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「モデルにならないか」 ロシアバレリーナが韓国の地を踏んだ8カ月後…急変したエージェンシー代表

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版

エラーナさん(22・仮名)はロシアでバレリーナとして活動していたが、韓国エージェンシーからの提案を受けて2020年に来韓した。写真は2019年、サンクトペテルブルクでエラーナさんがバレエの練習をする場面。[写真 本人]

「毎日泣いて暮らし、ご飯も食べられず不安で震えていました。まだカカオトークの通知音が恐いです」

韓国生活について話していたエラーナさん(22・仮名)の手が震えた。昨年エージェンシー代表Aからの脅迫メッセージを受けとった瞬間を話している途中だった。「故国(ロシア)に帰れ」「お前のビザを満了させる」「出入国管理所に申告すれば2週内に捜査してお前は強制出国になる」…昼夜を問わず押し寄せるメッセージにエラーナさんは恐怖さえ感じたという。エラーナさんは「代表の脅迫と恐喝で『私は悪い人なのか、生きてはいけない存在なのか』と自責することもあった」とし「今でも不眠症に苦しめられている」と涙声で話した。

◆大きな夢を抱いて韓国に来たロシアのバレリーナ


韓国に来る前、エラーナさんはロシアで将来を嘱望されるバレリーナだった。世界の舞台に立つことを夢見ながら、サンクトペテルブルクで母親や兄弟姉妹と一緒に平和な日常を送っていたという。ところが2020年、ソーシャルメディア(SNS)を通じて一通のDMが舞い込んできて変化が起きた。自分のことをエージェンシーの代表だと明らかにしたAという差出人は「韓国でモデルをしてみたくはないか。韓国で活動できるようにビザ発行を助けてあげる」とメッセージを残した。

Aは韓国での青写真をエラーナさんに分かりやすく説明したという。身元保証としてエラーナさんが迅速に芸術興行ビザ(E6)を受けられるように助けた。同じ女性という点も信頼感を加えた。Aを信じるようになったエラーナさんは同年5月、韓国行きの飛行機に乗った。韓国に来ると同時に大企業の家電製品広告に出演し、化粧品広告も撮影した。モデルの仕事に素早く適応しながら、韓国語の実力をめきめき上達させ、エラーナさんの人気はますます高まった。

だが昨年1月に問題が生じた。Aがエラーナさん宛に入ってくる撮影のオファーを断り始めたのだ。エラーナさんが「知人と酒の席があるのでお前も来い」「今週にグランピングするから出席しろ」というAの提案を断った後だったという。Aの行動は仕事を断るだけにとどまらなかったという。エラーナさんの報酬が70%と策定された収益配分方式も50%に同意なく変更し、契約解約金1億ウォン(約1037万円)を要求したというのがエラーナさんの主張だ。エラーナさんが拒否すると、Aは法務部出入国管理所事務所にエラーナさんとの雇用契約を解約するという意向を伝えた。ビザが満了すれば故国に戻らなければならない状況だ。休む暇もなく入ってくる脅迫性の発言で瀕死状態だったエラーナさんには青天の霹靂のような便りだった。

「苦労するなら帰ってきなさい」。一歩遅れてこの状況を知った母親は娘を心配した。エラーナさんは戦うことを選んだ。似たような状況に置かれた外国人被害者が多いという事実を知り「退いてはいけない」という気がしたと話した。韓国で仕事をして幸せだった記憶もエラーナさんを突き動かした。弁護士の助けを借りてAを告訴し、大韓商事仲裁院に「専属契約を無効にし、受けとることができなかった撮影金額を返してほしい」と要請した。

働く場所を失って不安に震えていたエラーナさんに力になるようなことが起きた。今年3月、大韓商事仲裁院仲裁判定部がエラーナさんとAが結んだ専属契約は効力がないと判断し、Aがエラーナさんに約240万ウォン(約25万円)を支給するよう判定を下したのだ。

大韓商事仲裁院の仲裁判定は裁判所の確定判決と同じ効力がある。1カ月後、ソウル中央地検がAを恐喝未遂および横領容疑で不拘束起訴し、エラーナさんの状態も少しずつ良くなったという。

◆法的訴訟が残っているが「夢を失わない」

6月に始めた刑事裁判は証人尋問を控えている。Aは初公判で容疑を全面否定した。A側の弁護人は「被告人は被害者と収益金分配比率を調整しなければならない事情が発生し、これを議論した対話をしただけで、被害者を恐喝して今後の収益の20%を断念させる意図はなく、その対話を恐喝とみることはできない」と主張した。あわせて「被告人は被害者が収益配分比率調整に同意したと認識し、変更された比率にともなう報酬を精算して支給し、専属契約の解約紛争過程で仲裁判定決定に達する時まで被害者の報酬を支給しなかっただけで横領の犯意があるとみることはできない」とした。両側の主張が交錯しているため、裁判部は9月6日にエラーナさんを証人として召喚することにした。

エラーナさんを助けているイ・ジウン弁護士(法律事務所リバティー)は「一部のエージェンシーが、外国人がうまく韓国語を話せない点やビザのスポンサーという地位を悪用して不法を慣行のように犯している」とし「外国人芸能人志望生の夢が折れないようにビザ制度を改善し、不良芸能企画会社を監督しなければならない」と話した。

1年半の間、仕事を失った状態で法的訴訟が続いているが、エラーナさんは「挫折しない」と話した。最近、韓国文化コンテンツ創作協同組合のユ・ヨンボム理事長の助けでエージェンシーを決めたエラーナさんはE6ビザの再発給を受けるために故国に戻った。出国前に記者と会ったエラーナさんは「私の痛みが繰り返されてほしくないという希望がある」と話した。「もう一度韓国に来ることになれば、外国人被害者がこれ以上発生しないように私ができることは何かも考えてみたいと思います」



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