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【コラム】ウクライナ戦争とコロナが触発した半導体戦争(1)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
「この50年間の地政学は石油がどこに埋蔵されているのかにより定義されたが、今後の50年はチップ(半導体)製造工場の位置により決定されるだろう」。

米インテルのゲルシンガーCEOが5月のダボスフォーラムでした話だ。これからは「半導体チップがどこで作られるか」が国際政治の決定的変数になるという意味だ。

半導体戦争はすでに始まった。国際社会の2大事件(ウクライナ戦争とコロナ禍)により半導体の地政学がすでに確認された。


◇ジャベリンの精密打撃、ロシアの戦車無力化

2月にロシアの戦車部隊がウクライナ国境を越えた当時、数日で首都キーウは占領されると予想された。しかしキーウに足を踏み入れることもできなかった。

戦車部隊を無力化した1等功臣は米国のジャベリンミサイルだ。ウクライナの人々は「守護聖人」という意味で「セントジャベリン」と呼ぶ。

「やり投げ」という意味のようにジャベリンは携行兵器だ。精密打撃が可能な赤外線誘導方式の対戦車ミサイルだ。正確性は高画質赤外線カメラと誘導システムのおかげだ。1991年に開発されたが高性能チップ250個でアップグレードし先端兵器になった。空中で撃てばミサイル自体の推進力で高く上昇し2キロメートル離れた戦車を探して急降下、砲塔を貫通する。

ジャベリンは1発で1億ウォンと高価だ。だが「ワンショット、ワンキル」で数十億ウォンの戦車を爆破する。特にウクライナのような平原ではより有効だ。そのため米国は2018年以降ジャベリンをウクライナに集中援助した。

これに対し、ロシアの低いIT能力もジャベリン成功の背景だ。ロシアの主力戦車であるT72やT80だけでなく最新型のT90まですべてミサイル対応能力が低かった。戦車部隊に先立ち周辺を偵察するドローンもなかった。通信は依然として旧型無線機を利用しておりリアルタイムでモニタリングされた。

一方ではロシア軍のレーダー、ミサイル、攻撃ヘリコプターなどからは米国製半導体チップが大挙発見された。いずれも家電製品で使う程度の低仕様製品だった。国際密売組織を通じて流れて行ったと推定される。米国は1980年代のレーガン大統領時代からソ連(ロシア)に対するIT関連輸出を統制してきた。

ウクライナ戦争の教訓は明確だ。半導体チップなど先端技術が戦争を左右する。先端技術統制は世界でのヘゲモニー維持に必須だ。ロシアに対しては成功した。残ったのは中国だ。

◇コロナが呼び起こした半導体大乱

新型コロナウイルスは経済産業の側面で半導体の地政学的重要性を呼び覚ます契機になった。

コロナ禍で自己隔離と在宅勤務が増え電子製品の需要が急増した。これに使われるシステム半導体の場合、世界の生産量の半分を台湾のTSMCが担っている。TSMCはコロナ禍で外部活動が減ったため自動車の需要も減ると予想した。車載用半導体生産を減らしコンピュータ用とスマートフォン用の生産に集中した。

ところが電気自動車の需要が増え半導体需要は急増した。ガソリン車両は300個前後の半導体が使われるのに対し、電気自動車は2000個以上の先端半導体が必要だ。車載用半導体大乱が起きた。米国の産業界でも自国内に半導体生産施設を確保すべきという声が高まった。

◇半導体生産アジア偏重はよくない

インテルのゲルシンガーCEOがダボスで主張した半導体地政学の結論も「半導体生産のアジア依存度を減らすべき」だ。現在世界の半導体の80%がアジアで生産される。システム半導体は台湾のTSMC、メモリー半導体は韓国のサムスンが代表的だ。

30年間加重されてきたアジア集中は市場の論理であり米国の戦略だった。半導体の母国である米国の企業は1980年代まで設計から生産まですべて直接やっていた。そうするうちに半導体産業が大きくなり技術が発展して米国企業は生産に必要な人件費と設備投資負担を減らすために外注を始めた。こうした流れに合わせて委託生産(ファウンドリー)専門企業として登場したのがTSMCだ。サムスンもこうした流れに乗った。台湾と韓国は国レベルの戦略投資が可能だったので競争で生き残った。


【コラム】ウクライナ戦争とコロナが触発した半導体戦争(2)

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