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【コラム】ペロシ米下院議長の台湾訪問が変える北朝鮮

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

4日に板門店(パンムンジョム)を訪問したペロシ米下院議長[写真 ツイッター]

北朝鮮の運命は、米国の政治家による韓国とは全く関係のない決定・行動で決まることがある。1988年のルインスキースキャンダルがなかったとすれば、ビル・クリントン大統領は北朝鮮を訪問していたかもしれない。その場合、北朝鮮はその後、違う道を歩んでいただろう。2002年1月29日の一般教書演説を準備したジョージ・ブッシュ大統領は「悪の枢軸」リストにイスラム国家だけあることを憂慮した末、北朝鮮を入れた。北朝鮮ではなく他の国を選んでいたとすれば、米朝関係は今と違っていたかもしれない。

似たことがまた生じた。ナンシー・ペロシ米下院議長の台湾訪問だ。彼女の行動は北朝鮮の(北朝鮮だけに該当するのではないが)世界を変えた。ホワイトハウスが背後にいると(事実ではないが)確信した中国は、台湾の海上で軍事訓練とミサイル発射で対応した。さまざまな分野の対米協力も壊した。まだ始まりにすぎない。中間選挙を控えた米国の政治家らはペロシ議長が1週間にわたりヘッドラインを飾るのを見た。これら政治家は激しかったものの米国や台湾に深刻な影響を与えることができなかった中国の対応を見てペロシ議長の後に従うはずで、中国はさらに強力な軍事措置で対応する可能性が高い。

こうした状況が北朝鮮にはどんな影響を与えるだろうか。現在、対米関係の改善に全く関心を見せていない北朝鮮が心を変えて米国の対話の提案を受け入れるとしても、今はもう中国が怒るだろう。北朝鮮をわがままな弟ほどに考えてきた中国は時々、北朝鮮政権が中国の意を逆らえば不快感を隠さず、米朝間のいかなる意思疎通も注視した。米国と主な協力関係を断ってしまった中国が、自国の唯一の同盟国の北朝鮮が米国との新しい関係を摸索するのを認めるはずがない。


もう一つは北朝鮮の核実験に及ぼす影響だ。中国は台湾を「核心利益」(韓半島ではない)と明らかにした。増幅した台湾危機の中、第20回党大会を控えた中国は状況を統制しようとするはずだが、北朝鮮の核実験もこの範囲に入る。しかし北朝鮮が核実験を積極的に希望する可能性もある。今後さらに多くの米国政治家が台湾を訪れる場合、中国はさらに強硬に対応するだろうが、軍事訓練やミサイル発射、貿易ボイコットのような対応は繰り返すほど効果が弱まるしかない。したがって中国はためらうはずだが実質的な戦争を触発する対応(台湾艦艇に対する実弾射撃やミサイル攻撃など)をするか、または完全に新しい接近法を選択する可能性がある。

こうした点で北朝鮮に核実験をさせる状況は中国の立場では魅力的だ。中国が煽って核実験をしたということを立証するのは難しいため、中国は否認さえしておけばよい。実際、北朝鮮の核実験は中国のいかなる行動よりも大きな波紋があり、米国と域内同盟国を揺さぶるのに都合の良いカードだ。もう北朝鮮の核実験は北朝鮮当局よりも北京の決定にかかっていると見る方が説得力がある。悲しい現実だ。長く北朝鮮の自負心の源泉だった核兵器プログラムが米中強大国間の葛藤の付属物に転落したという意味でだ。北朝鮮の実質的主権の深刻な毀損という意味もある。

北朝鮮の立場で好材料もある。台湾危機以前から国際秩序はワシントンと北京の両陣営の争いに進んだ。陣営間の対決はさらに強まるだろう。もちろん北朝鮮は中国側だ。中国は「味方」北朝鮮を防御して支援するだろう。数年前まで中国は自国の利益さえ確保すれば北朝鮮を捨てる準備、南北統一を含む協定に同意する準備ができているという主張に説得力があった。しかし今回の台湾危機でこうした主張が出てくる余地は消えた。

北朝鮮は中国の気分を害することさえしなければ中国の支援と支持が確実に保証されることになった。北朝鮮の安定が重要になった中国は、北朝鮮の現状維持のためなら何でもするだろう。北朝鮮がいくら深刻な挑発をしても新しい対北朝鮮制裁案に同意する可能性は非常に低い。

では、北朝鮮はこの状況をどう眺めるだろうか。中国の持続的支援を確保したことに安心しながらも同時に怒りも抱くだろう。筆者が知る北朝鮮の当局者らは傲慢に振る舞う中国人に強い反感を抱いていた。多くの北朝鮮の官僚は中国への依存度を減らし、より多くの国際的自由とより幅広い対外関係を望んでいるはずだ。しかし当分は難しいだろう。

ジョン・エバラード/元平壌駐在英国大使

◇外部者執筆のコラムは中央日報の編集方針と異なる場合があります。



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