肯定３２％、否定６０％。

韓国ギャラップが１９～２１日に調査し２２日に発表した尹錫悦（ユン・ソクヨル）大統領の職務遂行評価結果だ。就任１００日にもならない尹大統領の国政遂行に対する否定的評価が肯定的評価よりも高くなる現象が３週間にわたり続いた。こうした支持率下落傾向は他の世論調査でも同様の流れを見せている。理由は総合的だ。長官と青瓦台（チョンワデ、大統領府）秘書官の不正検証と私的採用など人事問題が相次いだ上に、尹大統領夫人の金建希（キム・ゴンヒ）氏をめぐる議論などが加わり世論が急激に悪化している様相だ。

ここに「有能な経済大統領」を強調していたのと違い新政権発足後にまだ明確な経済政策の青写真すら提示できておらず、な「内外的に総体的難局に直面した状況で新政権が果たして危機をうまく克服できるだろうか」という不安感も大きくなっている。政界でも厳しい経済環境の中で尹大統領の支持率が３０％以下に落ちる場合、任期初めから国政を率いていく動力を失いかねないという懸念の声が高まっている。


◇略式会見時の発言が政争の火種に

実際に最近実施された各種世論調査で尹大統領の支持率は３０％台初めまで落ち込んだ状態だ。韓国社会世論研究所（ＫＳＯＩ）が１５～１６日に調査し１８日に発表した尹大統領の国政運営評価の結果は肯定３２．０％、否定６３．７％で格差は３１．７ポイントに広がった。５月第４週の調査で肯定が５６．３％、否定が３６．１％だったのと比較すると２カ月もたたずに肯定と否定の世論が正反対に入れ替わった格好だ。

韓国リサーチなど４つの世論調査機関が１１～１３日に調査した全国指標調査（ＮＢＳ）でも尹大統領の国政遂行に対し「よくやっている」という評価は３３．０％にとどまった。５月最終週の調査で肯定評価が５４．０％だったのに比べ２１ポイントも下落した。これに対し「よくやっていない」という評価は同じ期間に２７．０％から２６ポイント上昇の５３．０％を記録した。

注目すべき点は核心支持層の離脱だ。尹大統領は「国民の力」から大統領候補として出馬し当選しただけに、支持層もまた保守指向が強い有権者層と６０～７０代の高齢層が中心だ。韓国ギャラップの５月第２週の調査でも尹大統領の支持率は５２％だったのに対し保守指向の有権者では７３％の圧倒的支持を得た。地域別では大邱（テグ）・慶尚北道（キョンサンブクド）で６８％、釜山（プサン）・蔚山（ウルサン）・慶尚南道（キョンサンナムド）で６５％の支持を見せ、年齢別では７０代以上で７３％、６０代で６６％の高い支持率を記録した。

だが韓国ギャラップが２２日に発表した調査では保守層支持率が５５％と１８ポイントも落ち込み急激な離脱現象を見せた。釜山・慶尚南道の支持率は３８％で２カ月ほどで２７ポイント落ち込み、７０代以上の支持率も４９％で２４ポイント減った。過去に大統領の支持率下落傾向が中道層から始まり支持層へと徐々に広がっていたのと全く異なり尹大統領の支持率は既存の強固な支持層内部から先に落ち込んでいる様相だ。最近の尹大統領の支持率下落を内外的変数にともなう一時的現象とだけみることはできないという分析が政界内外で説得力を持って提起される理由だ。

こうした執権初期の急激な支持率下落傾向は特に「尹錫悦印」の政策を本格的に推進する前に現実化した点で以前の政権とはまた別の様相を見せていると評価される。新政権発足後に主要国政課題を意欲的に公表する過程で尖鋭な賛否対立がもたらされ、これにより支持率が落ちたりしたのが過去の政権の前例だった点からだ。２００８年の李明博（イ・ミョンバク）政権初期の韓米自由貿易協定（ＦＴＡ）にともなう米国産牛肉輸入に対する反対世論が李大統領の支持率下落につながったのが代表的だ。

これに対し最近の尹大統領の支持率変化はこうした政策的摩擦が反映された結果ではないというのが大半の意見だ。韓国社会世論研究所のイ・ガンユン所長は「李明博政権の４大河川事業、朴槿恵（パク・クネ）政権の経済民主化、文在寅（ムン・ジェイン）政権の住宅価格政策など、大統領が大型の政策を推進する過程で国民的反感が大きくなり支持率が大きく揺らぐケースが大部分だった。これに対し尹大統領はいわゆる年金・労働・教育の３大改革を推進する前に支持率が落ち込んでいるが、これは政策的反感よりは尹大統領の国政運営そのものに対する信頼に亀裂ができているという意味」と診断した。


尹大統領、保守層・６０～７０代の支持率まで急落…国政動力低下（２）