過言ではない。今回の事態を契機に韓国もオンラインプラットフォームの寡占弊害に対して根本的な「手術」に乗り出さなくてはならない。我々の日常を麻痺（まひ）させる社会的災難まで招くなら、このまま放置しておくことはできない。