韓国月探査用軌道衛星「タヌリ」。[写真 韓国航空宇宙研究院]
タヌリは打ち上げ40分後にロケットから分離する時に受けた推進力で、太陽と地球の重力が釣り合うラグランジュL1地点(地球から約150万キロの距離)を経て最大156万キロ離れた太陽側の遠い宇宙まで飛行した後、太陽と地球の重力を活用して地球側に方向を変える。
◆太陽側の宇宙に飛行後「8」の字形を描きながら戻る
定められた軌跡に向かうために方向を変える軌跡修正機動をした後、地球の重力に引かれて戻りながら月に近づき、12月16日に月の周囲を回る軌道に入る予定だ。その後は5回の減速機動を経て正確な目標軌道に入った後、12月31日に任務遂行を始めるという。韓国航空宇宙研究院(航宇研)のキム・デグァン月探査事業団長は「来年1月1日にタヌリが月の軌道に入った時、成功したといえるだろう」と述べた。
地球と月の距離は約38万キロだが、タヌリは「8」の字形を描いて地球から最大156万キロ離れた地点まで行ってまた戻ってくるということだ。このように地球・月・太陽の重力を活用して月軌道に進入する方式を「弾道型月遷移方式(BLT=Ballistic Lunar Transfer)」という。
◆直接打ち上げより燃料消耗量25%減
タヌリをBLT方式で移動させるのは、燃料の消耗を減らして探査機の作動寿命を延ばすためだ。この方式の場合、タヌリが天体の重力を利用して推進力と運動量を得ることができ、月に直接打ち上げるよりも燃料消耗量が25%ほど少なくなる。
当初は1カ月間ほど地球を中心に楕円形軌道を描きながら月の軌道に進入させようとしたが、開発の過程でタヌリの重さが550キロから678キロになって燃料消耗も増えたため、軌道進入方式を変えた。過去に日本の月探査機「ひてん」(1990年)、米国の「グレイル」(2011年)がBLT方式で月に向かった。
しかし自体の推進力を使用するよりも制御が難しいうえ、軌道が少しでもずれると誤差が大きくなるため、精密な航法技術が要求される。航宇研は精密な航法を遂行するために米航空宇宙局(NASA)と協力する予定だ。また任務運営センターを運営し、深宇宙地上アンテナとNASAの深宇宙ネットワークを連動し、タヌリ命令伝送、状態情報受信、軌道決定などの作業をすると明らかにした。
この記事を読んで…